Zホールディングスによる株式公開買付け(TOB)のさなか、あのタイガー・ウッズも参加、優勝を果たした「ZOZO CHAMPIONSHIP」を開催。華々しい「アフター前澤」の始まりだったが……。
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2019年11月にZホールディングス傘下入りしたZOZOが2020年3月期の通期連結決算を発表した。端的に言えば、増収増益ながら期初計画に大きく届かず、「アフター前澤」に不安を抱く大多数のアナリストの予想が的中した形だ。
4月28日に発表された決算短信と決算説明会資料からアウトラインをチェックしておこう(図表やグラフはクリックすると拡大表示されます)。
売上高は1255億円(前年同期比6.0%増)、営業利益は279億円(同8.7%増)、純利益は188億円(同17.6%増)。増収増益でひとまず安泰。
ただし、前澤友作前社長が立てた期初計画には届かず、伸びを欠いた感は否めない。「消費増税後の反動や記録的な暖冬」が理由という。
世間にその名を知らしめた体型計測ツール「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」関連の支出が減り、キャッシュフローは大きく改善。
商品の取扱高、売上高の推移をあらためて見ると、成長の鈍化は明らかだ。
登録から1年以上経過したアクティブ会員(お得意様)の「年間購入金額」減少が著しい。ZOZOに「ブランド価値下落」の傾向。
第1〜3四半期に増え、第4四半期に微減、のサイクルを続けてきた出荷件数も、ついに第3〜4四半期に連続減少。暖冬とはいえ、伸び悩みは明白。
期待の「PayPayモール店」が2019年12月にグランドオープン。「順調に拡大」というが、4カ月弱で取扱高は61億円、売上高は18億円。地味な数字だ。
Zホールディングスにとって「ZOZO最大の魅力」の物流は、拠点拡張が続く。11万平方メートルの「茨城3」は今秋稼働。
2019年12月からの「中国進出」再挑戦はうまくいくのか。国内事業が伸び悩むなか、物流拠点の稼働率はこの中国事業次第だ。
2019年12月10日、ZOZOは中国でサービス開始。商品在庫は日本の物流拠点で管理する。
Screenshot of ZOZO(China) website
(文・川村力)