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三越伊勢丹、最終赤字111億円。増税→暖冬→新型コロナで苦境、打開策は…

三越伊勢丹の2020年3月期決算は2年ぶりの最終赤字となった。

三越伊勢丹の2020年3月期決算は2年ぶりの最終赤字となった。

撮影:吉川慧

百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスが5月11日に発表した2020年3月期の連結決算は111億円の最終赤字となった。本業のもうけを示す営業利益は前期比46.4%減の156億円だった。

2期ぶりの赤字転落

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛やインバウンド客の減少、さらに首都圏を中心とした店舗休業で打撃を受け、134億円の黒字だった前期から2年ぶりの赤字に転落した。

新型コロナのネガティブ影響は「419億円」規模

連結の売上高は1兆1191億円(前期比6.5%減)。2019年10月の消費増税で直前に駆け込み需要があったが、以降はその反動で売り上げが減少し、暖冬で冬物需要も低迷。追い打ちをかけた新型コロナウイルスは悪材料の中でもっとも影響が大きく、売り上げを前年比で419億円下押しするとしている。

インバウンド、国内需要ともに低迷

売上高を示したグラフを見ると、売上減の過程が顕著だ。新型コロナウイルスの感染拡大につれて個人消費マインドは冷え込み、3月には入国制限でインバウンド需要は激減。4月には緊急事態宣言を受け、首都圏6店舗は全館休業。国内需要も低迷した。

ここ数年は「インバウンド頼み」の構図が続いてきたが、1〜3月は売り上げのベースだった日本人顧客の売上高が前年比でマイナス335億円。外国人顧客のマイナス90億円の比ではない落ち込みを見せた。

2021年3月期の業績予想は「不確実要素が多く合理的な予測をすることが困難」として公表を見送った。

「EC事業の強化」は掲げるが…

休業が続く三越日本橋本店。

休業が続く三越日本橋本店。

撮影:吉川慧

三越伊勢丹は全館休業中の首都圏6店舗について、緊急事態宣言の解除まで全館での営業再開は見送る方針だ。

一方、食品や衣料品を取り扱うオンラインショップは7日に営業を再開。向こう3カ年の中期事業計画でも「EC事業の強化」を新たに追加した。

今後はオンラインショップの商品充実のほか、来店の予約、店舗の混雑情報をアプリで提供することなどを目指しているという。

しかし、三越と伊勢丹はともに呉服店を発祥とする老舗デパート。「お帳場」「お得意様サロン」など、これまでは上顧客を重んじてきた企業文化がある。

未曽有の経済危機に対して、今後は新規顧客の開拓や顧客一人ひとりのニーズにどう応えるのか。新型コロナ禍で消費者の生活習慣が変わりつつある中、EC事業が店頭販売を補完する存在になりうるのか。デジタル部門の強化は、老舗百貨店の生き残りをかけた試金石となるだろう。

伊勢丹新宿店は基幹店舗でも売上トップを誇ってきたが…。

伊勢丹新宿店は基幹店舗でも売上トップを誇ってきたが…。

撮影:吉川慧

5月1日に三越伊勢丹ホールディングスが発表した4月の売上高(速報)は前年同月比で90.8%減。三越銀座店は94.9%減、伊勢丹新宿本店は90.2%減、三越日本橋本店は88.3%減で既存店ベースでは90.2%減と、店頭販売の悪化は前例を見ない厳しさだ。

先行きの見通しが立たない中、三菱UFJ銀行と三井住友銀行に総額800億円規模の融資枠の設定を要請したことも報じられている

(文・吉川慧

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