Crystal Cox/Business Insider
- ブルームバーグによると、アップルが2021年に、インテル製ではないチップを搭載したコンピューターを販売する可能性があるという。
- アップルの自社製プロセッサで動作する最初のコンピューターは、おそらくノートPCだろう。アップルのチップは2021年までにハイエンドのデスクトップPCをサポートできるほど強力にはならないと見られている。
- 今回の動きによって、アップルは製品の性能、機能、発売時期をより細かく制御できるようになる。
- 現在のところ、アップルの主要製品のうち、自社製チップで動作していないのは一連のMac製品だけだ。
ブルームバーグ(Bloomberg)によると、アップル(Apple)は2021年に、インテル(Intel)製ではなく自社開発のプロセッサを搭載する初のMacをリリースする予定だという。これによって、製品の性能と発売時期をより細かく制御できるようになる。
ブルームバーグによると、アップルは次期iPhoneに搭載される予定のA14チップをベースとする3種類のプロセッサの開発に取り組んでいるという。
通常、アップルはiPhoneのメジャーアップデートのたびに新しいチップを搭載する。例えば、「iPhone XS」と「iPhone XS Max」は「A12Bionic」だったが、「iPhone11」と「iPhone11Pro」には 「A13Bionic」プロセッサを搭載している。Appleは 「iPhone11」 と 「iPhone11Pro」を発表した際、A13Bionicチップは前モデルより20%高速だと述べていた。
新しいアップル製チップは、「iPhone」のものよりもはるかに高速で、2021年発売の新しいコンピューターに搭載されると報じられている。ブルームバーグによると、社内でKalamataと呼ばれているこのプロジェクトは、インテルチップを自社製に置き換える取り組みの最初の一歩にすぎないという。
アップルの新しいチップで動作する最初のMac製品は、おそらくノートPCだろうとブルームバーグは報じている。iPhoneに搭載されているARMベースのチップは電力効率が高いことで知られているが、アップルは2021年までに、「Core i7」 や「Xeon」といったハイエンドのノートPCやデスクトップPCに搭載されているインテルのプロセッサほど強力なチップを設計することはできないという。
アップルによる最初のMac用プロセッサは、高性能のコアを8つ、高効率のコアを4つ搭載すると言われており、12コア以上のチップを検討していると報じられている。通常、コア数を増やすと、マルチタスク用の帯域幅が確保され、パフォーマンスが向上する。アップルはまた、インテルチップを搭載したMac向けのアプリが新しいコンピューターでも動作することを保証するツールの開発に取り組んでいる、と報じられている。
Business Insiderはコメントを求めたが、アップルの広報担当者はまだ回答していない。
アップルがインテルチップからの移行を計画しているという報道は、これが初めてではない。ブルームバーグは2年前にも、このような計画が進行中だと報じている。
現在のところ、アップル製品で自社プロセッサで動作しないのはMacシリーズだけだ。Appleは、「iPhone」と「iPad」向けに「A」シリーズ、「Apple Watch」 向けに「S」シリーズ、「AirPods」 向けに 「H1」 チップをそれぞれ独自に開発している。インテル製プロセッサに依存するのではなく、独自のプロセッサを開発することで、製品の機能に合わせてチップのパフォーマンスや機能を調整する柔軟性を高めることができ、新しい製品を発売する際にアップルがより多くの裁量を持つようになる。
今回の動きは、デスクトップとモバイルのユーザー体験のギャップを埋めるための重要なステップでもある。アップルはここ数年、iPad Proを生産性を高めるためのデバイスとして位置付け、MacとiPadを一貫したものにするという歩みを続けてきた。
例えば、アップルは2019年、開発者が既存のiPad用アプリからMac用アプリを簡単に作成できる ツール「Mac Catalyst」 を提供した。また、iPadのOSを 「iPadOS」 に改称し、iPhoneでは利用できないソフトウェア機能(新しいホーム画面のレイアウトや、より多くのアプリを収容できるドックなど)を導入した。
アップルのMac製品は2006年からインテルのプロセッサを採用しているが、プロセッサのアップデートが遅いためにアップル製品の開発が遅れると非難することもあった。iPhoneと同じ技術で動作するMac用のチップを製造することで、同社のモバイル製品とデスクトップ製品をさらに統合し、機能をより細かく制御できるようになる可能性がある。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)