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「コロナは避けたい」変わる若者の意識。感染防止の最も重要なポイントとは?【新型コロナウイルス】

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若者のコロナへの危機意識は急激に変わっている。

shutterstock/Have a nice day Photo

「インフルエンザになるのは、手洗いうがいしてなかった証拠ですかね」

3月下旬のある夜、都内の大学に通う知人の大学生(21歳)からこんな連絡がきた。

39度近い発熱や、体の節々を襲う痛み。

「人生でなったことがないタイプの症状でした」(大学生)

新型コロナウイルスへの感染の不安も少しは頭をよぎったというが、咳などの症状が無かったため、インフルエンザにかかったのではないかと疑ったそうだ。

「知らぬ間に誰かが死んでしまうのは怖い」

3月下旬といえば、東京都内では新型コロナウイルスの感染者がちょうど大きく増えはじめたころ。

相談を受けた筆者は、ただの風邪だと祈りつつ、念のため新型コロナウイルス感染症に関わる帰国者・接触者相談センターの連絡先や、病院へ行く際の注意点などを伝えた。

幸い、翌日には熱は低下し、2〜3日で喉の痛みなどの症状も落ち着いたという。この学生が実際に新型コロナウイルスに感染していたのか、インフルエンザだったのか、それともただの風邪だったのかは今となっては分からない。

たとえいくら注意深く生活していたとしても、外を出歩き、人と関われば何らかのウイルスに感染するリスクにさらされる。感染経路が分からない患者が増えて来た現状では、たまたま感染したウイルスが新型コロナウイルスであっても、なんらおかしくはない。

「3月はオール(ナイトで)でカラオケに行ったり、確かに喉や体を酷使していた自覚はあります。それで、弱っていたのかもしれません。正直、『俺らの春休み、楽しまなきゃ損でしょ!』という感覚もあり、それなりに出歩いていました。コロナについても知ってはいたけど、若者がかかっても軽症だし、なんだかんだ大丈夫でしょうと思っていました」(同)

と当時を反省するこの学生は、体調が回復して以降、外出の自粛はもちろん、周囲にもその重要性を呼びかける日々を送るようになった。

「自分は大丈夫だとは思うけど、人にうつして知らぬ間に誰かが死んでしまうのは怖いなと思って」(同)

「緊急事態宣言」の目的。リスクを引き算で考える

安倍総理

4月7日、緊急事態宣言についての記者会で詳細を説明する安倍晋三首相。

Tomohiro Ohsumi/Pool via REUTERS

4月7日、7都府県を対象に発出された「緊急事態宣言」。

法的根拠のある外出の自粛要請とはいえ、私達は何を気にし、どこまで取り組むべきなのか。

安倍首相は会見で、人との接触を極力8割削減するよう要請した。

「自粛」という言葉が独り歩きしているが、記者会見では「一歩も外に出てはいけない」というわけではないことが何度も繰り返された。

国際医療福祉大学病院で新型コロナウイルス感染症の治療にあたる松本哲哉教授は、3月末に行われた取材で、外出時のリスクについて、

「一人で外を散歩、ジョギングをするという程度であれば、大きなリスクにはならない」(松本教授)

と話していた。

感染のリスクに対するこの考え方は、緊急事態宣言が出された今でも、基本的には変わらない。私生活を送る上で重要となるのは、感染者と「濃厚接触」する割合を減らすことだ。

松本教授は、

「どういうものが濃厚接触にあたるのかは、実は単純には決められません。

例えば、マスクをせず、人の間隔が1〜2メートル以内で会話をするような条件だと濃厚接触といえそうです。近距離での会話によって、口から飛んだ『飛沫』を介してウイルスに感染する可能性があるからです」(松本教授)

と話す。

2メートル以上離れていれば絶対にウイルスに感染しない(飛沫が飛んでこない)というわけではないが、距離が離れるほどリスクは低くなる。

三密の画像

この3つの条件が重なるような場所では、新型コロナウイルスの感染が拡大しやすいと考えられている。

出典:東京都

また、感染のリスクは距離だけではなく、人と会話する頻度や時間の長さにもよる。

「30分〜1時間と、長い会話をしていればその分リスクは上がります。もちろん、15分なら問題ないという話でもありません」(松本教授)

たった5分でも、近距離で大声を出されれば十分飛沫感染するリスクはあるといえるだろう。

緊急事態宣言がなされた現状では、周囲にいる人が全員新型コロナウイルスに感染しているという前提に立ち、「会話するときの距離」「会話の長さ」「会話の頻度」といった感染のリスクを上げる要素を減らすことが重要だといえる。

これが、いわゆる「3密」(密閉、密集、密接)の環境を避けることや、人と会う機会を減らすことを要請された理由だといえる。

宅飲みやドライブ、テラハ会……人と直接会うことは自粛を

家にいる女性

外出がしづらくなった今、家で集まる人もいる。

shutterstock/Fedorovacz

20〜30代の若者は、新型コロナウイルスに感染しても軽症で済みやすく、それが影響して知らぬ間に感染を広げる役割を担っている可能性があると考えられている。

ただしここ数日、ヨーロッパでは新型コロナウイルスに感染した健康な10代や20代の若者が亡くなったり、重症化したりする例が報告されている。

日本でも医療崩壊が起き、感染者が爆発的に増えてしまうと、同じように若者でも亡くなってしまう例が出てくる可能性がある。若いから大丈夫とは言い切れない現実が迫っていると考えた方が良いだろう。

では、私達はどこまで行動を控えればよいのか。

緊急事態宣言に伴い、密室した空間で飲んだり食べたりしながら会話する「飲み会」は、特に強く控えるよう要請されている。

多くの居酒屋の休業が予想される中、自宅に集まって飲み会を開こうと考えている人もいるかもしれないが、それは本末転倒だ。

今求められるのは、先に説明した通り人との接触の自粛だ。例え自宅であろうが、近距離で飲食しながら会話するという行為は、感染のリスクが高いといえるだろう。

飲み会に限らず、自宅で友人と映画やドラマを見たり、友人らとドライブに行ったりする行為も、人と会う時点である程度リスクを高める行為だといえる

流行としての「自粛」は、感染の拡大を防ぐ特効薬になるか?

道端でスマホをいじる若者

オンラインでのやりとりが増えている。

撮影:今村拓馬

「気づいたら報道の様子や、周囲のノリも急激に変わっているような気がしました。SNSを見ても、『外を出歩くのは良くないよね』という空気感が出てきた。日に日に増えていく感染者数などを見て、ちょっと慌てています」(冒頭の大学生)

ここ数週間の間に、若者の周辺環境や意識も大きく変わってきた。

YouTuberのヒカキンさんやkemioさん、お笑いコンビのEXITなどによる、動画での呼びかけなども目立ち始めた。

前出の学生によると、Instagramのストーリー機能で「#おうち時間」というハッシュタグやそのスタンプなどが流行り始めているという。「自宅にいる」ということをポジティブに捉える試みが、若者にとっての一種のトレンドになりつつあるといえるのかもしれない。

感染してしまった時に『あいつやっちまったな』と後ろ指をさされることが嫌なんです」(大学生)

「重症化リスクが低いから大丈夫……」という意識が変わってきたのだとすれば、 それ自体は良いことだ。

法的拘束力なき緊急事態宣言をした日本。「空気感の変化」によって、行動が変わり、実際にも感染の爆発的な増加が抑制されるのか。日本の動向は世界中から注目されている。

(文・三ツ村崇志)

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