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新型コロナウイルスの感染拡大でますます不可欠になる食料品のネット注文…… だが、取り残されてしまう人々も

食料品を届ける人

食料品を届けるインスタカートのスタッフ。

Associated Press

  • 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、アメリカでは食料品や食事のオンライン宅配サービスが欠かせないツールとなっている。
  • しかし、インターネットにアクセスできなければ、新型コロナウイルスによって最も弱い立場に置かれている人々はサービスを利用することができない。
  • 中でも、高齢者、障がい者、低所得者、有色人種、銀行口座を持たない人々はこうしたサービスを利用したいと思っても、ハードルにぶつかる可能性が高い。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、アメリカでは食料品や食事のオンライン宅配サービスが多くの人にとって"天の恵み"となっている。

しかし、品物が手に入りづらかったり、技術的な問題が生じたりで、一部の買い物客はウォルマート(Walmart)やホールフーズ(Whole Foods)、ターゲット(Target)といった小売店だけでなく、インスタカート(Instacart)といった食品宅配オンラインサービスに対して激怒している。そして、問題はアメリカの中でも最も弱い立場に置かれている人々にとって、よりシビアなものになっているのかもしれない。

Namogooのデータによると、2020年3月のオンライン・スーパーマーケットの訪問者数は2019年3月に比べて162%増えている。インスタカートのプレジデント、ニラム・ガネンティラン(Nilam Ganenthiran)氏はクレディ・スイスに対し、ここ数週間の売り上げは「ブラックフライデーをはるかに超えている」と話した。

「わたしたちにとっては、毎日が新たなブラックフライデーだ…… 毎日、わたしたちは特別な日々を送っている」とガネンティラン氏は言う

レストランは、デリバリーが売り上げの急激な減少を回避する助けになればと願って、グラブハブ(GrubHub)やウーバーイーツ(Uber Eats)といった宅配サービスと提携している。多くの大手外食チェーンは、客に宅配注文やモバイルアプリでの支払いを勧めている。例えば、チックフィレイ(Chick-fil-A)では、現金を介して新型コロナウイルスの感染が拡大するのではないかとの従業員の懸念を受け、一部店舗で現金の取り扱いを止めている

しかし、"新型コロナウイルスの時代"への適応を急ぐ中、企業は多くのアメリカで最も弱い立場の人々 —— 高齢者や障がい者、銀行口座を持たない人など —— を置き去りにする危険がある。

高齢者、障がい者、貧困層が不利に

自宅介護を受ける女性

Yves Herman/Reuters

ピュー・リサーチ・センターの2019年の調査によると、アメリカでは65歳以上の人の4人に1人以上がインターネットを利用していない。高齢者や低所得者で、自宅で高速インターネットを使用できる人はあまり多くはない。この調査では、ブロードバンドにアクセスできる人の割合は、年収3万ドル(約320万円)以下の世帯で56%、65歳以上の高齢者で59%だった。

また、同調査では人種によっても差があることが分かった。白人世帯の79%がブロードバンドにアクセスできる一方で、黒人世帯では66%、ラテン系世帯では61%だった。

ウェブやアプリを通じた注文・宅配は、障がいのある多くの人にとっても簡単ではない。ソフトウエア会社User1stによると、障がいのあるアメリカ人の半数以上が、ウェブサイトを見て回るのに苦労しているという。

特にショートカットキーが使えない場合、動きに制限のある人たちにとっては、ウェブサイトやアプリを使って注文するのが難しいこともある。代替テキストがなければ、視覚障がい者がウェブサイトを利用することは不可能だ。User1stによると、同社がウーバーイーツやドアダッシュ(DoorDash)、インスタカート、グラブハブなどのウェブサイトをチェックしたところ、リンクや画像に問題があったという。

「これらのウェブサイトは客により良いサービスを提供するために大いに努力しているが、(文字読み上げソフトまたはショートカットキーを使ったマニュアル・テストといった)追加措置をサイトのアクセスのしやすさを向上させる取り組みに含めるべきだ」とUser1stのコミュニケーション担当のバイスプレジデント、レイガン・バルトロ(Raegan Bartlo)氏は指摘する。

アプリを通じてビジネスをオンライン化させようとする動きは、銀行口座を持たないアメリカの世帯約6.5%、約1410万人を締め出す可能性もある。こうした人々は、現金払いを認めないビジネスから基本的に排除されてしまう。

こうした反発の一部は新しいものではない

モバイルペイ

Maxim Zmeyev/Reuters

User1stによると2020年、パンデミックになる前の時点で、障害を持つアメリカ人法(ADA)のガイドラインに合致していないと見られるウェブサイトまたはアプリに対して500件を超える訴訟が起きていた。2019年には、目の不自由な客から訴えられたドミノ・ピザが、ADAはインターネットには適用されないと主張した

現金払いをできないようにしようとした企業も批判にさらされている。アマゾンが運営するレジなし食料品店「Amazon Go」とサラダ専門チェーン「Sweetgreen」は2019年、銀行口座を持たない人に与える影響が問題視されたことを受け、そのキャッシュレスサービスを撤回した。マサチューセッツ州、ニュージャージー州、フィラデルフィア州を含む複数の州が、企業に現金払いを受け入れるよう求める法案を通過させた。

新型コロナウイルスのパンデミックで、こうした懸念はこれまでになく深刻なものになっている。宅配サービスのウェブサイトやアプリに最もアクセスしづらい人々は —— インターネットにアクセスがないなど、理由は何であれ —— 新型コロナウイルスに感染すれば死亡する可能性がより高くなる。

基礎疾患や障がいのある人々にとっても、新型コロナウイルスは命取りになり得る。若い世代も新型コロナウイルスで死亡しているが、高齢者の死亡率はもっと高い。そして、アフリカ系アメリカ人の新型コロナウイルスによる死亡率はアメリカ人全体の死亡率よりも高い

疾病予防管理センター(CDC)では、基礎疾患のある人や高齢者に対し、新型コロナウイルスに感染しないよう最大限積極的な手段を取るようアドバイスしている。 だが、こうした人々はオンライン注文といったソリューションから最もはじかれる可能性のある人々だ。

こうした状況を正すべく、取り組んでいる企業もある。例えば、ウォルマートは4月中旬、初期対応者や障がいのある人、新型コロナウイルスで重篤化するリスクの高い人たち向けに、食料品を受け取りに行ける時間を毎日1時間設けると発表した

「質の高い新鮮な食料品をできるだけ安全に家に持ち帰るため、人々は今、これまで以上に我々の受け取りサービスを頼りにしている」とウォルマートのカスタマープロダクト担当のシニア・バイスプレジデント、トム・ワード(Tom Ward)氏は述べている。

「これは異例ともいうべき時だ。リスクの最も高い人々をはじめ全ての顧客に変わらない安心を届けるため、我々は常に方法を模索している」

[原文:Grocery and food delivery apps are increasingly crucial amid coronavirus, but these may be out of reach for the most vulnerable Americans during the pandemic

(翻訳、編集:山口佳美)

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