「体温は個人情報ではない」…顔認識に体温検知をプラスした従業員監視ツールの販売好調

顔認識システムのスタートアップ、コグニッツが販売する「ヘルスカム」には、体温測定機能が搭載されている。

顔認識システムのスタートアップ、コグニッツが販売する「ヘルスカム」には、体温測定機能が搭載されている。

Kogniz

  • 新型コロナウイルス感染拡大防止のための規制が徐々に解除されていく中、業務を再開しようとする多くの企業は、従業員の健康状態をモニターするためのハイテク機器を求めている。
  • 従業員のおおよその体温をその場で測るサーモグラフィーカメラを設置する企業もある。
  • 顔認識システムのスタートアップ、コグニッツは、監視カメラに体温測定機能を追加した「ヘルスカム」を開発。同社の共同創設設立者、ダニエル・パターマンによると、飛ぶように売れているという。
  • 顔認識と体温検知を組み合わせるのは、プライバシーの侵害だと批判する声もあるが、パターマンは「今はもう、完全に匿名でいたいのなら自宅にいればいいという段階にきている」と反論している。

アメリカで外出禁止令の解除が始まる中、企業は通常運転に戻ることに対して慎重な姿勢を見せている。中には従業員の健康状態を監視するためにハイテク機器を導入してウイルスの感染拡大を防ごうとする企業もある。

企業の中には、サーモグラフィーカメラで多数の従業員をすばやくスキャンし、発熱している従業員をその場で見つけ出せるようにしているところもある。現在、サーモグラフィーカメラの需要は高まっている。アマゾンは同社の倉庫や店舗で使用するためのサーモグラフィーカメラを、アメリカ当局のブラックリストに掲載されている中国企業から1000万ドル(約1億700万円)で購入したと4月に報じられた

顔認識システムのスタートアップ、コグニッツ(Kogniz)の共同設立者、ダニエル・パターマン(Daniel Putterman)によると、同社はサーモグラフィーによる発熱者検出機能を加えたAI(人工知能)搭載の監視カメラを開発した。その製品は「ヘルスカム(HealthCam)」と名付けられ、今飛ぶように売れているという。

「本当によく売れている」とパターマンはBusiness Insiderに語った。

「まるで、ものすごく多くの人が、業務を再開するにはこれがなくてはいけないと気づいたかのようだ」

ヘルスカムの価格は一番安いものが7000ドル(約74万円)で、これまでに小売店チェーン、製造業者、ハイテク企業などに100台以上が売れたという。

同社の従業員は現在25人だが、数週間のうちに20人以上の営業職を採用する予定だ。また、今後の大量生産を可能にするために、熱を検出する部品であるボロメータも十分に確保したという。

「ヘルスカムを製造するための部品は非常に品薄となっているため、調達に時間のかかる部品はすでに確保した。ヘルスカムの需要は激増している」とパターソンは語った。

現在コグニッツは、大手小売業から国レベルの公的機関に至るまで、多くの組織から注文を受けている。

コグニッツのデモンストレーションでは、カメラに映った人を、時間とともに記録する様子が示されている。

コグニッツのデモンストレーションでは、カメラに映った人を、時間とともに記録する様子が示されている。

Kogniz

コグニッツが開発したシステムでは、AIによって人と人との距離を検出することも可能で、適切な社会距離の保持に役立てることができる。また、顔認識により個人の動きを記録できるため、万が一、従業員が病気になった場合に、誰と接触したのかをさかのぼって確認できる。

サーモグラフィーカメラは、発熱した人のスクリーニングに最も適したツールというわけではない。深部体温ではなく、体表面の温度しか検出できず、そこにはわずかながら違いがある。コグニッツは、部屋にいる全員の体温を測って基準を設けて、さらに顔の複数の場所を測定することで、より信頼性の高いデータを得られるAIを開発している。

だが、このようなテクノロジーは、公共の場で用いられる可能性があり、それを厳しく批判するプライバシー擁護派もいる。電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)の研究者は「体温測定の能力が疑わしい監視カメラを、新たなネットワークとして導入すべきではない」と述べている

だが、パターマンは動じることなく、公衆衛生はプライバシーの保護よりも重要だと反論する。「今は、完全に匿名でいたいのなら、自宅にいればいいという段階にきている」とパターマンはBusiness Insiderに語った。

「私は、体温が個人情報だとは思わない」

[原文:Offices are buying thermal cameras with facial recognition to see if employees are running a fever — and the demand for the cameras is skyrocketing as companies plan to reopen

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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