2020年3月、最大の成長率を記録したワークアプリはズーム(Zoom)だった。
Okta
- オクタ(Okta)が公開した最新データによると、コロナショック以降、ビデオ会議アプリのズーム(Zoom)とサイバーセキュリティアプリのパロアルトネットワークス、シスコ・システムズ、シトリックス・システムズがユーザー数を一気に増やしている。
- 最も急激な伸びを示しているのはズームで、3月は前月比110%増を記録。前年同月の伸びはわずか6%にすぎなかった。
- オクタが毎日トラッキングしているログインデータ量は、カリフォルニア州の外出禁止令のような世界に影響を及ぼす動きに対応して急増している。
クラウド型ID管理サービスを展開するオクタが4月30日に発表したデータによると、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化してから、ズームやパロアルトネットワークス、シスコ、シトリックスが利用者数を大きく伸ばしている。
オクタのトッド・マッキノン最高経営責任者(CEO)は、Business Insiderの取材にこう語った。
「最新データをみると、人々がいまどうやって仕事をしているのか、一目瞭然です。どんなふうに関係先とつながり、どうやって会社を守るのか、何もかもが変わろうとしています」
オクタはID管理とセキュリティ関連のプロダクトを展開。1月13日から3月31日の間に、約8000社のネットワークを対象に、企業の在宅勤務におけるアプリケーションの使用状況を分析した。同期間に少なくとも1度ログインしたユニークユーザー数の増加率から「最も急速に成長しているアプリ」を割り出した。
端的に言えば、「ユーザーはセキュリティアプリというシートベルトを締めて、ズームでビデオ会議をしている」ということになる。
最も高い成長率を示したのはズームだった。ユーザーに重宝されたり、セキュリティ面で批判を受けたり、いろいろあったものの、オクタのデータでは3月に前月比110%増という大幅な伸びを記録した。前年同月の成長率は6%増だった。
高成長率トップ5のうち、4つまでがサイバーセキュリティ関連アプリだった。在宅ワーカーに安全性の高いインターネット接続を提供するVPN(仮想プライベートネットワーク)プロバイダ2社も大きな成長をみせた。
パロアルトネットワークスの「グローバルプロテクト」は3月に前月比94%増、前年同月の20%増から大きく伸ばした。シスコの「エニーコネクト」も86%増、シトリックスの「ADC(アプリケーションデリバリーコントローラー)」も56%増だった。
シリコンバレーのサイバーセキュリティ企業プルーフポイントも注目株で、オクタの高成長率ランキングに2度顔を出している。同社の「SAT(セキュリティ意識向上トレーニング)」は40%増で5位に、コワーキングツールは22%増で10位にランクインした。
オクタのマッキノンCEOは、サイバーセキュリティ関連アプリの浸透は目立たないものの重要な動きだと指摘する。
「ズームをはじめとするセキュリティ脆弱性の問題についてたくさんの批判や意見が出ていますが、セキュリティ関連アプリの活用については認識も議論も十分ではありません。当社のプラットフォームでは、強力な他要素認証(MFA)を提供しています」
オクタの2〜3月の日別データを見ると、世界の(新型コロナウイルスに関連した)動向を如実に反映してアプリ利用が進んでいることがわかる。
各アプリのデイリーユニークユーザー数の増加率。
Okta
ヨーロッパ各国がロックダウンを発表した3月16日、ズームとパロアルトネットワークス、シスコ(VPN)のログイン数が急増。米カリフォルニア州で外出禁止令が発出され、ニューヨーク州が「必要不可欠でない」事業の事務所や店舗を指示した3月20日には、もう一段階の伸びを示している。上記3つのアプリはその後も2週間にわたって前月比150%以上のユーザー増を続けている。
(翻訳・編集:川村力)