航空機の座席数を減らさずに社会距離を確保するには…後ろ向きシートや仕切板を提案

アビオインテリアズのヤヌス・シート

アビオインテリアズが考案した「ヤヌス・シート」。旅客機内の社会距離戦略を実現する。

Aviointeriors

  • アビオインテリアズは、密度に重点を置いたシートから離れ、社会距離戦略に適した新たなタイプのシートやオプションをデザインしている。
  • その1つが、中央が後ろ向きになっており、両サイドにバリアの付いているシートで、もう1つは、顔の高さに仕切り板があり、細菌やウイルスの飛散を防ぐタイプだ。
  • いずれの座席タイプも、航空会社が中間座席の閉鎖などの収益面でマイナスになる措置を講じることなく、航空機の現在の輸送力を維持することを可能にする。

新型コロナウイルスの世界的大流行で、消費者の旅行への意欲は低化している。流行の第2波や、他国で足留めされることへの恐怖など、理由はさまざまだ。特に空の旅は、何百人という見知らぬ人と乗り合わせる可能性からくる恐怖もあり、苦戦を強いられている。

航空各社は新たな清掃方法を実施し、混雑した空港のターミナルで乗客たちが接触することなく移動できる方法を開発しており、さらに医師によるフライト中に健康を維持するアドバイスを受けているにもかかわらず、航空業界の専門家は、旅行の需要は今後数年は戻らないだろうと予測している。乗客の中には、自分のフライトが満席と知って憤慨する人もいるという。

イタリアのある企業は、社会距離戦略を考慮したエコノミー・シートを開発し、航空各社の未来を提案している。

立ち乗りシートを開発したことで知られるアビオインテリアズ(Aviointeriors)は現在、航空機のの座席を可能な限り増やすためのデザインをやめ、収益を確保できる定員はそのままに、乗客と乗客の間隔を可能な限り空けることを目指している。

空における社会距離戦略の需要が高まる中、航空業界の将来を担うかもしれない、2つの新たなデザインを見てみよう。


COVID-19のパンデミックで飛行機の乗客は激減しており、3月中旬から4月にかけ、旅客機の中はこのありさまだった

ユナイテッド航空のボーイング777-200

ユナイテッド航空のボーイング777-200の機内。

Zach Sheinman


ところが、航空各社が収益を得ようと、残しているわずかな路線のフライトをさらに整理統合したので、機内はこのように混雑し、旅への恐怖を再燃させている

アメリカン航空の旅客機

アメリカン航空の機内。2020年4月。

Association of Flight Attendants


エコノミー・クラスは、ビジネス・クラスやファースト・クラスの座席と比べて、座席の密度が最も高い

ユナイテッド航空のボーイング787ドリームライナー

ユナイテッド航空のボーイング787ドリームライナー(Boeing 787 Dreamliner)の機内。

AP Photo/Ted S. Warren


多くの人が思いつくであろう解決策の1つに、中央席を使用不可として、乗客同士の距離を取るというものがある。だが、航空会社は数百万ドルの収益を失うことになる

ブリティッシュ・エアウェイズの中央席

使用不可となったブリティッシュ・エアウェイズの中央席。

Rachel Hosie/Business Insider


そのため、かつては立ち乗りシートを使用するなどして、1機の座席を増やすユニークな方法を考えていたアビオインテリアズだが、今ではいかにして社会距離戦略を実現するかに注力している。航空各社がパンデミック後の世界に備えているからだ

アビオインテリアズのスカイライダー

アビオインテリアズの立ち乗りシート「スカイライダー(Skyrider)」。

Aviointeriors


空における社会距離戦略を実現するために同社が考案したアイデアの1つが、「グラセイフ(Glassafe)」シートだ

アビオインテリアズのグラセイフ

アビオインテリアズの社会距離戦略シート「グラセイフ」。

Aviointeriors


このデザインは、座席の一部を使用不可とすることも、肘掛けの所で物理的に仕切ることもなく、ただ、顔の高さに仕切りを付けるものだ

アビオインテリアズのグラセイフ

アビオインテリアズの社会距離戦略シート「グラセイフ」。

Aviointeriors


この仕切りがバリアとして機能して、座席間の細菌やウイルスの伝播を防ぎ、航空会社も座席数を維持することができる

アビオインテリアズのグラセイフ

アビオインテリアズの社会距離戦略シート「グラセイフ」。

Aviointeriors


バリアは、現在旅客機に搭載されている座席にも簡単に設置できる

アビオインテリアズのグラセイフ

アビオインテリアズの社会距離戦略シート「グラセイフ」。

Aviointeriors


同様のコンセプトが、デルタ航空のエアバスA321neoのファースト・クラスに導入される予定だが、その目的はプライバシーの保護であり、病原体から身を守ることではない

デルタ航空、エアバスA321neoのファースト・クラス

デルタ航空、エアバスA321neoのファースト・クラスに導入予定のシート。

Crystal Cabin Award


社会距離戦略を実現するためにアビオインテリアズが考えたもう1つのアイデアが、「ヤヌス・シート(Janus Seat)」だ

アビオインテリアズのヤヌス・シート

アビオインテリアズの「ヤヌス・シート」。

Aviointeriors

「ヤヌス」はローマ神話の出入り口の神で、頭の前と後ろに反対向きの2つの顔を持つ。

バリアで囲まれた中央席が後ろ向きになっていて、最小限の仕切りで3列シートのすべてで社会距離を保つことができる

アビオインテリアズのヤヌス・シート

アビオインテリアズの「ヤヌス・シート」。

Aviointeriors


誰かと一緒の旅行の場合は理想的とは言えないが、このシートはグラセイフと比べ、社会距離だけでなく多少のプライバシーも確保できる

アビオインテリアズのヤヌス・シート

アビオインテリアズの「ヤヌス・シート」。

Aviointeriors


専門家によると、空の旅の需要は今後数年、2019年並みに戻ることはない。そのため、こうしたシートは各社にとって、すべてが元に戻った時に、航空の輸送手段としての信頼と自信を再構築するための1つの方法になるかもしれない

ブリティッシュ・エアウェイズ

COVID-19パンデミックで地上待機となったブリティッシュ・エアウェイズの旅客機。

Andrew Milligan/PA Images via Getty


[原文:Rear-facing plane seats could be the future of air travel as airlines seek to make flying safer in a post-pandemic world

(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)

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