Yuri Smityuk/Getty Images
アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、世界の海の推定80%は手付かずのままで、未だ発見されていないさまざまな種が生息している。
だが、そうした生き物たちを見つける前に、わたしたちは海を破壊する可能性もある。世界経済フォーラムの2016年の調査によると、毎年800万トンものプラスチックが海に捨てられていて、その数字は今後、さらに増えると見られている。クラゲ、シャチ、アシカ、カメなど多様な生物でいっぱいの海は近年、海洋汚染や乱獲によって脅かされている。事実、人間はすでに一部の種を絶滅させている。
4月22日のアースデイを前に、Insiderではわたしたちが失おうとしているものを思い起こさせてくれる、20枚の海と海に生きる生物たちの写真をまとめた。
(以下、敬称略)
写真のように、この世界には驚くほど美しいビーチや透き通った海がある。
ニュージーランド。
DmitrySerbin/Shutterstock
海はアーティスト、作家、写真家、そしてダイバーを魅了してきた。
少年時代、ニュージーランドで海中探索に恋をしたブライアン・スケリー(Brian Skerry)は、40年間ダイバーとして活動してきた。
「生まれつきわたしの中にある何かが、わたしを海の探索に引きつけるのです」とスケリーはInsiderに語った。
「わたしは15歳の頃にスキューバダイビングを始めました。初めは、ただ探検家になりたかったんです。海の探検家に」
海は、ザトウクジラといった世界最大の動物たちの生息地だ。
ザトウクジラ。
Auscape/Getty Images
クジラは、スケリーがダイビングで出会った海の生き物の1つだ。
「こうした類まれな出会いにハマっていくんです」とスケリーは語った。
ナショナルジオグラフィックによると、ザトウクジラは世界中の海に生息しているという。主にオキアミ、プランクトン、小さな魚を食べる。そして、「歌」を通じてコミュニケーションを取る。
他にも、脳や心臓、目のないクラゲのような奇妙だが雄大な生き物たちもいる。
クラゲ。
Benjamin Lowy/Getty Images
5億年前に誕生したと言われるクラゲは、その95%が水でできている。中でも、ベニクラゲは不老不死と言われている。
イソギンチャクは緑、紫、ピンク、オレンジなど、さまざまな色をしている。
イソギンチャク。
© Arthur Kingdon/UPY2020
イギリスの自然保護団体「ワイルドライフ・トラスト」によると、それぞれのイソギンチャクには約100もの小さな触手があり、無性生殖で繁殖できるという。
クマノミとイソギンチャクのように、海の生き物たちは微妙なバランスで共生している。
クマノミ。
Stan Wayman/Getty Images
映画『ファインディング・ニモ』で人気となったクマノミは、オレンジと白のしま模様で知られる。ナショナルジオグラフィックによると、クマノミは全てオスとして生まれ、一部がメスに性転換する。
この写真では、氷山の周りをアシカたちが優雅に泳いでいる。
アシカ。
© Greg Lecoeur/UPY2020
グレッグ・ルクール(Greg Lecoeur)が撮影したこの写真は、2020年の「Underwater Photographer of the Year」でトップ賞を獲得した。
そして、世界の海には2000種以上のエビが泳いでいる。
エビ。
Alessandro Rota/Getty Images
イエローラインアロークラブは、カリブ海と大西洋のサンゴ礁に生息している。
イエローラインアロークラブ。
ullstein bild/Getty Images
イエローラインアロークラブは水深10~30フィート(約3~9メートル)に生息している。その姿はクモを思い起こさせる。
だが、サンゴ礁にはこの写真のハゼのようなかわいらしい生き物もいる。
ハゼ。
© Hannes Klostermann/UPY2020
ハゼもイエローラインアロークラブも、海洋酸性化の影響を受ける可能性がある。
「(海の)性質が変わり、酸性化している」とスケリーは言う。
「海洋酸性化だ。海にいるカルシウムを含むもの —— 多くの生き物にとってのタンパク源となっているサンゴ礁や貝殻、小さな波消しブロック —— が海水によって浸食されている。ひどいカスケード効果だ」
マングローブ林や海底に近い藻場に生息しているタツノオトシゴは、そのユニークな姿と色で知られている。
タツノオトシゴ。
Marcos del Mazo/Getty Images
このリーフイカのように、発光性の海の生き物たちは、暗く深い海に適応している。
夜のリーフイカ。
© Enrico Somogyi/UPY2020
イルカは、海に生息する最も社会的な生き物だ。通常、10頭以上の群れで泳いでいる。
イルカ。
David McNew/Getty Images
ナショナルジオグラフィックによると、イルカは非常に社会的な生き物で、キーキーという声や口笛、舌を打つ音でコミュニケーションを取り合っている。世界には32種のイルカがいて、マウイイルカの場合、その個体数は世界で100頭を切っている。
シャチは「キラーホエール」と呼ばれることもある。
シャチ。
Yuri Smityuk/Getty Images
ナショナルジオグラフィックによると、シャチの体重は最大6トンにもなり、その平均寿命は50~80年だ。
海底でじっとしているアカエイとは違い、マダラトビエイは活発に海中を泳いでいる。
マダラトビエイ。
© Henley Spiers/UPY2020
国際海洋保護団体「オセアナ(Oceana)」によると、マダラトビエイは通常、熱帯沿岸に生息している。貝や牡蠣、ウニ、エビなどを食べ、その尾には自らの身を守るための「尾棘」と呼ばれる毒針がある。
レモンザメは、その黄色っぽい肌の色から名付けられた。
イタチザメ。
© Anita Kainrath/UPY2020
海の中で最も変幻自在な生き物であるタコは、からだの色を変えて、周りの環境に溶け込むことができる。
タコ。
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タコは地球上で最も変わった生き物だ。その血は青く、触手は切断されると再生する。そして自身のRNAを編集することもできる。そうすることで、温度変化にも適応できるという。
海の捕食者ホホジロザメは魚の集団の中を泳いでいる。
ホホジロザメ。
Barcroft Media/Getty Images
PBSによると、1100万年前に誕生したホホジロザメは魚類の中で最も大きい捕食者だ。最大で体長21.5フィート(約6.6メートル)、体重7000ポンド(約3200キログラム)以上にまで育つ。映画『ジョーズ』で有名になったホホジロザメだが、実際は人間を食べることに興味はない。ホホジロザメの天敵はシャチだ。
ウミガメは、その大半の種が絶滅の危機に瀕したもしくは絶滅のおそれがあるとされている。
アオウミガメ。
Wild Horizon/Getty Images
ウミガメはその一生の大半を海で過ごし、産卵時に海岸に戻る。
このトラフィックコーンにはまったロブスターのように、海の生き物たちは人間が海に捨てたゴミともうまく付き合おうとしている。
ロブスター。
Kirsty Andrews/UPY2020
海やビーチは、海洋汚染によって脅かされている。だが、人間は変化をもたらすことができると、ダイバーのブライアン・スケリーは言う。
カリフォルニア州リトル・コロナ・ビーチ。
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「消費者や市民に知らせれば、わたしたちは本物の変化をもたらすことができます」とスケリーは言う。
「わたしたちは今、初めて問題とその解決策を理解し始めた歴史上の転機にいるのだとわたしは考えています。こうした解決策のために、努力すればいいのです。わたしたちの今日の選択、決断が種の未来を決めるでしょう」
[原文:20 magical photos that will make you want to protect our oceans]
(翻訳、編集:山口佳美)