Shutterstock
- この記事はビジネスインサイダー・インテリジェンスのプレミアム・リサーチ・レポート「デジタルヘルス・エコシステム(The Digital Health Ecosystem)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから
デジタルヘルス業界は「DX待ったなし」の状況にある
米国の民間保険会社最大手5社の加入者は合計1.45億人(2018年末)
Business Insider Intelligence
医療機関やヘルスケア関連企業は、デジタルトランスフォーメーション(DX)をこれ以上先延ばしにできない状況に立たされている。デジタル化は利用者が求める利便性を高めるだけでなく、収益の伸びを阻んでいる重大な問題の解決にもつながる。
パーソナリゼーション(個人最適化の流行)と利便性向上は、ほとんど全ての業界で必須課題となっており、医療の分野でもデジタル技術を活用した使い勝手の良いサービスへのニーズが高まっている。より便利なサービスが提供されれば、既存の医療機関から乗り換えても良いというのが米国の消費者の考えだ。
既存の医療関係者はデジタル化推進により、ますます利便性を求めるようになった利用者に応えられるようになるだけでなく、イノベーションを通して新規顧客の獲得や経費削減も可能となる。そうした事例は業界の各部門で見られる。
企業は福利厚生の一環としてデジタルツールを採用し、「従業員の健康管理」や「医療コストの低減」に役立てている。医療機関は人員不足を補うために遠隔医療を導入し、新たな診療報酬体系への移行を容易にするためAIを活用している。製薬会社や医療機器メーカーは新たな収益源としてデジタル技術に注力しており、流通業者はサプライチェーンで発生する無駄を省くためブロックチェーン技術を導入している。
ITの世界からヘルスケアの分野に参入してきた新規事業者は、コストを抑えながら環境の変化に素早く対応できる。既存の事業者がアップデートを怠れば、これらの企業に市場を奪われかねない。アルファベット(グーグルの持株会社)、アマゾン、アップル、マイクロソフトのようなIT大手や、アメリカン・ウェルやリボンゴのようなスタートアップが着々と事業を拡大し、競争の激化に拍車をかけている。
デジタルヘルス分野の主だった企業
デジタルヘルス関連の代表的な企業には以下があげられる。
- アマゾン
- フィットビット
- ウーバー(注:医療関係の輸送の取り組みで注目されている)
- マイクロソフト
- アップル
- ウォルマート
顧客中心型かつITに重心を置いたサービスを展開するこれらの新規参入事業者は、既存の医療関連サービスからの乗り換えを促している。こうした新興勢力には膨大な人員や古びたインフラという重荷がない分、利用者を引きつける新らたなデジタルソリューションを開発し市場に投入するための機動力がある。そうしたなか既存の事業者は顧客流出を食い止めるため、提携や買収などを通して新興勢力のノウハウや技術を取り入れようと動いている。
ビジネスインサイダー・インテリジェンスによる本レポートでは、現在の医療業界を俯瞰し、DXに関する主要なトレンドや今後1年の展開予想を示す。まず初めに、業界を構成する関係者の複雑な網の目を解きほぐし、ステークホルダーごとにデジタル化の影響を見ていく。
次に、患者が医療サービスを受診した時の流れを最初のコンタクトから診療報酬の支払いまでポイントごとに追っていく。そしてデジタル技術の導入で既存医療の枠を超えたサービスがいかに可能になるかを示していく。さらに、デジタルヘルス・ブームを牽引する主な企業とテクノロジーについて触れる。
最後にデジタルヘルスの未来を予想するため、どのような分野に投資が集まっているのかを見る。
本レポートで言及される企業:
23andMe, Aetna, Akili Interactive, Alphabet, Amazon, Amazon Care, Amazon Web Services, American Well, AmerisourceBergen, Ancestry, Anthem, Apple, Atomwise, Atrium Health, Black Thorn Therapeutics, Blue Cross Blue Shield, CVS, CVS Caremark, Cardinal Health, Cerner, Cleveland Clinic, Clover Health, Color, DePuy Synthes, Devoted Health, Dexcom, Doctor on Demand, Eli Lilly, Express Scripts, First Stop Health, Fitbit, Fresenius Medical Care, GE Healthcare, Geisinger, GlaxoSmithKline, Google, Health Care Service Corporation, Health Catalyst, Henry Schein Medical, Humana, InTouch Health, Insilico, Intermountain Healthcare, Jefferson Health-Northeast, Johnson & Johnson, Kaiser Permanente, Lark, Livongo, Lyft, Mass General Hospital, McKesson, MediBloc, Meditech, Medtronic, Merck, Microsoft, Mount Sinai, Noom, NorthShore University HealthSystem, Northern Light Health, Novartis, Novo Nordisk, Ochsner Health System, Omada, Omron, One Drop, One Medical, OptumInsights, OptumRx, Oscar Healh, PWNHealth, Pear Therapeutics, Pfizer, Philips, PillPack, Propeller Health, Providence St. Joseph, Quartet Health, ResMed, Rite Aid, Roche, Sanofi, Senseonics, Solera Health, Stanford Medicine, Suki, Tallahassee Memorial Hospital, Talkspace, Tempus, TrialSpark, UCI Health System, Uber, Unite Us, UnitedHealth Group, Verily, Verizon, Virta Health, Walmart, and ZocDoc.
本レポートのキーポイント:
ビジネスインサイダー・インテリジェンス「デジタルヘルス・エコシステム」レポート
Business Insider Intelligence
- 米国の医療機関や関連組織にとってDXは喫緊の課題だ。デジタル化は医療分野における諸問題の解決にもつながる。
- 医療業界を構成する多種多様な事業者が、それぞれ適切なデジタルツールの導入方法を探っている。最先端テクノロジーをうまく活用できなければコスト増や顧客流出につながる恐れがある。
- さまざまな要因が医療の急速なデジタル化を推進している。利便性を求める声の高まり、新たな医療技術やその他の技術の組み合わせで進むオーダーメイド医療の開発、慢性疾患治療にかかるコスト急増などがそれにあたる。
- IT大手や機動力のあるスタートアップが次々とヘルスケアの分野に参入している。既存の組織は提携などを通してこれらの企業の協力を得ることもできるが、手を打たなければ競争力を失うだろう。
- 多岐にわたるデジタル・ソリューションが医療業界に変革を起こしつつある。遠隔医療、デジタルセラピューティクス(DTx)、遺伝子検査サービス、AI、ウェアラブルデバイス、クラウドコンピューティング、ブロックチェーンなどが代表例だ。
- デジタルヘルスが医療業界の不足部分を補いうるとのエビデンスが関連事業者や投資家の注目を集めている。米国でデジタルヘルスへの投資は伸び続けており、なかでもAIや行動療法関連のソリューションに対しては特に顕著である。
本レポートの完全版では:
米国では年間あたりの健康保険の事業主負担額が増加傾向にある。
Business Insider Intelligence
- 米国における従来の医療システムの見取り図を提示。患者が医療サービスを受ける際の行程や手続きがデジタル化でいかに変わりつつあるかを解説する。
- デジタル化を進めている既存の医療機関や関連企業、テクノロジーを軸としたサービスを展開する新規参入事業者など、主だった関係者を紹介する。
- デジタル化を進める動機のひとつにもなっている、米国の医療システムの諸問題について解説する。
- 保険会社、病院、医療機器メーカー、流通業者などの既存の事業者がデジタル化によってどのように運営を強化し、それぞれの分野で優位に立てるかを解説する。
- 投資が集まっている分野を特定し、デジタル医療の今後を予測する。
本レポートの完全版を入手するには:
リサーチストアからレポート完全版をご購入・ダウンロードする。→購入・ダウンロードはこちらから
(翻訳・野澤朋代、編集・佐藤葉)