買い物客はルールを守って! アメリカでは食料品店で働く従業員が新型コロナウイルスで30人以上死亡している

食料品店

店側はソーシャル・ディスタンシングを求めているが……。

Gregory Rec/Portland Press Herald via Getty Images

  • 全米食品商業労働組合(UFCW)によると、アメリカではこれまでに食料品店で働く従業員少なくとも30人が新型コロナウイルスに感染、死亡している。また、少なくとも3000人が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような症状があるまたはウイルスにさらされたという。
  • 食料品店を経営する大半の企業では、病気休暇を取得し、給付金を受け取るには新型コロナウイルスの検査で「陽性」と診断されることが必要とされている。だが、検査を受けるのは不可能に近い。その結果、従業員はしばしば体調が悪くても出勤し続けざるを得ず、食料品店で働く人たちが実際にどのくらい新型コロナウイルスに感染しているかは分からない。
  • 食料品店で働く従業員たちは政府に対し、自分たちを"初期対応者"扱いとすることを求めている。そうすれば、検査や防護服などに優先的にアクセスできるようになるからだ。
  • 従業員たちはまた、買い物客に対し、社会距離戦略(人と人との接触を極力減らすこと、ソーシャル・ディスタンシング)をきちんと守ること、使った防護具はショッピングカートや地面にポイ捨てせず適切に処分することを求めている。

アメリカではこれまでに食料品店で働く従業員少なくとも30人が新型コロナウイルスに感染、死亡している。また、少なくとも3000人が体調不良またはウイルスにさらされたため、働けなくなっているという。

全米食品商業労働組合(UFCW)は、同組合の組合員30人以上が新型コロナウイルスで死亡したと、4月13日の記者会見で明らかにした。UFCWは食料品店や食品加工場で働く約130万人を代表して、政府に対し、組合員の保護を強化するよう求めている。また、疾病予防管理センター(CDC)に対しては、食料品店の従業員を"初期対応者"扱いとし、検査や防護具などを優先的に提供するよう求めている。

30人という死亡者数は、UFCWが把握している数字に過ぎないと、同組合のプレジデント、マーク・ペローネ(Marc Perrone)氏は語った。ホールフーズ(Whole Foods)やトレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)など、組合に入っていないチェーン店は多く、こうしたチェーン店の数字はUFCWが集めるデータにも含まれていない。

ペローネ氏は、企業と政府はいずれも労働者を守ることができていないと指摘する。同氏は食品宅配のインスタカート(Instacart)を例に挙げ、この会社では、従業員が病気休暇を取得するには、新型コロナウイルスの検査で「陽性」と診断されなければならないという。しかし、検査に対する需要があまりにも高いため、検査を受けるのは不可能に近い。患者がそれなりの症状または深刻な症状を示していても、だ。

ニューヨークで23の病院を展開するノースウェル・ヘルス(Northwell Health)のグローバルヘルス担当のダイレクターで、ホフストラ大学医学部の助教Eric Cioe-Peña氏は、明らかに新型コロナウイルスに感染していると思われる患者の検査を医師たちが断らざるを得ないケースは多いと、Business Insiderに語った。病院は検査を最も重篤な、命に関わる患者のために確保しているため、大半の感染者はカウントされていないのだ。

また、連邦政府が求める、新型コロナウイルスによる2週間の病気休暇の制度を導入している企業の大半も、従業員に対し、疾病手当を受け取る前に新型コロナウイルスの検査で「陽性」となったことを証明する診断書の提出を求めている。こうしたやり方は、店側が新型コロナウイルスの感染者を見逃し、さらなる感染拡大や従業員の死につながりかねない。

UFCWでは、消費者にも自らの行動を変えるよう呼びかけている。食料品店が通路を一方通行にしたり、人との距離を開けるよう求めるなど安全対策を実施しようとしても、従業員たちによると、多くの買い物客がそれを真剣に受け止めていないという。

UFCWが食料品店で働く従業員5000人を対象に実施した調査では、回答者の85%が客がソーシャル・ディスタンシングを守っていないのを見たことがあると答えている。

食品スーパー「クローガー(Kroger)」のミシガン州にある店舗で働いているアーロン・スクイオさんは、自身の同僚の1人が最近、新型コロナウイルスで死亡したと記者会見で語った。スクイオさんは、今でも店側の安全対策に従わない客 —— 一方通行の通路を無視したり、特定の商品を手に入れるために従業員に無理を言ったり、何の防護具も身に付けずに1日に何度も店に来たり —— を頻繁に目にしているという。

スクイオさんは買い物客に対し、自分や周りの人々がウイルスにさらされるのを最小限にするため、店に滞在する時間はできるだけ短くするよう勧めている。

「買い物リストを作りましょう」

また、自分が使ったマスクや手袋といった防護具をショッピングカートや地面にポイ捨てしていく客も多く、処分にあたる食料品店の従業員を危険にさらしている。

「使ったマスクや手袋はカートや地面にポイ捨てせず、もう数歩歩いて、きちんとゴミ箱に捨ててください」と、ニューヨーク市にあるスーパー「ストップ&ショップ(Stop-and-Shop)」のベテラン従業員グレッグ・フィンチさんは記者会見で語った。

UFCWは、食料品店で働く従業員の健康は、買い物客の健康に影響を及ぼすと強調した。食料品店で働く人々が新型コロナウイルスにさらされたままということは、一般市民も同じなのだ。

[原文:At least 30 grocery store workers have died from the coronavirus, and their colleagues are pleading for shoppers to wear masks and respect social distancing

(翻訳、編集:山口佳美)

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