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新型コロナウイルスの感染拡大により、休業や人員整理に追い込まれる職場が増える中、暮らしが困窮するシングルマザー家庭の現状が深刻だ。全国のシングルマザーを対象に、コロナの影響を聞いた調査によると、9割が経済的な影響を受け、食費を切り詰める、貯金を斬り崩すなど8割が「経済的に苦しい」と答えている。
全国120万超の母子世帯に向けた支援を目的とする「ひとりじゃないよPJ」が実施したウェブアンケート(有効回答数120、5月2〜3日実施)で明らかになった。
同プロジェクトは、ジャーナリストや経営者らが呼びかけ人となり5月に発足した。プロジェクトのサイトでは、ひとり親世帯に対し、今すぐに必要な生活支援、学習支援、安全な居場所の確保を行なっている団体を紹介。応援したい団体への寄付を呼びかけている。
収入減でも休園・休校で出費は増加
厚生労働省の調査では、そもそもひとり親女性の年収は約200万円で、ひとり親男性の約半分。貧困率は5割を超える。養育費を受け取っている母子世帯は24%、全体の45%が「生活が大変苦しい」と感じている。
そんな中、新型コロナの影響で、経済的にも精神的にも追い詰められようとしている実態が、「ひとりじゃないよPJ」による今回調査にはっきりと表れている。どんな面で経済的な影響が出ているかを聞いたところ、多かったのは収入減とセットで、休園や休校による「出費の増加」だ。
- 勤め先の都合で収入が減った、51%
- 保育園や幼稚園、学校の休校で、光熱費、食費など出費が増えた、31%
- 勤め先が休業になり、収入が減った、なくなった、21%
「勤め先の都合で解雇された」(4人)「休園や休校で働けなくなり仕事をやめた」(2人)という人もいた。
子どもたちが家にいる時間が長くなると、どうしても食費はかさむ(写真はイメージです)。
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その結果、経済的な状況については「とても苦しい」(34%)「やや苦しい」(47%)と8割の人が困窮を訴えている。
具体的な生活面への影響では、学費や生活費に貯金を切り崩して充てている状況が浮き彫りになっている。
- 食費を切り詰めている、74%
- 貯金を切り崩している、54%
- 住宅ローンや学費を払えなくなりそう、20%
- 子どもの新学期に必要なものを買えない、買えなくなりそう、16%
- 子どもの学費を支払えない・支払えなくなりそう、13%
多くの人が先の見えない不安を持つ
先行き不安は誰もがもつ時期だが、経済的な問題がのしかかるとさらに深刻だ(写真はイメージです)。
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心理面での影響も大きく出ている。なんらかの新型コロナウイルスによる不安やストレスが「ある」と答えた人は95%。経済的な不安がもっとも多く、子どものストレスを心配する声も目立った。
- 収入の減少がいつまで続くかわからず不安、63%
- 勤め先の事情で仕事がなくなるか不安、50%
- 子どもが外で遊べず、ストレスを溜めていることが不安、42%
- このままでは生活が成り立たず不安、40%
今必要な支援は、現金給付がもっとも多く84%。食材や日用品など生活必需品の送付(35%)、雇用維持や新しい仕事を見つける支援(31%)が続いた。
自由回答では切実な声が集まっている。
「現金給付が10万円で決定されたのはありがたいが、4月上旬から外出自粛が始まり、支給が5月では4月の支払いはできません」「親がコロナになった時に、子供を見てくれる人がいない。子供を一人残すわけにはいかない」「休校にしたりする前にしっかりした保証を先に考えてほしかったです。家ですごそう といいますが、本当に困っている家庭は一日分の給料さえ大事なので休む事もで゙きません 」
ひとりじゃないよプロジェクトは、タレントの小島慶子さん、アクサ生命保険社長の安淵聖司さん、Business Insider Japan浜田敬子らが実行委員会として発足。子育て家庭への宅食や、子どもたちへの学習支援などを行う団体を紹介し、寄付先の選択肢として紹介する他、ひとり親家庭や子育て支援に関する「すぐに役立つニュース」を更新。
シングルマザー世帯に関する、適切な情報を得られる場となっている。
(文・滝川麻衣子)