創業以来初の売上高1兆円を突破したZホールディングス(旧ヤフー)のロゴ。
Screenshot of ZHD website
ヤフーやZOZO、アスクルなどを傘下に置くZホールディングス(ZHD)は、2020年3月期(2019年4月1日〜2020年3月31日)の通期連結決算を発表した。
持株会社設立前のヤフー時代を含めて、初めて売上高1兆円を突破した。
前期比でも増収増益の好決算だが、4000億円という巨額借り入れをテコにしたZOZOの買収効果が大きく、ZHDの「稼ぐ力」が向上したとまでは断言できない決算内容だ。
ZHDが4月30日に公開した決算説明会資料からポイントを拾ってみたい(スライドはクリックすると拡大表示できます)。
売上高は1兆529億円(前期比10.3%増)、営業利益は1522億円(同8.4%増)、純利益は816億円(同3.8%)。期初計画を完全達成。
「1兆円突破」の原動力はコマース事業。2019年11月に買収したZOZOだけで574億円の積み上げ。136億円を加えたアスクルの好調も光った。
ただし、ZOZOの「PayPayモール」出店後の売上高(4カ月弱)は約18億円。シナジーと言うにはさすがに物足りない数字。
新型コロナのダメージが懸念される連結子会社の一休.com。旅行・外食予約関連は、取扱高が前期比「74%減」。次の四半期(2020年4〜6月)はさらに厳しい数字に。
しかし、一休が年度前半に売上拡大した蓄積もあり、通期の取扱高では大きな傷にならず、前期比13.7%増。
コード決済「PayPay」の勢い止まらず。登録者2800万人、決済回数3億7500万回。ただし、マネタイズの道筋は相変わらず不透明。
「ウーバーイーツ」との連携開始(5月)は、デリバリーブームの追い風を期待できそう。
2024年3月期に「営業利益2250億円」が変わらず目標。PayPay、あるいは経営統合予定のLINEが成長ドライバーになるか。
(文:川村力)