14世紀のペスト大流行の後は経済が急拡大した…しかし今回はそうではなさそう

ペスト医師のイラスト

「ペスト医師」は、ペスト患者を治療するために特別に雇用された医師であり、17世紀頃に開発された独特のマスクを用いている。

Wellcome Library, London

  • ドイツ銀行の報告によると、イギリス経済はコロナウイルスの大流行を受けて2020年に6.5%のマイナス成長に陥る可能性があるが、ペストの発生した1349年の23.5%減ほどではない。
  • 約700年の間に多くの変化があったので、その影響はペストほど劇的ではないだろうが、パンデミックはしばしば経済の縮小を伴う。
  • ペストによる影響が過ぎ去った後、イギリスでは賃金が上昇し、消費主義が台頭したが、それは限られた土地とそこで働く労働者が減ったことによるものだった。
  • コロナウイルスが出現する前の経済状況を考えると、おそらく異なる結果が現れるだろう。より自動化が進む可能性があり、時間給の仕事は急速に縮小している。

フィナンシャル・タイムズAlphavilleのジェイミー・パウエル(Jamie Powell)記者は、ドイツ銀行のジム・リード(Jim Reid)氏の新しいレポートを引用して、イギリス経済は2020年に6.5%のマイナス成長になる可能性があると報じている。これは2009年を上回るが、黒死病(ペスト)の余波よりは少ない。

ドイツ銀行の報告書は、1271年までさかのぼってイギリスの経済縮小に注目している。2番目に大きな縮小は、ペストが発生した1349年で、マイナス23.5%に達した。コロナウイルスがイギリス経済にそれほど大きな打撃を与えるとは予測されていないが、1900年以降で見ると、その影響は1921年と1919年に次ぐものだ。

リード氏によると「当時のペストの死亡率は今日のパンデミックをはるかに超えており、イングランド銀行のデータによれば、イギリスの人口は1348年の481万人から1351年には260万人に減少していて、3年間で40%以上減ったことになる。しかしこのことが、パンデミックの経済への影響に関係している」という。

黒死病の余波は、ヨーロッパの経済状況を根本的に変え、特に労働者に大きな影響を与えた。

実際、ブルームバーグのアンディ・ムカジー(Andy Mukherjee)記者によると、ペストのパンデミックによる縮小が終わると生産性と賃金の上昇につながったと指摘している。限られた土地と限られた労働力しかなく、それが当時の経済における主要な財産だったからであり、そして大きな喪失のトラウマから大量消費への欲求が高まり、支出が増えていった。

しかし、ムカジー記者も指摘しているように、ペストの時代と現在の経済状況は違う。現代のデジタル技術と自動化への急速な移行は、時間給の非正規労働者を今以上に追い払う可能性がある。YouTubeのような企業はすでに「一時的に」、機械学習の自動化されたシステムでコンテンツを審査している。そして、アメリカ人は政府から景気刺激策の恩恵を受けることになるが、それは、さらなる介入が必要になるまでの数カ月間、経済を救うだけかもしれない

かつて1560万人を雇用していたアメリカのレストラン業界は、パンデミックから抜け出せないかもしれない。全米レストラン協会によると、この業界は多くの時間給の労働者が雇用されている。

すでに約3万軒のレストランが閉店しており、4月にはさらに11万軒が閉店する見込みだ。3月21日までの一週間で、過去最高となる330万人の失業保険申請があったが、ここには多くのレストランの労働者が含まれる可能性がある。この数字は、多くの都市のレストランが、宅配・持ち帰り以外のサービスを停止した後の初めての報告だった。

[原文:Economic contractions and pandemics go 'hand in hand' — just look at the Black Death

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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