Zoomと真っ向勝負。法人向けGoogle Meetを個人にも開放、9月30日までは時間制限も実質なし

Google Meet 画面サンプル

グーグルは法人向けに提供していた「Google Meet」を、個人ユーザーにも開放する。

出典:グーグル

グーグルは4月29日、従来は法人向けソリューション「G Suite」向けに提供していたビデオ会議ツール「Google Meet」(旧Google Hangouts Meet)の個人ユーザー向けの展開を発表した。

従来から個人ユーザーも、G Suiteユーザーの招待があればGoogleアカウントの有無に関わらずビデオ会議に参加できたが、自ら会議室をつくることはできなかった。5月初旬以降は、個人ユーザー(Googleアカウント必須)でも最大100名までの会議を開ける。

個人向けと法人向けには機能差がある

Google Meet 概要

Google Meetの特徴。

出典:グーグル

とはいえ、個人向けGoogle Meetと(法人用の)G Suite向けGoogle Meetには機能面で差がある。

例えば、G Suite向けのGoogle Meetでは最大250人、最大300時間のビデオ会議が可能だが、個人向けは最大100名、最大60分の利用に制限される(9月30日までは24時間まで延長可能)。

また、G Suiteのユーザーが会議室をつくる場合は、Googleアカウントのないユーザーに対しても招待が可能だが、個人向けユーザーが招待する場合は相手がGoogleアカウントもしくはG Suiteアカウントにログインしている必要がある。

逆に言えば、上記以外の基本機能はほぼ同じ。iPhoneやAndroidに対応したスマートフォン向けアプリ、PCからの画面共有機能、最大16人を同時表示できるレイアウト機能なども利用できる。

法人向け同様のセキュリティー

Google Meetのセキュリティー

出典:グーグル

昨今は、新型コロナウイルスの世界的大流行の影響でテレワークや遠隔授業が広がり、ビデオ会議ツールの需要は大幅に拡大している。個人向けの市場を見ると、スタートアップのZoomが急成長を遂げており、マイクロソフトもSkypeのアカウントおよびソフト不要で利用できる「Meet Now」を公開している。グーグルも同様のニーズに応える形だ。

ただ、需要拡大の現場に目を向けると、利用者急増のZoomでセキュリティーのぜい弱性が明るみに出るなど、ユーザーを狙った荒らし行為(例:Zoom爆撃)が多発する問題も出てきている。

30日に開催された記者説明会で、グーグルのG Suite スペシャリストを務める小林直史氏は、Google Meetの特徴について「エンタープライズグレードのビデオ会議機能」をあげた。

Google Meet プライバシー

セキュリティーだけではなく、プライバシーについても言及。グーグルは、個人向けGoogle Meetにおいてもその内容や得られたデータを外部に販売したり、広告のために利用しないとしている。

出典:グーグル

個人ユーザーが会議室を開設するときに「相手側のGoogleアカウントが必須」であることや、数字とアルファベットをかけ合わせた約100兆通りの会議コードの発行、招待していない組織外ユーザーは開始15分前までアクセスを不可としていることなど、セキュリティー対策を徹底している。

小林氏は「現在(G Suiteは)150カ国600万社の有償プランユーザー、1億2000万人の教育向けアカウントのユーザーがMeetを使って活動を維持している」と信頼性・安全性を強調した。

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「利用時間合計は1日30億分以上、参加者数は1日あたり1億人を超えている」と小林氏は述べているが、「ネットワークのキャパシティー(許容量)は想定範囲内」であると話している。

新型コロナで生活が変わり、必要なツールも変わるか

Google コミュニケーションツール比較

Googleの個人向けコミュニケーションサービスは複数存在する。

出典:グーグル

グーグルによるビデオ&音声を使った個人向けコミュニケーションサービスは、Meetの登場によって3つ目となる。

テキストチャットが可能な「Google Hangouts」、スマートディスプレイなどでも利用できる「Google Duo」は、Meet登場後もサービスを継続する。ユーザーは利用人数や必要な機能に応じて使い分けが必要だ。

なお、競合であるマイクロソフトは、ビジネスチャットの「Microsoft Teams」を個人ユーザー向けにも展開していくことを明らかにしている。

Business Insider Japanはグーグルのビジネスチャット「Google Chat」の個人向け展開の有無についても質問したが、グーグル・ジャパン広報は「現時点で予定しているものはない」と回答している。

(文・小林優多郎)

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