アクセンチュアやソニー、グーグル、フェイスブックなど著名企業のコンサルタントとして活躍してきたトム・チーズライト。
Screenshot of Tom Cheesewright Official Website
- 『時代遅れにならないビジネスをつくる(Future-proofing your business)』は、フューチャリスト(未来学者)のトム・チーズライトの新刊だ。7月末刊行の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて前倒しされた。
- チーズライトはフューチャリストとして、世界屈指の大企業のコンサルタントをいくつも務めてきた。
- 市場の変動から自然災害に至るまで不測の事態に備え、いざそうした事態になったときにあらゆることを受け入れられるようにするツールをビジネスリーダーに提供するのが本書の狙いだ。
- 著者のチーズライトは、不足の事態が起きたときそれを祝福するのはさすがに簡単ではないが、新刊に書いてあることを学べば、少なくとも困難な状況と闘う役に立つだろうと語っている。
『時代遅れにならないビジネスをつくる』の著者、トム・チーズライトはビジネスリーダーに不測の事態に備えるために必要なツールを提供したいと考えている。
もともと7月末に刊行される予定だったが、出版元のペンギン・ランダムハウスが電子書籍での発売を4月前半に前倒しした。新型コロナウイルスの感染拡大によって、突如として未曾有の経済危機が引き起こされたからだ。
2019年夏からおよそ9カ月間かけて書き上げられた本書は、先の予測もつかないコロナの時代に自らの会社を守り、自然災害から市場の大変動までありとあらゆることを分析・把握したいビジネスリーダーのための「ハウツー本」だ。
チーズライトはBusiness Insiderの取材に対し次のように語った。
「この不測の事態を祝福する気持ちになんて普通はなれない。目まいがするくらいだ。個人だろうが企業だろうが、政府だろうが自治体だろうが、僕を含めてほとんど誰もが、いかに何の準備もしていなかったかを痛感している、そんな感じだと思う」
新型コロナウイルスの世界的大流行を受けて、当局は必要不可欠と定義されたビジネス以外に停止を命じ、感染を減らし医療崩壊を避けるために不要不急の外出を禁止した。
結果として、ここ数週間でグローバル経済に危険信号が灯り、もはや広い範囲で景気後退に突入するのは避けられない事態となっている。
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界は突如として未曾有の経済危機に突入した。
Spencer Platt/Getty Images
世界初の「応用未来学者」を自称するチーズライトは、これまで8年間、企業コンサルタントとして「次の5年」を見据えてどんなビジネス戦略を採用すべきかアドバイスを提供してきた。
そのクライアントは驚くほどの超有名企業ばかりで、アクセンチュア、アウディ、バカルディ、BMW、フェイスブック、グーグル、HSBC、ソニー、VISAなどが名を連ねる。
2016年の「TEDxマンチェスター」で講演したトム・チーズライト。
出典:TEDx Talks YouTube Official Channel
「フューチャリストのなかにはもっと長期間、数十年という変化に焦点を当てた未来研究をテーマにしている人たちもいる。でも、僕はもっとずっと範囲をしぼりたいと考えていて……それに、僕のクライアントもそんなに背伸びして遠くまで見通せとは言わないんだ。むしろ、数年先に迫っている問題をどうすべきかアドバイスを求められることのほうが多くて」
チーズライトは新刊のなかで、「最適化」より「適応力」のほうが重要である理由について書いている。また、企業はどうやったらできるだけ摩擦のない働き方を実現できるのかについても解説している。
「最適化しようという過剰な願望は、すごく中央集権的なあり方を生み出してしまう。そういう会社では、人や部署の間にたくさんの壁が打ち立てられ、ヒエラルキーがガチガチに固められて、経営管理と現場の間に大きな断絶が生まれるものだ。
僕が理想だと思うのは、レゴブロックのような組織。いつでも簡単に解体できて、新しくやるべきことができたらまたすぐに組み上げられるのがいい」
話題の『時代遅れにならないビジネスをつくる』の電子書籍(英語版)はこちらで購入できる。ペーパーバック(英語版)は7月30日発売予定。
(翻訳・編集:川村力)