国会議員6割女性「男女平等先進国」ルワンダで見たデータと現実のギャップ

ルワンダ市内のマーケット周辺

ルワンダ市内のマーケット周辺。市内には未舗装の道路が多く残る。

撮影:小島寛明

東アフリカのルワンダは、世界でもっとも貧しい国のひとつながら、女性の社会進出が進んでいると言われる。

世界経済フォーラムが毎年公表している「世界ジェンダー・ギャップ指数」(男女格差指数)の2020年版ランキングでは、世界で格差が少ない国上位9位に入った。

ランキング対象の151カ国中121位の日本から見ると、ルワンダはかなり女性の社会進出が進んでいるように映る。

実際、ルワンダでは国会議員の過半数を女性が占め、中央省庁で、大臣や次官級の役職に就いている女性も多い。

しかし、現地で暮らす人たちに話を聞くと、ランキングとは違う姿も見えてきた。

国会議員の6割女性の平等先進国

世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数は、さまざまな指標を総合して算出される。

算出に用いられる指標は例えば、就業者に占める女性の比率、男女の賃金格差、企業や省庁に役員・幹部職員の女性比率、15〜19歳で結婚する女性の比率などがある。

世界経済フォーラムの報告書によれば、ルワンダの国会議員のうち61.3%を女性議員が占めている。一方、日本では女性の国会議員は10.1%で、世界の135位にあたる。

同種の仕事に対して支払われる賃金の平等さでは、ルワンダ13位に対して、日本は67位だ。

こうした指標からは、ルワンダは女性の社会進出において、世界でも先進的な取り組みが行われている国と言える。

子どもが生まれたら逃げる男たち

山田美緒さん

キガリ市内で、日本食レストランとホテルを営む山田美緒さん。シングルマザーを支援している。

撮影:小島寛明

「女の人が子どもを生んだら、逃げてしまう男の人が多いんです。まだまだ、普通の人たちの生活レベルでは、男女平等の国とはとても言えません」

ルワンダの首都キガリで日本食レストラン「キセキ」を営む山田美緒さんは、こう話す。

キセキで働く従業員23人のうち、19人がシングルマザーだという。当初は男性も雇っていたが、まじめに働いてくれるのは女性が多く、マネージャー1人を除いて、女性従業員ばかりになった。

キセキの月給は、3万ルワンダ・フラン。日本円に換算すると3500円ほどだ。

ただ、従業員とその子どもたちを含めて、食事は無料。従業員の子どもであれば、キセキで無料で食事が提供され、閉店後はビュッフェの残った食事を持ち帰る仕組みになっている。

キセキは、キガリ市内でも屈指の高級住宅街にあるが、そこから10分ほど歩くと、従業員たちが暮らす貧しい地区がある。

神戸市が主催する起業体験プログラム「KOBE STARTUP AFRICA」の一環で、2020年3月4日、筆者はキセキの従業員たちが暮らす地区を訪れた。

洗濯している様子

レオニーラさんの家族が暮らす地域。屋外で女性が洗濯をしている。

撮影:小島寛明

レオニーラさん(52)は、この地区で8人の子どもと一緒に暮らしている。父親はいない。

レオニーラさんとその娘、2人がキセキで働き家計を支えているが、家賃や電気代などを支払うと、ほとんど手元に金は残らない。

家族には男性もいるが決まった職はなく、時々、日雇いの建設現場や道路工事の仕事がある。

高成長が続くキガリ市内であっても、貧困層の男性が定職を得るのは簡単ではない。工事現場の仕事や、警備員といった職種があるが、競争は激しい。

レストランから持ち帰る食事が、家族にとって命綱の役割を果たしている。

レオニーラさんは18歳で初めての子を生んだ。「男の人は、子どもができるまではハッピーなんですが、子どもが生まれるとお金が必要だから、いなくなってしまうんです」と話す。

住宅の中

レオニーラさんら9人の家族が暮らす住宅の室内。

撮影:小島寛明

「イメージ戦略に長けた国」のままでいい?

男女格差指数のランキングで、ルワンダが大健闘を見せている背景には、同国が置かれた地理的、経済的な環境もある。

ルワンダは人口約1200万人(2018年)の内陸国だ。農業が労働人口の7割を占めているが、耕作が可能な地域が限られるため、小規模農家がほとんどを占める。

目立った資源や産業がない国が強化しているのは、外国からの投資の呼び込みだ。

世界銀行がビジネス環境を評価する「DOING BUSINESS 2020」では、ルワンダは38位、アフリカでは2番目にビジネスがやりやすい国との評価を受けた。このランキングで日本は29位だった。

さらに、現在のカガメ大統領は、ICT(情報通信技術)立国を掲げ、世界各国からIT、テクノロジー分野の有力スタートアップの誘致にも力を入れる。

女性の社会進出も、こうした政府の戦略の一部と見ることができる。

高等教育を受けた一部の女性はたしかに、政治の場や経営層に進出している。数字として目に見える結果を示しやすい領域で女性の進出を促す、ルワンダ政府の政策は、一定の成果を上げているのは間違いない。

しかし、一般の市民生活で女性の地位が高いかというと、それはまた別の話だ。とくにシングルマザーの多い都市の貧困層では、女性たちが就労を含め、多くの負担を引き受ける形となっている面が強いと考えられる。

日本の外交関係者の間でも、「ルワンダはイメージ戦略に長けた国」との見方が有力だ。

キセキの山田さんは「もともとこの国の女性はパワーがあるから、政府のイメージ戦略にも見事にマッチして、うまいこと回っている面があるのでは」とみる。

(文・写真:小島寛明)

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