2020年1月22日、スイスのダボスで行われた第50回世界経済フォーラム(WEF)年次総会で講演するグーグルCEOのサンダー・ピチャイ。
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- グーグルは、同社のプラットフォームに掲載される問題のある広告に対処するため、今後は広告掲載を希望する広告主に身元確認を義務づける。
- この身元確認はアメリカから実施し、その後、段階的に世界に拡大していく。そのプロセスを終えるのには数年かかるという。
- これによってグーグルのユーザーは、広告主のより詳しい情報を見ることができるようになる。
グーグル(Google)のプラットフォームに掲載された広告の中には、パンデミックに便乗して利益を得ようとするものがあり、その問題に対応するために、同社はすべての広告主に対して、身元確認を義務付けることにした。
つまり、検索サイトやユーチューブ(YouTube)といったグーグルのプラットフォームに広告の掲載を希望する場合、すべての広告主は自らの身元を証明しなくてはならない。
広告主は、個人の身分証明書の他、法人設立書類、あるいは当該法人が申請した住所に実際に所在していることを証明する書類を提出するよう求められる。
グーグルは2018年に、選挙広告の掲載を希望する広告主は事前に身元を証明しなくてはならない、というルールを制定した。今回の動きは、このルールを拡張したものだ。
「この変更により、グーグルのプラットフォームに掲載されている広告の背後に、どのような広告主がいるのかを簡単に知ることができるようになる。そしてユーザーが広告表示の設定を変更する際、より多くの情報に基づいた決定を下すことができるようになる」と、グーグルの悪質広告対策を担当するジョン・キャンフィールド(John Canfield)は、ブログで述べた。
「悪質な広告主を検出し、その偽装工作を防ぐことで、デジタル広告のエコシステムを健全化することにもつながる」
広告主の身元確認は、まずアメリカから実施し、その後、段階的に世界に拡大していくとしており、そのプロセスを終えるのに「数年」かかるという。すでに広告を出している広告主については、身元確認の手続きに30日の猶予が与えられる。
アメリカのグーグルのプラットフォームでは、2020年夏から「Why this ad?」という表示をクリックすると、広告主の名前や広告の発信元がどこの国かといった情報を見ることができるようになる。
パンデミックに便乗して利益を得ようとする企業による詐欺的な情報の拡散が問題となっており、それに対応するためのグーグルの最新の取り組みとして、今回の広告主の情報開示が行われることとなった。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)