わずか8日で! アウトドア用品を作る代わりにフェイスシールドを作り始めた企業が明かす成功のカギ

フェイスシールド

Courtesy of Flowfold

  • アメリカのメイン州に拠点を置くあるアウトドア用品メーカーは、工場での生産を医療従事者のために緊急に必要とされている防護服や防護具に切り替えたアメリカ企業の1つだ。
  • リサイクルの帆布で作った財布で知られる「フローフォールド(Flowfold)」では今、医師や看護師向けのフェイスシールドを1日あたり数千というペースで生産している。
  • 同社の共同経営者でCOOのジェームズ・モーリン(James Morin)氏は、生産の切り替えは、従うべき健康・安全基準の切り替え、製品の作り方の習得および新たなワークフローの導入、法律・保険に関する問題の整理の3段階で行われたとBusiness Insiderに語った。
  • 工場での生産の切り替えを成功させるカギは、自分たちが何に秀でているか、そのスキルをどう生かせるかをはっきりさせることだとモーリン氏は言う。

アメリカのメイン州に拠点を置くアウトドア用品メーカー「フローフォールド」は今から約10年前、3人の創業者がビール代を稼ぐために不用品で作った財布を売ったことから始まった。

そして今、同社は工場全体の生産を新型コロナウイルスとの戦いに必要不可欠な医療用品や防護具に切り替えたアメリカ企業の1つとなった。

L.L. BeanやREI、アーバンアウトフィッターズ(Urban Outfitters)といった大手小売店で販売されるアウトドア用品を作ってきたフローフォールドは、リサイクルの帆布で作った軽い財布、バックパック、トートバッグなどで知られている。

同社は材料の大半を国内で調達しているため、わずか8日間で州内の医療システム「MaineHealth」と契約し、防護具の生産を始めたと、COOのジェームズ・モーリン氏はBusiness Insiderに語った。

「国内調達、メイド・イン・アメリカであることの利点は、こうした機敏性とスピードです」とモーリン氏は言う。

「だからこそ、わたしたちは今すぐに配送できない、今すぐに工場を稼働できない海外の業者に依存してこなかったのです」

フローフォールドの工場では現在、8人の従業員が1日あたり数千個のペースで、州内の病院や医療施設のためにフェイスシールドを量産している。医師や看護師はこのシールドをマスクをした上で着用している。

最初は従業員を守るためだった

工場でフェイスシールドを作り始めるにあたっては、3つの段階を経たとモーリン氏は話している。第1段階は、工場の環境を医療専門家の設定する新たな健康・安全基準に合致させることだった。

これには、それぞれのミシンの位置を少なくとも6フィート(約1.8メートル)離すことや、従業員に手袋といった防護アイテムを提供すること、定期的に人が触れる場所の消毒作業をスケジュールに組み込むことなどが含まれる。

第2段階は、外部の助けや指導なしに、これまで扱ったことのない新しい製品の作り方を習得し、そのワークフローを導入することだった。

「全てが少しずつ違いました」とモーリン氏は言う。

「使用する材料もこれまで使ってきたものとは違いますし、作るプロセスも違うので、新たなトレーニングのやり方を設定しなければなりませんでした」

フェイスシールドを作る様子

Courtesy of Flowfold

思考錯誤があったと、モーリン氏は語った。例えば、最初は1日に作ることのできるフェイスシールドの数はわずか250個だったが、今では1日あたり5000~1万個という目標に近付いているという。

モーリン氏は、公的な指示や専門家または経験豊富なメーカーからの支援なしに製品を作る方法を習得するのは、大きな挑戦だったという。代わりに同社は、病院や最前線の医療従事者から直接フィードバックをもらって、フェイスシールドのフィット感や着け心地を調べた。

「残念なことに、良くも悪くも、防護具は海外で作られてきました。フローフォールドのようなメーカーを支援できるようなレベルの知見を持った人は国内にそう多くはいません」とモーリン氏は語った。

「通常、こうしたものは数カ月かけて検査され、食品医薬品局(FDA)の承認を得ますが、そんな余裕はありません」

そして第3段階は「法的な問題」の整理だ。モーリン氏は、大企業にとってはこれが特に重要になるかもしれないと話した。フローフォールドは新しい保険に加入し、新たな製品に関する細則を定めるのに弁護士と協力しなければならなかったという。医療現場に欠かせない製品を作ることになるため、損害賠償について州当局とも協力したと、モーリン氏は語った。

自分たちが何に秀でているか、そのスキルを何に使えるかを考える

同社のように、工場での生産の切り替えを成功させるカギは、自分たちが何に秀でているか、そのスキルをどう生かせるかをはっきりさせることだと、モーリン氏は言う。

同氏とその共同経営者たちは、フェイスシールドを作るのは自分たちにとって比較的簡単だが、防護服を作るとなると苦戦するだろうと考えていたという。そこで彼らは、ガウンやマスク、靴カバーを作るにあたり、同じくメイン州にある「American Roots」というフリース製品で知られる企業と提携した。

「フローフォールドがフェイスシールドを作っているのは、フェイスシールドを裁断できる非常に正確な機械のある技術的に優れた工場を持っているからです」とモーリン氏は語った。

「帆布やハイテク素材は大量に使っているので、こうした素材の扱いにわたしたちは慣れていました。着るものを作るのは得意ではありません」

フェイスシールドを作る様子

Courtesy of Flowfold

サプライチェーンに詳しい南カリフォルニア大学の助教ニック・ヴィアス(Nick Vyas)氏によると、こうした"機転"は今後、防護服や防護具に生産を切り替えようとする他の企業にとって、良い参考になるという。

アメリカでは防護服や防護具をめぐり自治体や病院が奪い合いとなっているが、ヴィアス氏はこうした雑音を切り離すために企業にできることとして、自分の半径150~250マイル(約240~400キロメートル)以内の最もニーズの高い病院やその他の客に集中することを挙げている。

「基準に達した防護服、防護具を確実に作ることです」とヴィアス氏は言う。

「基準に従うこと、そしてアクセスのある地元で仕事をすることです」

[原文:An American factory shifted from making outdoor gear to face shields in just 8 days. Here's how.

(翻訳、編集:山口佳美)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

あわせて読みたい

新着記事

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み