気軽に開始でき、あえて「顔出ししない」音声メディアにデビューしてみた。
撮影:小林優多郎
コロナ禍の連休(ゴールデンウィーク)。このタイミングで何か新しいことはできないものかと、音声メディアによる発信をやってみることにした。
きっかけは、比較的若めの企業の広報やスタートアップ関係者、フリーランスのライターの人たちが、動画や音声などさまざまな形で情報を発信するのを見ていたいこと。あと、Business Insider Japanに掲載された「どうでもいい話がしたい」という記事を読んだからだ。
もちろんZoom飲みという選択肢もあるが、そんなに頻繁に友人や知人に時間をもらうのもやや後ろめたい。だったら、都合のいいときにどうでもいい話を聞いてもらおうというのが趣旨だ。
スマホアプリで即音声メディアデビューが可能
音声配信プラットフォームはさまざま。「stand.fm」など、スマホで手軽に収録・配信できるものもある。
撮影:小林優多郎
音声メディアの歴史は長い。有名人から個人まで、すでにPodcast(ポッドキャスト)という形で自由に配信する仕組みは既にできあがっている。
さらに、最近では個人が気軽に音声配信ができるスマホアプリやサービスがある。このところ個人的な観測範囲でよく見るものは
の3つ。
なお、それぞれに特徴があり、stand.fmはリスナーからの「レター機能」や「コラボ収録機能」など内々で盛り上がりやすいプラットフォームになっている。Radiotalkはスマホだけで収録から配信まではもちろん、アップルやグーグル、SpotifyのPodcastプラットフォームへ展開することも可能。ツイキャスはTwitterでのビデオ生中継という印象が強いが「ラジオ配信」機能で声だけの配信もできる。
どのツールにも一長一短があるが、個人的には聞いてくれる人を想定したプラットフォームを選ぶのがよいと思う。いきなり音声メディアデビューをしても、やはり誰にも見向きをされなかったら落ち込む。現実世界でもネットの中でも良いので、ある程度自分とつながりのある人が使っている(もしくは聞きやすい)プラットフォームを活用するのが良さそうだ。
5日間連続でライブ配信をしてみた結果
「形から入る」派なので、PCで収録用のマイクも用意したが、スマホアプリで初めて見るなら、iPhoneに付属する「EarPods」など、マイク付きイヤホンがあればある程度のレベルの環境は整う。
撮影:小林優多郎
というわけで、筆者はTwitterが最もよく使うSNSであり、音声のみの配信に対応していることからTwitter社のライブ配信プラットフォーム「Periscope(ペリスコープ)」を利用することにした。
同条件であればツイキャスという手もあったが、PeriscopeであればTwitterの投稿からシームレスにライブ配信に参加してもらえるメリットがある。
実験も兼ねて4月27日から5月1日までの5日間、20時から20分程度のライブ配信を行った。得られた実感としては「意外に話せるし、これは素人でも楽しい」ということだった。
まず、当初の目的だった「どうでもいい話がしたい」という欲はかなり満たせた。アーカイブを聴き直すと、途中で言いよどんだり噛んだり、雑音が入ってしまったりとなかなかの素人放送ぶりなわけだが、しゃべっている最中は頭がいつもより回転しており、配信終了後は良い感じの疲労感があった。これはあえて収録ではなくライブ配信にして視聴者を意識しながら話したことが大きい。
次に、数字を見るのも楽しかった。5日間同じ時間で配信したわけだが、5日合計での視聴者数はのべ800人(内アーカイブ視聴者数は550人、5月3日時点)。3回目の4月29日が祝日だったためかリアルタイム視聴者数は最も少なかった。また、2回目が最もアーカイブとしても視聴されており、これはタイトルに流行の話題である「Visa LINE Payカードの話」と入れたのが効いたのかもしれない…と言ったように分析がはかどる。
どうでもいい話を身内やフォロワーに聞いてもらいたいという欲求から始めた音声メディアだが、元々何かを発信することも、数字などの傾向分析をすることも好きな自分にはマッチした形だ。
課題は自分や家族の負担をどう低減するか
Periscopeは配信結果を見返すことができる。どの話題のときに視聴者が多かったかなど考えると次のネタや構成作りの参考にはなる。
撮影:小林優多郎
もちろん、「聞いてもらうために、旬の話題やおもしろい話を用意する」ことは大事だ。だが一方で、それが活動の重みになってしまうのでは本末転倒だ。
そういう意味では5日間連続配信は、なかなか大変だった。
話すネタに少し困る部分はあって、正直「こんな雑談、誰のためになっているのだろうか」と思うことはあった。ただ、そこはある程度割り切りは必要だ。自分はプロのキャスターではないし、これは雑談の配信だ。数字を見すぎて、初心を忘れてはいけない。
他にも、家族にかけてしまった負担もある。我が家には書斎のような部屋がないので、配信中に物音が入らないように配慮してもらった。「記事にするから」と話して理解はしてもらっていたが、5日間気遣わせてしまったのは申し訳ない。次回からは週1ぐらいのペースで、家族との時間とすりあわせた上で配信してみようと考えている。
(文、撮影・小林優多郎)