リーバイスとコラボしたTikTokインフルエンサーによるプロモーション動画の撮影風景。
Levi's
- TikTokの新たなショッピング機能を試験的に導入したパートナー企業は、早くも全世界8億人のユーザーに認知されつつあるという手応えを感じている。
- リーバイスが4月20日に投稿したブログによると、TikTokのこの新機能を利用したことで、デニム製品のサイトの閲覧数が2倍となり、コラボしたインフルエンサーがTikTokに投稿した動画の視聴時間も、他の動画の平均視聴時間の2倍になったという。
- この試験導入の結果から、リーバイスはTikTokが収益を上げるための有効な手段になると考えている。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、実店舗を無期限で閉鎖せざるを得ない状況の中、オンラインショッピングの売上を強化する新たな手法にもなるだろうと、ブログで述べている。
全世界8億人に上るTikTokのユーザーは、アプリで動画を何時間も見続けるだけでなく、新しいジーンズも購入できるようになった。
動画共有アプリTikTokは、インスタグラムの「Shop Now」と同様のショッピング機能を2019年11月に試験的に公開し、リーバイスなどの大手小売企業と提携して実験を行ってきた。ベータ版では企業とコラボしたインフルエンサーが投稿した製品紹介動画から、販売サイトへ直接移動できるようになっている。
ベータ版の試験導入に、最初に取り組んだ企業の一つがリーバイスだった。同社のブログによると、この新機能でデニムのカスタマイズ製品のプロモーションを行ったところ、サイトの閲覧数が2倍以上となった。さらにコラボしたインフルエンサーがTikTokに投稿した動画の視聴時間は、他の動画の平均視聴時間の2倍になったという。
インスタグラム(Instagram)、スナップチャット(Snapchat)、フェイスブック(Facebook)などのソーシャルメディアのショッピングツールと同様に、TikTokの新たな機能も、多くの動画を視聴して多くの人にシェアすることに熱心な若いユーザーをターゲットにして収益を上げようとしている。今はまだこの機能を利用できる企業は限られているが、特に新型コロナウイルス感染拡大防止のために多くの店舗が閉鎖を余儀なくされる中、何とか持ちこたえようとする小売業者にとって、この機能は有効な収益手段となるだろうとリーバイスはブログで述べている。
同社は「現在、リーバイスのほとんどの実店舗は閉鎖されているが、デジタルによってビジネスを成長させ、あらゆるタイプのプラットフォーム、メディア、テクノロジーを介して顧客とつながるための新たな方法を追及していきたい」という。
「その中でTikTokとの新たな提携はエキサイティングだ。我々の最新の取り組みにより、消費者はソーシャルプラットフォームから直接製品を購入できるようになる」
TikTokは、Business Insiderからのコメントの要請には応じなかったものの、2019年11月のウォール・ストリート・ジャーナルでは「アプリでの体験が向上するよう、常に新たな方法を試している」と述べている。だが、この機能を利用している企業の数や、この機能を通した売上から手数料を取る計画があるのかといったことの詳細については明らかにしていない。
将来的にこの機能は、特にZ世代(1990年代中盤以降に生まれた世代)を将来にわたって顧客として取り込む上で有効だろうと、リーバイスは考えている。というのもTikTokユーザーの60パーセントが16歳から24歳だと推計されているからだ。さらに、将来また発生するかもしれないパンデミックにおいても消費者とつながる手段になるだろうとしている。
「今後数カ月のうちに、消費行動が変化し、消費者がいくつものオンラインチャンネルを利用してブランドとつながるようになるだろう。我々も、消費者がどこにいようとも、つながることができるようにしている」とリーバイスの直販マネージングディレクター、ブレイディ・スチュワート(Brady Stewart)氏は同社のブログで述べている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)