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労働力不足で200万羽の鶏を処分…食のサプライチェーンが崩壊の危機に

労働者不足で200万羽の鶏を処分

スーパーの肉売場は空となった。ミシガン州グロッセアイルにあるクローガーで。2020年3月13日。

Gregory Shamus/Getty Images)

  • 新型コロナウイルスによる労働力不足で、ある養鶏業者が200万羽の鶏を処分する事態となった。
  • それは年間生産量からすればわずかだが、アメリカで食品のサプライチェーンが直面している問題を浮き彫りにしている。
  • レストランやホテル、学校が閉鎖していることによる需給バランスの崩壊が、農産物を腐らせ、牛乳は排水溝に流されている。

デラウェア州のある養鶏場は、200万羽の鶏を処分する「厳しいが、必要な決断」を下した。労働力不足によりアメリカの食肉サプライチェーンを限界まで追い込んでいる。

約1300名の農場と契約するDelmarva Poultry社は、「別の養鶏場で加工することや、飼料にすることなど、あらゆる選択肢を考慮したが、最終的に殺処分を選んだ」と述べた。

「もし何も行わないと、鶏舎の飼育能力を大きく越えてしまう」と同社は述べ、「鶏は、認証を受けた人道的な方法で処分され、養鶏場は補償を受ける」と付け加えた。 契約養鶏場が2019年に飼育した6億900万羽からすればわずかな数だが、今回の措置はアメリカ全土で食肉生産者が直面している問題を浮き彫りにしている。食肉加工は自動化が難しいのだ。

大手食肉企業のタイソン(Tyson)は、全国紙に全面広告を出し、従業員の疾病と工場の閉鎖によって「食料のサプライチェーンが破壊されつつある」と訴えた。

「現在閉鎖している工場が再稼働できるまで、スーパーで手に入る当社商品の供給量は限られる」と、同社は広告で述べた。

CNNによると、サウスダコタ州、ミネソタ州、アイオワ州にある3つの豚肉加工場は、4月に無期限の閉鎖を余儀なくされた。これらの工場はアメリカの豚肉生産の15%を占めている。

「新型コロナウイルスのパンデミックの中、業界全体が不可能な選択に直面している。営業を続けて国民へ食料を供給し続けるか、従業員を感染のリスクから救うために工場を閉鎖するかだ」と、豚肉生産大手のスミスフィールド(Smithfield)は、ブルームバーグに書面で述べた

「これは最悪の選択肢で、誰も望んではいない」

アメリカ農務省のデータによると、貯蔵された冷凍豚肉は3月から4月の間で4%減少した。一方で、工場の労働力低下のため、未処分の豚が40万頭いる中で、肉の処理量は25%減になった。

労働力不足は、氷山の一角にすぎない。

そして、レストランやホテル、学校、テーマパークが閉鎖すると、牛乳やビール、野菜など他の食品も無駄になる。

「自宅でオニオンリングを作る人はいない」と、主にレストランに卸しているアイダホ州の玉ねぎ農家は、ニューヨーク・タイムズに語った

売れ残った農作物を、記録的な失業者数の増加で大勢の人々が集まっているフードバンクへ寄付した農家もいる。だが多くの農家にとって、収穫や輸送にかかるコストへの支援なしでは寄付することもままならない。

「5月にはベリー類の収穫のピークを迎えるが、そのベリーは収穫されず、市場に出ることもないだろう」と、ベリー類の世界最大の卸売業者、ドリスコルズ(Driscoll's)のソーレン・ビョルン(Soren Bjorn)社長はBusiness Insiderに語った。

「我々が考える最良の解決方法は、これらの農産物がフードバンクに届けられることだ。ただし、それには政府からの経済支援が必要になる」

[原文:2 million chickens will be euthanized at a single plant as the coronavirus puts the US on the brink of a meat shortage

(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)

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