25歳以下に「ギガを支援」。大手3キャリアが追加50GBの支援策…格安SIM事業者は「対応難しい」

3キャリア

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、25歳以下の契約者・利用者向けの支援策を発表した。

撮影:小林優多郎

総務省は4月13日、電気通信事業者関連4団体に対して、新型コロナウイルス感染拡大にともなう学生の通信環境確保に関する要請した。

それに応じる形で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは25歳以下の契約者(および利用者)向けの支援策をそれぞれ発表した。

支援内容は細かな違いはあるが、対象者に対し、最大50GBまでの追加容量の無償化や、KDDI・ソフトバンクについてはテザリングオプションの無償化が行われる(NTTドコモとワイモバイルはそもそもテザリングオプション料金を設けていない)。

3キャリアの支援策は以下のとおり。

NTTドコモ

期間:4月1日~5月31日

対象ユーザー:対象プランを契約中の25歳以下の契約者もしくは利用者

支援内容:追加容量50GB/月を上限としたスピードモード(データ容量の自動追加)と1GB追加オプション(手動追加)の無償化(いずれも通常時1GBあたり1000円税抜)。

対象プランなど詳細リリースはこちら

KDDI

期間:4月1日~4月30日

対象ユーザー:対象プランを契約中の25歳以下の契約者もしくは利用者

支援内容:追加容量50GB/月を上限としたデータチャージの無償化(通常時1GBあたり1000円税抜)およびテザリングオプション(通常時月額500円もしくは無料)の無償化。

対象プランなど詳細リリースはこちら

ソフトバンクおよびワイモバイル

期間:4月1日~4月30日

対象ユーザー:対象プランを契約中の25歳以下の契約者もしくは利用者

支援内容:追加容量50GB/月を上限とした無償化(ソフトバンクの場合通常時1GBあたり1000円税抜もしくは0.5GBあたり550円税抜。ワイモバイルは0.5GBあたり500円税抜)およびテザリングオプション(通常時月額500円もしくは無料)の無償化。

対象プランなど詳細リリースはこちら(PDF)

KDDIとソフトバンク(ワイモバイル)はNTTドコモと比べ対象期間が1カ月間短い設定だが、KDDI広報は「今後の状況に応じて延長の可能性あり」と回答。ソフトバンクはリリースで「対象期間を延長する場合は、改めてお知らせします」としている。

なお、4月8日から自社回線のMNO事業を開始する楽天は、まだNTTドコモ・KDDI回線を取り扱いMVNO事業を続けている。Business Insider Japanの取材に対し「総務省からの要請は受け取っている」としつつも「(MNO・MVNO事業ともに)現時点で決まっているものはない」(いずれも広報担当者)と回答している。

格安SIMの事業者は「対応困難」

スマートフォンを持っている人

3キャリア以外のスマートフォン利用者はどうなる?

撮影:今村拓馬

3キャリアを契約している25歳以下の利用者については一定の期間、遠隔授業やウェブ教材を使った勉学の環境も確保できそうだ。

一方で、気になるのは仮想移動体通信事業者(MVNO)が提供する、いわゆる“格安SIM”を契約しているユーザーだ。大学生など自ら携帯電話料金を払っている若者の中には格安SIMを利用しているユーザーも多い。

総務省は格安SIMを運営する企業が多く参画する一般社団法人テレコムサービス協会にも、同様の要請をしている。

要請に対し、MVNO各社の対応は現状で異なる。例えば、KDDI傘下のUQコミュニケーションズおよびインターネットイニシアティブ(IIJ)の広報は、4月3日16時頃の取材時点では「検討中」と回答。ソフトバンク子会社のLINEモバイルは「現状で、対応の予定なし」(ソフトバンク広報)としている。

MVNOが3キャリアと同じスピード感で支援策のリリースを出せないのには理由がある。MVNOは、3キャリアとの間に一定の帯域契約を結んでおり、その限られた帯域の中でデータのやりくりすることで利益をあげている。

そのため、キャリアが実施するような「25歳以下は最大50GB無料」という方針を打ち上げるのが難しいのだ。

実際、別の大手MVNO関係者は「(経営)体力的にも非常に難しい」「さらに年齢を引き下げるか、追加容量を減らすなど、(3キャリアとは)違う内容にせざるおえないだろう」と苦しい現状を漏らしている。

3キャリアは「各MVNOに対して、何らかの支援策は予定しているか」というBusiness Insider Japanの質問に対し、「現在アナウンスできることはない」(NTTドコモ広報、ソフトバンク広報)、「現時点で決まった事実はない」(KDDI広報)と回答している。

(文・小林優多郎)

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