新型ウイルスで需要高まる「本人確認」。NECとメガバンクら5行が連携へ ── 自撮りや顔写真付き書類が不要に

スマホをもつ人

政府による特別定額給付金のインターネット申請は最も身近な例だが、いまインターネットを通じた本人確認手段へのニーズが高まっている。

撮影:今村拓馬

新型コロナウイルス感染症拡大で電子的な「本人確認」の需要が高まる中、銀行が持つ本人確認情報を身近なサービス開発に生かせる動きが始まった。

NEC、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、横浜銀行、ふくおかフィナンシャルグループ、ポラリファイは5月7日、銀行が持つ本人確認情報をインターネット経由で提供する「マルチバンク本人確認プラットフォーム」の開発を発表した。

これまで、「LINE Pay」や「メルペイ」などのモバイル決済の一部では、eKYC(インターネット経由での本人確認)を導入していたが、それぞれ独自に開発したものだった。

今回発表された「マルチバンク本人確認プラットフォーム」では、銀行の持つ情報を一定の審査の下に開放することで、より多くの事業者に従来より迅速かつ安全な本人確認手段の導入が進む可能性がある。

ユーザーは、同プラットフォームと接続した事業者のサービスの本人確認作業時に、顔写真付きの確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を郵送することなく、顔写真のない確認書類(健康保険証など)をアップロードするだけでオンライン上で作業が完結する。

プラットフォームのイメージ図

プラットフォームのイメージ図。

出典:NEC

サービス開始予定の6月時点で、同プラットフォームを活用できるユーザーは、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、横浜銀行、ふくおかフィナンシャルグループの5行の口座・約9500万のうち、インターネットバンキングの利用登録など各行が定める方法で外部企業への情報提供が可能となっている約6000万の口座の所有者だ(いずれも同名義の口座の重複を含む)。

NECは北海道銀行、七十七銀行、北陸銀行、西日本フィナンシャルホールディングス、東日本銀行などの十数行程度の参加も検討しているとしており、実現すれば日本最大規模の「本人確認プラットフォーム」の1つとなる。

新型コロナで利用増、サービス事業者・ユーザーともにメリット

犯収法

2018年11月の法改正により、オンラインでの本人確認手段が広まった。今回のプラットフォームでは、犯罪収益移転防止法6条1項1号ト(1)で定められた「銀行等への照会」の確認手段となる。

出典:NEC

今回発表された同プラットフォームを活用するメリットは、基本的にサービス事業者はオープンAPIを活用して接続するだけで済み、銀行ごとに独自にシステムを接続する必要がなくなることだ。

また、利用者(一般ユーザー)にとっても、顔写真付きの本人確認書類をアップロードしなくてすむ点に加え、いくつかの事業者で採用されている「本人確認書類+自分自身の動画撮影(自撮り)」も不要になる点から、心理的なハードルがある程度下がる効果もある。

検討の背景

インターネットの利便性を高める一方、信用足る情報ソースの活用が求められている。

出典:NEC

同日の記者説明会(ネット開催)でNEC担当者の児玉直宏氏は「デジタル社会における身元証明について、安全安心に使いたいというニーズが高まっている」と開発の経緯を説明。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の渦中の発表になった理由についても「外出や人との接触の自粛を求められている中でも、いろいろ利用者や企業に利便性を提供できる」と述べ、ソーシャルディスタンスの重要性やデジタル化による行動革新(デジタルトランスフォーメーション)が求められる今日にこそ進めていくべき事業であると強調した。

金融業以外にもC2Cやシェアサービスなどへの導入も想定

ロードマップ

マルチバンク本人確認プラットフォームのロードマップ

出典:NEC

サービス開始当初は証券会社など、犯罪収益移転防止法(犯収法)への対応が必要な事業者をターゲットとした情報(氏名、住所、生年月日、本人確認済みフラグ)や、銀行側が持つ照合用の本人確認書類の画像データを提供する。

また、プラットフォームの稼働がうまくいけば、証券会社に似た業務属性を持つFXや仮想通貨取引、クレジットカード、モバイルペイメントの事業者向けへの展開も想定されている。NEC側の説明では各種シェアリングやマッチングサービスなど、個人間取引(C2C)の領域への活用も検討内容に入っている。

各銀行との調整が必要なため現時点では確定ではないが、ロードマップとして、残高・入出金明細情報やローン情報、給与所得振込の有無なども提供できないか検討していく。

(文・小林優多郎)

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