「すきま時間副業」が増加中。新型コロナで伸びた在宅時間「有効に使いたい」

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新型コロナの影響で渋谷駅前の人通りも減っている。4月7日撮影。

REUTERS/Naoki Ogura

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、すきま時間を使った副業に挑戦する人が増えている。

在宅勤務の推奨により通勤時間が短縮されたり、感染予防のために自宅で過ごす時間が増えたりしたことから、スキルシェアサービスへの登録者が増加しているという

コロナショックを機に副業を始めた人の中には、減った残業時間で動画作成に取り組んだり、得意なカメラ撮影教室を企画したりと、それぞれのスキルを活かした副業に挑戦している。

ホテル勤務短縮で教室企画

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甲田さんが企画し、参加者を募集している写真教室。

出典:ストアカのHPより編集部キャプチャ

沖縄県那覇市に住む甲田智恵さん(41)は2020年2月、スキルシェアサービス「ストリートアカデミー(ストアカ)」に登録した。

ストアカは、ビジネススキルや語学など、自分の得意な技術を生かした講座のプラットフォームで、甲田さんは那覇での写真教室を掲載している。

甲田さんは2019年6月、沖縄県に引っ越し、その後県内のホテルに勤務。

営業アシスタントを担当していたが、新型コロナの影響で沖縄を訪れる観光客は減少し、「いつもなら観光客でにぎわう国際通りも観光客はまばら」(甲田さん)な状況で、ホテルの勤務時間も短くなったという。

「自宅で過ごす時間が増え、どう時間を使おうか考えました。収入を得たいという思いもありますが、それよりも自分のスキルを活かしてみたいなと」(甲田さん)

甲田さんは大学で写真を学んだことに加え、前職ではウェブサイトの作成を行った経験があるため、「散歩しながらデジカメの基本的な使い方を身につけよう!」という教室を企画した。

「まだ申し込みはないが、今後はスマホでの撮影方法やウェブサイトの作り方教室も企画している。スキルの幅を広げていきたい」(甲田さん)

コロナ影響でオンライン講座解禁

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スキルシェアサービス「ストリートアカデミー」のHP。

撮影:横山耕太郎

ストアカのサービス登録者は2020年3月現在、約42万人、うち講座を開催する先生の登録は約2万6500人。

新型コロナウイルスの影響が少なかった2020年1月に比べ、3月の登録者数は1.3倍に伸びたという

同サービスではこれまで、対面の講座のみを実施していたが、コロナの感染拡大を受け、2020年2月25 日に、Zoomなどのオンライン会議ツールを利用したオンライン講座を解禁。解禁後、オンライン講座の割合は伸び続けており、3月29日~4月4日の講座では、約2割がオンラインで実施されたという。

2月以降に登録者が増えた

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スキルシェアサービスを利用した副業が増えている(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

ウェブサイトの設計からビジネス相談まで、様々な分野の知識や経験、得意なスキルを売り買いできるスキルシェアサービス「coconala(ココナラ)」もサービス利用者を伸ばしている。

同サービスの登録ユーザーは150万人(2020年3月時点)。同サービスの出品数は2019年3月に比べ、2020年3月は約1.5倍で、特に2月以降、登録サービス数が増えているという

減った残業で「動画編集」

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関東に住む男性が出品している動画編集サービス。

出典:編集部キャプチャ

関東に住む20代の男性は、1000円で動画編集を請け負うサービスを、2月からココナラで出品。男性が勤務する貿易関連企業では、中国から輸入した製品を国内で販売しているため「新型コロナの影響をもろに受けた」という。

残業が1時間ほど短くなったため、その時間で副業ができればと考えたという。

「これまで趣味でミュージックビデオを作ったり、ゲーム動画を編集したりしてました。友達からYouTube用に動画の編集を頼まれることもあり、このスキルを活かせればと考えました」

まだ依頼は入っていないが、まずは腕試しの期間と考えているという。

「4月に入って中国の工場が動き出したので、今は仕事が逆に忙しくなってしまって。これからコツコツ続けて実力をつけていきたい」

就活生の「ES添削」なと就職相談を始める人も

大阪府在住の30代の男性は、ココナラで「就職相談」を売り出した。

「勤務先が副業を勧めていることもあったが、一番のきっかけはコロナ。これから景気が後退すれば、就活が厳しくなるのでサポートしたいと考えました」

関西の国立大学出身の男性は、これまで何度もOB訪問を受けており、就職相談や受験相談で役立ちたいと考えたという。1000円で行う受験相談には依頼が1件あった。

「自分で企画し、サービスを販売する経験は本業でも役立つと思う。自分で稼げる選択肢を持つことは大事。まずは、小遣いを安定して稼げるようにしたいです」

勤務時間短縮で副業に興味

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撮影:今村拓馬

都内に住む20代の男性は、一級建築士の資格を持っていることから、この資格試験の勉強法を教えるサービスを登録した。

「テレワークで通勤時間が減ったこともあり登録した。今回のように家を出られなくなった時や、転職時にも役立つスキルを身につけたい。サービスの登録者も多くて、注文を得るのは難しいけど、もっと工夫したい」

「好きなこと」と「市場価値」

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利用者を増やしている「ココナラ」のHP。

撮影:横山耕太郎

ココナラによると、2月以降の傾向として、VTuberのキャラクター制作や、伴奏用の音源作成など、家の中で楽しめるサービスの需要が伸びているという。

ココナラ広報担当の柳澤芙美さんは、副業で成果を出すためには「需要の高いサービスの提供が成功の近道」という。

「動画の編集や、プログラミングなどのスキルは市場価値が高い。例えば、ダイエットサポートで一般的な会社員の月収以上の売り上げになった人もいる。

一方で、自分が好きなことや得意なことでないと、副業として続けていくのは難しい。歴史好きで『名字のルーツを探すサービス』をしている人もいる。自分が好きなことや経験を見直し、市場価値の高いサービスを考えてみてほしい」(柳澤さん)

(文・横山耕太郎)

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