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- アメリカ、カナダ、イギリスなどで活動している「クライシス・テキスト・ライン(Crisis Text Line)」は、メールを通じて無料で悩み相談を受け付ける非営利組織だ。
- 新型コロナウイルスの感染者が急増し、アメリカでは失業者も急増する中、ホットラインへの過去2週間の相談件数は、1日あたり通常の47~116%増加しているという。
- 相談メールには「一時解雇になった」「解雇された」「ウイルス」といった言葉が頻繁に含まれていると、担当者はBusiness Insiderに語った。
- 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以来、ボランティアの相談カウンセラーの数は2倍になっている。
新型コロナウイルスのパンデミックは、メンタルヘルスの危機でもある。
アメリカ、カナダ、イギリスなどで、メールを通じて無料で悩み相談を受け付ける非営利組織「クライシス・テキスト・ライン(Crisis Text Line)」では、助けを求める相談者からのメールが増えている。
世界中で新型コロナウイルスの感染者が急増し、アメリカでは失業者も急増する中、その過去2週間の相談件数は、1日あたり通常の47~116%増加しているという。
寄せられる相談メールには「一時解雇になった」「家主」「解雇された」といった言葉が頻繁に含まれていて、新型コロナウイルスの経済的な影響が多くの人の精神面に悪影響を及ぼしていることを示していると、クライシス・テキスト・ラインのソーシャルメディア・アンド・マーケティング・コーディネーターのサラ・リー(Sara Li)氏はBusiness Insiderに語った。
労働統計局によると、アメリカでは過去2週間で約1000万人が失業給付を申請し、3月28日までの1週間で660万人が新たに申請したという。
「新型コロナウイルスはあらゆる社会経済的地位の人々に影響を及ぼしていますが、相談メールの約半数は低所得世帯から寄せられたものです」とリー氏は言う。
「相談者の約32%は、年収2万ドル(約218万円)以下の世帯です」
また、精神的な不安を訴える人の数も増えているという。クライシス・テキスト・ラインのウェブサイトを今、訪れると、「新型コロナウイルスが不安? カウンセラーに連絡を。あなたを助けるために、わたしたちはここにいます」というメッセージが表示される。
リー氏によると、「ウイルス」についての相談メールも増えていて、メールで「ウイルス」という言葉を使った人の80%は精神的な不安を訴えているという。
だが、ホットラインへの相談件数が増える中、良いニュースもある。相談メールに回答するボランティアの相談カウンセラーがパンデミック以来、2倍になっている。
そして、高まる需要に応えようとしているのは、クライシス・テキスト・ラインだけではない。ウイルスのさらなる感染拡大を食い止めるために人々が社会距離戦略(人と人との接触を極力減らすこと、ソーシャル・ディスタンシング)を取り、自主隔離をする中、オンラインで受けられるセラピーの人気が高まっている。「Online Therapy」 のCEOカール・ノードストローム(Carl Nordstrom)氏は、1週間前に比べて、新たなクライアントが30%以上増えたとInsideに話している。
「基本的に、新型コロナウイルスで人々は不安になっているのだと強く感じている」とノードストローム氏は言う。
一方、従業員のメンタルヘルス支援を充実させる企業も増えている。例えばスターバックスは、1週間に20時間以上働く全ての従業員に提供するメンタルヘルス支援の中身を拡充すると発表している。PwCも同様の発表をしている。
「もし企業がメンタルヘルス支援を通じて従業員をサポートする重要性を認識してこなかったとしても、今は疑問の余地はないはずだ」とPwCのチーフ・ピープル・オフィサー、マイケル・フェンロン(Michael Fenlon)氏はBusiess Insiderに語っている。
(翻訳、編集:山口佳美)