【コロナショック経済】最悪シナリオでアパレルと化粧品市場は昨対60%に…ローランド・ベルガー試算

東京駅の風景

JR東京駅の駅前交差点(4月6日撮影)。

撮影:竹井俊晴

新型コロナウイルスは世界の経済活動をどう変えてしまうのか。

大手戦略コンサルティング企業がさまざまな形で試算する動きが始まっている。

戦略コンサルティング大手の独ローランド・ベルガーの日本法人は、国内市場を意識した「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」と題したレポートのサマリー版を公開した。

その内容は実に興味深い。外出制限・自粛の動きの中で、「人に見られること」への投資であるアパレル・化粧品市場に与えるインパクトは大変大きなものになる。

しかし、どの領域の商品・ブランドかによって、影響の大きさが異なるというレポートだ。

最悪シナリオでは「アパレルと化粧品は昨対で60%台」に激減する

渋谷スクランブル交差点の風景

行き交う人がまばらになった渋谷・スクランブル交差点(4月7日撮影)

撮影:竹井俊晴

同社では、市場への影響を試算するにあたり、3つのシナリオを想定。先行きが見えない中では、どこまで予見性があるかは誰にもわからないが(レポートの冒頭でもローランド・ベルガー自身が「見通しは全くつかない」とコメントしている)、業界への短期的な影響とその後の戦略検討の参考にはなりそうだ。

ローランド・ベルガーが想定したシナリオは以下のパターンだ。

・シナリオA:6月に終息し、夏は消費が一時的に活性化するシナリオ

・シナリオB:8月に終息し、秋は消費が一時的に活発となるシナリオ

・シナリオC:10月に一旦終息するも、消費は年末まで冷え込みそのまま不況となるシナリオ

最悪のシナリオとして想定したものは、このまま半年は厳しい外出制限・自粛が続き、そのまま不況に突入するというものだ。

同社はアパレル・化粧品市場を「アパレル市場」「スキンケア市場」「メーキャップ市場」の3種類に分けているが、このうち影響が比較的少ないのは、スキンケア市場としている。

一方、影響が大きいのが「不要不急の商材が多い」(レポートより)残りの2つの市場で、最悪ケースでは、市場規模が昨対で60%台にまで落ち込むと試算している。

ローランド・ベルガー「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」より抜粋

ローランド・ベルガー「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」より抜粋

さらに、アパレル市場の中でも高級品の「ラグジュアリー市場」は最悪ケースの場合、前年比で半減する可能性があるとした。

新型コロナウイルスのラグジュアリー市場への影響は大きい

新型コロナウイルスのラグジュアリー市場への影響は大きい。

ローランド・ベルガー「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」より抜粋

3月のアパレル業界主要企業の既存店売り上げは、アパレルの巨人ユニクロを展開するファーストリテイリングまで含めて、軒並み3〜4割減という業績悪化。プラス成長だったワークマン、西松屋チェーンに関しても、この先を楽観視するのは少数派ではないか。

大手はECの売り上げが伸びているとはいえ、休業中の実店舗は地代や店賃などの固定費がかかる。この状況が続くなら、大幅な戦略変更は待ったなしの状況といえる。


アパレル大手の3月のビジネス状況

アパレル大手の3月のビジネス状況。

ローランド・ベルガー「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」より抜粋

どの業種が伸び、どの業種が大インパクトを受けるか

新型コロナの影響下にある東京の風景と株価

撮影:竹井俊晴

同レポートでは抜粋として、JCBグループのカード会員100万人の決済データから作成された「3月後半における、国内のみの消費指数」の業種別比較も公表している。

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ローランド・ベルガー「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」より抜粋

映画館・遊園地といった業種は20〜30%近いマイナス影響がある一方、日用品の小売店やECについては買い溜めや実店舗の代替などで需要が伸びている。

この調査時点では、まだ緊急事態宣言は発出されていない段階だが、それでも全体として、大幅な消費減退がすでに数字として現れている状況だ。

東京ディズニーランド

東京ディズニーランドも臨時休園が続いている(4月11日撮影)。運営元のオリエンタルランドは再開を5月中旬に判断する方針だ。

撮影:竹井俊晴

このデータを見る限りはビジネスホテルの消費指数減の影響は比較的少なめに見える。しかし、調査の約1カ月後にあたる4月24日には、都市中央部などに好立地・低価格のコンパクトホテルを展開していたファーストキャビンが負債総額11億円あまりで破産するなど、薄利多売型のビジネスモデルから厳しい状況に入り始めたことも示唆される。

東京商工リサーチによると、ファーストキャビンの3月下旬から4月上旬のホテル稼働率は約10%まで落ち込む日もあり、想像されるとおりビジネスホテル/ホテル業も相当厳しいビジネス環境にあるのは間違いない。

リベンジ消費はあるのか、ないのか?

終息を迎えつつあるとされる中国の動向

終息を迎えつつあるとされる中国の動向。

ローランド・ベルガー「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」より抜粋

ローランド・ベルガーは、終息を迎えつつあるとの報道も出始めた中国の状況から「リベンジ消費」と「ECの継続的成長」をレポートしている。同様のことが日本でも起こると想定した上で、前出の3つのシナリオにあてはめて今後のロードマップの試算もある。

試算から1つ読み取れるのは、終息までの時間が長ければ長いほど、自粛の影響が大きくなり、その後のリベンジ消費も短くなるということだ。

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比較的早めの終息があった場合、終息の後にリベンジ消費があると想定。しかし、最悪ケースでは深刻な不況に突入する想定のため、それ事態がない。

ローランド・ベルガー「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」より抜粋

「これから起こること」を想定する

アパレル大手の3月のビジネス状況

各シナリオにおける時期ごとの影響をイメージ化したもの。

ローランド・ベルガー「新型コロナウイルス アパレル・化粧品市場に与える影響と採るべきアクション」より抜粋

必ずしもこの試算の通りになるかどうかは、誰にも断言はできない。それでもレポートには示唆がある。

この先起こり得ることを予測して、今からできることは何かを、考えなければならないということだ。

このレポートは、あくまでアパレル・化粧品市場を対象としたものだが、一般消費者向けのビジネスを手掛ける当事者は、この内容を他人事とは思えないのではないか。

ローランド・ベルガーのレポートのサマリー版は、こちらからダウンロードできる。

(文・伊藤有)

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