コロナ危機でも株価は上昇気流。テスラ従業員が語ったイーロン・マスクの強みと弱点

米南東部で販売を担当する現役従業員は、マスクは会社がいま取り組んでいるプロジェクトについて常に最新の情報を提供し、従業員のモチベーションを高めてくれると話す。

｢従業員とのコミュニケーション能力がとにかくものすごく高いんだ｣

マスクが仕事をまかせられる補佐役がもっと必要

｢イーロンはまさしく天才だ。でも、彼は一歩下がって、日々のオペレーションや社内の業務プロセスは補佐役にまかせるべきだと思う。そうすれば、従業員たちは会社を信頼し、ともに成長したいと思うようになるはず｣（2019年に退職した販売部門の元エリアマネージャー）

人の気持ちを駆り立てる天才

｢イーロンは傑物さ。悪口を言おうと探しても何も見つからない。自分がテスラで働きたいと思ったのは、イーロンがいるからこそだ。彼には将来の理想がある。それを実現しようと自らを駆り立て、そんなことできっこないと疑う人たちのほうが間違ってるってことを、きちんと証明してきたじゃないか｣（東海岸の販売部門従業員）

組織内リーダーシップの隙間を生み出した

前出とは別の、販売部門の元エリアマネージャーはこう話す。

｢会社のなかに強力なリーダーシップを持つ経営幹部を複数置いてほしかった。コストの観点では十分にフラットな組織だったけれども、それより本当は、リーダーシップの観点からフラットな組織であるべきだった。組織内のリーダーシップについては、欠けているところが多々あると思う｣

それでも、テスラが勝ち残り、株価をここまで引き上げたことへの貢献については、賞賛の言葉しかない、と彼はつけ加えた。

従業員の最大限の能力を引き出した

｢イーロンがいなかったらテスラは間違いなくここまで来れなかった｣と語るのは、2019年半ばに退職した販売部門の元従業員。｢イーロンは自らどの従業員よりも働いて、従業員の最大限の能力を引き出そうとしていた｣という。

マスクはかつて、1週間に100時間以上働き、ときにはデスクの下で眠ると語っている。

マスクは工場勤務の従業員にも配慮すべき

カリフォルニア州フレモントにある工場の生産部門に勤務し、2019年に退職した元従業員はこんなふうに話してくれた。

｢イーロンの仕事ぶりは本当に素晴らしいよ。電気自動車の販売でも素晴らしい実績を積み上げている。株価もどんどん上がってるしね。ただ、工場で車体をつくっている現場について言えば、イーロンには末端まであらゆる従業員のことを考えてくれたらと思う。工場労働者の待遇にも労働環境にも、まだまだ改善の余地がある｣

このフレモントの元従業員によれば、同工場は、人間工学的な（生産設備の）問題と現地での医療体制の問題を抱えているという。

露出はうまいが、しゃべりすぎる

整備部門の現役従業員はこう語る。

｢広告宣伝費用を払わずメディアにとり上げてもらうとか、テスラの露出を増やすやり方は本当に信じられないくらい素晴らしい仕事ぶりだと思うよ。イーロンは何でもきちんと話すし、そしてたいていしゃべりすぎる。でも、それで露出の機会を獲得している面もあるから、賛成とも反対とも言えないね｣

｢結局、イーロンがいなかったら今日のテスラはないから。こんなにたくさんのクルマも売っていなかっただろうし、こんな数のクルマもつくれていなかった。それは間違いないよ｣

［原文：Tesla workers reveal CEO Elon Musk's biggest strengths and weaknesses］

もっと知る

テスラの取締役に日本の元年金運用責任者…1年半続いた取締役会の混乱に終止符

（翻訳・編集：川村力）