オンライン化で学費返還求める声も。バイトなくなり、キャンパスも閉鎖された大学生の今

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新型コロナウイルスの影響で、大学生活が一変している(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

新型コロナによる緊急事態宣言を受け、大学生活が一変している。

バイトがなくなり生活が苦しくなったり、授業の開始が5月に延期されたものの、感染を広げないため、帰省もできなかったりする大学生が続出。

講義をオンラインに切り替える大学も多いが、通信環境やタブレットやパソコンなどの設備が十分ではない学生もおり、学費の変化を求める声も上がっている。

週3のバイト、すべてなくなる

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新型コロナによりバイトに入れなくなった大学生も多い。

撮影:今村拓馬

「バイトで4~5万円稼いでおりドラムを練習するためのスタジオ代に充てていたが、収入がゼロになりました。別のバイトでもいいのですが、そもそもどこも募集していないのが現状です」

慶應義塾大学2年の男子大学生・コウスケさん(仮名・19歳)は、福岡県の出身で、現在はキャンパスの近くで一人暮らしをしている。居酒屋のアルバイトは、3月末の東京都による外出自粛要請で、社員だけで店を回す体制に切り替わった。

「これまでは週3日は入れていましたが、すっかりシフトに入れなくなってしまいました。こういう時は、バイトの立場は弱いと痛感しました」

緊急事態宣言が出た4月7日以降、5月まではお店を閉めることになり、バイト代は全くもらえないという。

「家賃は親に払ってもらっているし、5万円ほどの仕送りもあるため生活はできています。今回のコロナの影響で、『緊急事態だから仕方ない』と言って親も仕送りを増やしてくれました。ただ母子家庭なので、毎日働く母親に頼り切るわけにもいかないです」

「感染広めるかも」帰省もできず

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感染拡大を防ぐため、帰省をためらう学生もいる。

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帰省をためらう大学生も少なくない。

「3月に大学の新学期が延期されることが決まっていたので、福岡の実家からは『帰ってくる?』と提案されたが、無自覚に感染している心配もあるし帰れなかった」

都内の私立大学の女子大学生ノゾミさん(仮名・20歳)は、そう話す。

彼女がアルバイトをしているガールズバーでは、普段なら半月ごとにシフトが決まるが、コロナの影響で1週間ごとに店を開けるか否かの連絡が来るようになったことで、先の予定が立たないという事情もあった。

「『来週はこの店舗に入ってほしい』という急な連絡にも対応できるように、帰省は諦めました。でも結局仕事先からも『シフトに入らないでくれ』と遠回しに言われているようなものなので、ほぼ仕事はできていません。家でひたすら漫画を読みふけっています」

キャンパス閉鎖「施設費返して」

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商業施設だけでなく、大学のキャンパスも閉鎖されている(写真はイメージです)。

撮影:竹井俊晴

大学の学費について不満を持つ大学生もいる。

「キャンパスが完全封鎖されており、図書館や自習室、PCルームなどの施設も使うことができないので、施設費は返して欲しいと思っています。使っていないのに払うのはおかしいと思います」

都内の私立大学に通う大学3年生のダイスケさん(仮名・20歳)は、大学に払っている設備費や授業料について返還してほしいと訴える。

ダイスケさんの大学では、5月から始まる新学期のすべての授業がオンライン化されるが、リアルタイムの配信だけではなく、すでに録画されている動画を見るオンデマンド授業がほとんど。文献購読を各自に任せ、レポートを提出させる体制もあるといい、普段と比べ授業の質が下がっているのは明らかだと話す。

「同じ教授の同じ授業なら、映像を使い回すことができる。それなら授業料についても、一部返還を考慮すべきではないかと思います」(ダイスケさん)

経済的困窮で「ドロップアウト心配」

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新型コロナウイルスで飲食店街も閑散としている。

撮影:竹井俊晴

「新型コロナの影響でバイトがなくなり、生活が本当に苦しくなっている学生が周りにはたくさんいる。経済的な理由で、大学をドロップアウトしてしまう学生が一気に増えるのではないかと心配だ」

慶應義塾大学法学部4年の田中駿介さん(22)はそう語る。田中さんは新型コロナが大学生に与える影響を独自に調査して発表した記事で注目された。

田中さんは4月初旬、大学生56人にコロナの影響について尋ねるアンケート調査を実施。調査の結果「コロナの影響でバイトが減らされた」と回答した学生は31%に上った。

「新型コロナの影響でバイトがなくなり、貯金を切り崩しての生活を余儀なくされている大学生もいる。高い学費が重荷になっている」

オンラインへの切り替え進む

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キャンパスの閉鎖を行っている大学も多い(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

新型コロナの影響でキャンパスが閉鎖になり、自宅で行えるオンライン授業に切り替える大学も少なくない。

東京大学では4月からの講義をオンライン上で実施しているほか、慶應大学では授業の開始時期を、4月7日から4月30日に延期した。

慶應大学では、講義はオンラインで行うが、通信環境の整備は学生側に求めている。慶應大学のHPによると、「テキストや教材に加えて、『PC、タブレット、スマートフォン』などのデバイスと、インターネット接続用の通信回線(Wi-Fi 接続環境や4G 回線など)を各自整えることを推奨」。ただし、経済的に困難な学生への支援も行うとしている。

前出の田中さんが行ったアンケートでは、通信環境についても学生に対し質問。

8割以上が「自宅に通信量無制限のルーターがある」と回答したが、「制限在りのルーターがある(ポケットWi-Fiを含む)」、「自宅にルーターがない」がそれぞれ7%いたという。また「スマホ以外にビデオ通話できる端末があるか」については、約1割が「ない」と答えていた。

「オンライン授業に切り替えるならば、ルーターやタブレットの貸与をすべき。カフェなどのWi-Fiも休業で使えず、自宅に十分な通信環境がない学生との差が生まれてしまう」(田中さん)

また授業料についても一部返還が必要だと指摘する。

慶應大学の場合、法学部の年間の学費(2020年度)は88万円。一方、通信教育課程の普通課程を4年間で卒業する場合の学費の合計61万円(参考値)で開きがある。

「例えば両親が正社員で実家に暮らしているなど、経済的に余裕のある学生は今回の事態を乗り切れるかもしれない。

しかし、夜にバイトをしないと大学に通えないような学生は手厚い支援がなければ、退学を余儀なくされるかもしれない。一刻も早い支援が求められている」

(文・戸田彩香、横山耕太郎)

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