新型コロナ「中国生物兵器説」がこれほど拡散された理由。新興宗教「法輪功」など反中勢力が暗躍

新型コロナ 消毒

中国・北京で新型コロナウイルスの消毒作業を行うスタッフ。「中国の生物兵器」「自作自演」的な陰謀論はなかなか消えない。

Kevin Frayer/Getty Images

新型コロナウイルスに関するデマのなかに、「中国が密かにつくった生物兵器説」があり、陰謀論系サイト経由でそれが拡散されてきたことを、前回記事で説明した。

中国生物兵器説の根拠となっている情報は主にふたつある。

ひとつは、中国・武漢にきわめて高度な病原体研究施設があるということ。それは事実だ。

もうひとつは、新型コロナウイルスが人工ウイルスだとする、インドの研究チームによる論文。しかし、論文は「誤解されて伝わった」ことを理由に取り下げられ、その内容については世界の専門家たちにより否定されたことを、前回記事で書いた。

人工ウイルスでないのなら、誰かがつくった生物兵器でないことにもなる。あらためて中国生物兵器説も否定されたわけだ。

ただ、今回の新型コロナウイルスが本当はどこで発生したのか、その「起源」は具体的に明らかになっていない。そのため、武漢の病原体研究施設について中国が全面的に情報開示しなければ、研究施設で偶然に発生したものが漏洩した可能性を完全否定することはできない。

だが、研究施設からの漏洩を決定づける具体的な情報があるわけではないから、漏洩説は単なる想像にすぎない。また、ウイルスが偶然に変異したとすれば、それが研究施設内で起きた可能性は、自然界で起きた可能性より圧倒的に低い。

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