2020年のGW。石垣島への観光客がどの程度抑えられるか注目されている。
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全国に緊急事態宣言が出されている今年のGWも、沖縄県の石垣島には大勢の観光客が訪れるかもしれない。
石垣市が行った緊急アンケートの推定値では、GW中の5月1日~5月6日に石垣市内のホテルなどの宿泊予約者は延べ1291人に上ることが分かった。
石垣市の中山義隆市長は自身のTwitterで、「 新型コロナ感染拡大防止のため石垣島への来島自粛をお願いしていますが、残念ながら街には依然としてマスクなしの観光客の姿が見られます。コロナ終息の後に来て下さい 」と訴えるが、観光客の抑制は簡単ではなさそうだ。
1日の宿泊者数は215人
緊急の予約状況調査は、石垣市観光文化課が4月23日に実施。市内のリゾートホテル17件、ビジネスホテル27件、ウィークリーマンション8件、合計52事業所について、電話で予約状況を質問した。
調査の結果、5月1日からの6日間の宿泊予定者は延べ1291人で、1日当たりの宿泊者は延べ215人。8施設は電話が通じず、回答を得られなかった。
回答した施設のうち、約4割にあたる18件がすでに休業や営業自粛中だった。
調査は1日当たりの宿泊予約を集計するもので、GW期間の前から宿泊している長期滞在者も含んでいる。施設によっては「通常の何割」などの回答もあり、その場合は市で計算しているため、あくまで調査結果は推定値としている。
市内の宿泊施設は280の事業所があり、収容人数は約8000人。今回の調査では大型の施設から52施設を選んでおり、52施設の収容人数は全体の約7割に相当するという。
自粛求めたいが「電話通じず」
石垣島の観光名所・平久保崎灯台。新型コロナの影響でGW中は閉鎖されている。
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石垣市観光文化課の担当者によると、島は毎年GWには直行便がある都市などからの観光客でにぎわうという。
「例年GWは繁忙期で人の動きが大きい。関東では湘南に人が押し寄せたというニュースもあり、『もしかしたらGWに多くの観光客が来るのではないか』と心配する声があった。現状把握のためにアンケートを実施したところで、GW中の対応に生かしたい」(石垣市観光文化課)
石垣市によると、調査に応じた宿泊施設の中には、「予約者に対し自粛を求める連絡をしたいが、電話がつながらない」という声もあったという。
観光客が引き起こす医療崩壊リスク
石垣島をめぐっては、4月7日の国の緊急事態宣言後、首都圏などからの観光客が増加した経緯がある。
石垣市によると、「南の島は安全だから」「休校になったのでコロナ避難」などの情報がSNSで拡散。若者や家族連れが石垣島を訪れていたという。
石垣市で初めて新型コロナウイルス感染者が出たのは4月13日。県外からの来県者と接触した20代の飲食業男性が感染するなど、これまでに計3人の感染が確認されている。
一方で、石垣市内の感染病床は、沖縄県立八重山病院に3床しかない。
複数の患者が出た場合は十分な体制が確保できず、観光客によって医療崩壊を招く危険性が指摘されている。
海水浴場など観光名所は閉鎖
石垣市では観光名所を閉鎖。「不要・不急の旅行」を控えるよう訴えている。市のHPを撮影。
撮影:横山耕太郎
4月16日、緊急事態宣言が全国に出されたことで、市は住民に対して外出の自粛などを求めた。
また4月21日には、GW期間を含む4月22日~5月6日に、観光スポットの公園や海水浴場、キャンプ場など計11施設を閉鎖すると発表した。
そもそも沖縄県全体が、緊急事態宣言下での来島に危機感を示している。沖縄県の玉城デニー知事はTwitterでゴールデンウィーク中に航空会社経由で6万人の予約があることに触れつつ、「沖縄は緊急事態宣言の体制で充分なおもてなしは到底できません。離島を含め医療体制も非常事態です」と、キャンセルを呼びかけている。
石垣市は、観光客にこう呼びかけている。
「観光客の皆様、石垣市は、公園や体育施設等も閉鎖し感染拡大防止に市民全体で取り組んでおり、不便な生活を余儀なくされています。
どうか、石垣島への不要・不急の旅行を控えていただきますよう、よろしくお願いいたします」
(文・横山耕太郎)