100万円の「持続化給付金」を個人事業主が申請する方法…今から準備できる3つの書類

フリーランス スマホ

先行きが見えない中、適切な準備をすることが必要だ。(写真はイメージです)

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新型コロナウイルス感染症対策のための緊急事態宣言が全国に拡大され、感染防止のために経済活動を休止せざるを得ない日々が続いている。フリーランスを含む個人事業主の人たちのなかには、発注のキャンセルや無期限延期、または発注先からの連絡が途絶えたなどの、困難な状況にある人もいるだろう。

新型コロナウイルスの影響の先行きが見えない中で、事業を存続させ経済活動を維持していくために、経済産業省から個人事業主ならば最大100万円の給付を受けられる「持続化給付金」が発表された(中小企業や医療・社会福祉・NPO法人など法人の場合は最大200万円)。制度の名称がわかったのは2020年4月8日のことだ。

持続化給付金の趣旨は「感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を支給します」となっている。胸を張って事業を再開する日のために、ぜひとも給付を受けたいところだが、詳細は4月の最終週に発表となるため、申請方法など細かい点がまだわからない。そこで、現在公表されている制度の基本事項と、中小企業庁への取材から分かった情報を加え、4月17日時点でできる準備について紹介する。

持続化給付金に関するお知らせ

出典:経済産業省「持続化給付金に関するお知らせ」

給付の対象事業者と算出方法

役所 手元

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フリーランスを含む個人事業主のなかで、持続化給付金の対象となるのは、「前年同月比で売り上げが50%以下に減少した」事業者だ。計算方法は、「前年の総売り上げ(事業収入)―(前年同月比▲50%月の売り上げげ×12カ月)」となっている。まずは、年間売り上げが300万円のフリーランスを例に、かんたんに試算してみよう。

グラフ

筆者作成

ケース1:2019年度年収300万円で、4月の月間売り上げが前年(2019年)の50%以下となる10万円だった場合

2019年の年間売り上げ:300万円

2019年4月の月間売り上げ:50万円

2020年4月の月間売り上げ:10万円

300万円-(10万円×12)=180万円

減収が180万円となり、100万円(最大給付額)の給付が受けられる。

ただし、この給付額算出方法には「昨年1年間の売り上げからの減少分を上限とする」という条件がある。どんな場合に当てはまるのか、同じ年収300万円だが売り上げ減少が小さい場合を試算してみる。

ケース2:2019年度年収300万円で、4月の月間売り上げが前年(2019年)の50%以下となる20万円だった場合

2019年の年間売り上げ:300万円

2019年4月の月間売り上げ:50万円

2020年4月の月間売り上げ:20万円

300万円-(20万円×12)=60万円

減収が60万円となり、「減少分を上限とする」条件のため給付は60万円となる。

こうして試算してみると、売り上げが大きく落ち込み、苦しんだ月を基準とするほうが制度の網にかかりやすい、ということが見えてくる。

例に挙げた年収300万円事業者の売り上げ集計表は、年末と年度末に仕事が集中し、月によって売り上げが上下する事業者を想定している。売り上げ0円の月がもしあれば、2020年の売り上げ想定は0円となり、2019年の総売り上げが100万円を超えていれば最大100万円の給付を受けられることになる。

制度の「2つの懸念」に対応を検討中

道を歩く人

今村拓馬

この制度を調べているうちに、個人的に2つの懸念が浮かんだ。

1つ目は、制度の発表時に懸念事項として浮上したものだが、「創業から1年未満で2019年の売り上げ集計表が1年分そろっていない事業者はどうすればよいのか」という点だ。これについては「昨年創業した方などに合った対応も引き続き検討しています。」との文言が経済産業省の発表パンフレットにあり、何らかの手当てが受けられることが明言されている。

中小企業庁への取材によれば、「4月最終週の詳細発表時にこの点についても情報を出す」とのことだ。少なくとも、創業から日が浅い事業者を制度から締め出すということではない。

もう1つは、支給対象が「世帯主のみか、または事業者単位か」という点。これについても中小企業庁へ確認した。夫婦でフリーランス、親子で個人事業主と1世帯に2人以上の個人事業主が働いている場合を考慮したため

だ。「事業者単位で、それぞれが給付を受けられる」との回答があった。

「確定申告」が重要。今からでも間に合う

役所受付

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持続化給付金を申請するにあたり、必要な情報は以下の3つだ。

  • 住所
  • 口座番号
  • 通帳の写し(個人事業主の場合は個人名義のもの)

対面の窓口を使わずウェブ上での電子申請が可能になる予定で、中小企業庁への取材によれば、「申請のためにマイナンバーカードを必須とする予定はない」とのことだ。

また、申請にあたって次の3つの書類が必要になる。

●個人事業主の場合

1.本人確認書類

2.2019年の確定申告書類の控え

3.減収月の事業収入額を示した帳簿等(様式は問わない)

つまり、「申請時に2019年の確定申告を済ませていること」が必要になる。

すでに青色申告事業者として毎年、必ず期限までに申告をしている人ならば、準備はできている。

また、もしまだ済んでいなくても大丈夫。2019年分の申告は期限を区切らずに受け付けられることになっており、今からでも十分間に合う。

これまで確定申告をしたことがない人でも、白色申告ならば今からでも可能だ(青色申告は、申告をしようとする年の3月15日までに税務署への届出が必要。2019年分の場合の届出期限は、2019年3月15日となる)。

どちらにしても国税庁の「確定申告書等作成コーナー」サイトでオンラインで申告書を作成することができ、感染拡大のリスクを取って税務署の窓口に赴く必要はない。提出は郵送でも可能だ。

「確定申告が初めて」「普段帳簿をつけていない」人は

PCに向かう女性

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必要書類の3に挙げられている「減収月の帳簿」だが、この記載の仕方について詳細は公表されていない。ただ、「様式は問わない」という点からある程度は幅広く対応されると考えられる。青色申告をしている人で、決算書に月別売り上げを記載できるレベルで帳簿をつけているならば、それほど心配しなくてもよさそうだ。

確定申告が初めてだったり、普段は帳簿をつけていない人の場合は、裏付けのとれる資料を元に事業収入を客観的に示す準備をしておこう。

最も考えられるのは、多くの人が事業収入、支出の管理に使っているであろう預金通帳(銀行口座の入出金明細)を元にすることだ。青色申告の決算書にしても、「預金出納帳」という帳簿を元に売り上げを集計する。手元の通帳を確かめ、必要ならば記帳しておく(混雑する時間帯を避け、ATMに赴く機会は最小限に)。

もしも、忙しくて記帳できず入出金明細に欠落がある場合はどうしたらよいだろうか?

そのときは、インターネットバンキングやインターネット通帳を使う方法がある。

都市銀行では、三井住友銀行のインターネットバンキングならば、最大で25カ月さかのぼって入出金明細を確認し、csv形式でダウンロードできる。例えば、三菱UFJ銀行の場合、「Eco通帳」というインターネット通帳に切り替えれば、「取引推移表」という付帯サービスを申し込むことで申し込み月の10年前までさかのぼって確認することができる(紙の通帳は使えなくなる点に注意)。

インターネットバンキング・通帳といった方法でも入出金明細を確認することができない場合、取引先の金融機関の支店へ「入出金取引証明」を申し込むという方法はある。だが、手数料がかかる上に窓口での申し込みが必要となり、感染拡大防止の点からはデメリットが大きい。

その場合は、各地の商工会議所などに設置される予定の感染防止策が講じられた申請支援窓口で、相談しつつ書類作成を行うことを考えよう。

フリーランスの発注元にも「配慮要請」が出されている

今回の持続化給付金は、フリーランスを含む個人事業主も救済の対象とした、これまでに例を見ない支援策だ。そして、資金面での支援に加えて中小企業庁からは、発注元となる企業に対し、個人事業主との取引上の配慮を行うよう要請が出されている。

個人事業主・フリーランスとの取引に関する配慮要請

【取引上の適切な配慮】

①新型コロナウイルス感染症の拡大防止や、それに伴う需要減少等を理由に、契約を変更する場合には、報酬額や支払期日等の新たな取引条件を書面等により明確化するなど、下請振興法、独占禁止法及び下請代金法等の趣旨を踏まえた適正な対応を行うこと。

※経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」より

仕事のキャンセルや延期、発注停止などの状況にあるフリーランスは、取引先に対してこの要請を根拠に「条件変更を書面で示してほしい」と依頼できる。普段は契約書や発注書などを交わさずに仕事をしているフリーランスであっても、配慮を依頼することは十分可能だろう。書面があれば、売り上げ減少や、現在の減収が新型コロナウイルス感染症の影響によるものである、という点を客観的に示す傍証ともなる。

今、フリーランスを含め多くの事業者はじっと息を潜め、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目標に事業を休止せざるを得ない状況にある。再起に向けて、対面で人との接触を最小限にしつつ、最大限、事業を守る準備をしておこう。


秋山文野IT実用書から宇宙開発までカバーする編集者/ライター。各国宇宙機関のレポートを読み込むことが日課。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、書籍『図解ビジネス情報源 入門から業界動向までひと目でわかる 宇宙ビジネス』(共著)など。

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