ジョージ・ソロス氏。
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- ビリオネアの投資家ジョージ・ソロス氏は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を資本主義の未来にとって何が起きるか分からない、現状を覆す"一世代に一度の危機"と呼んだ。
- 「わたしたちはパンデミックが始まった頃の状態に戻ることはない。それは明らかだ」とソロス氏は語った。
- ソロス氏は、ワクチン開発が成功するまでには「長い時間」がかかるだろうとの見方も示している。
リベラルなビリオネアの投資家ジョージ・ソロス氏は、新型コロナウイルスのパンデミックとその影響について、資本主義の未来にとって何が起きるか分からない「かつてない出来事」だと語った。
欧州外交評議会(ECFR)のインタビューでソロス氏は、パンデミックの世界を揺るがすような予期せぬ影響が人々に打撃を与え、世界経済を急激に悪化させていると指摘した。
「これはわたしの人生における危機だ」
「パンデミックが起きる前ですら、わたしたちは通常ではあり得ないまたは想定し得なかった革新的な時期にいる可能性が高く、恐らくそれは間違いないとわたしは認識していた。そこへCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)がやってきて、人々の生活を何から何まで破壊し、これまでとは全く違う行動を要求している」
その上で、ソロス氏は「これは恐らくこの組み合わせでは起きたことのない、かつてない出来事だ。まさにわたしたちの文明の生存を脅かしている」と続けた。
ソロス氏は「その他全てはどう転ぶか分からない」とし、結果として「資本主義がどう進化するかは誰にも分からない」と述べた。だが、自信を持って言えることが1つあるという。
「わたしたちはパンデミックが始まった頃の状態に戻ることはない。それは明らかだ」
ソロス氏は、ワクチン開発が成功するまでには「長い時間」がかかるだろうと見ている。同氏はまた、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、アメリカのトランプ大統領が憲法によって規制されている独裁的な傾向を見せていると考えている。
ニューヨーク・タイムズによると、ソロス氏の慈善団体「オープン・ソサエティー財団」は新型コロナウイルスがもたらす影響と戦い、危険にさらされている人々や移民家族が受ける打撃を緩和するために、1億3000万ドル(約139億円)を寄付したという。
アメリカでは複数の州が経済活動を再開させ始める中、感染者数は今も増加し続けている。国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長で、トランプ政権の新型コロナウイルス対策本部の主要メンバーでもあるアンソニー・ファウチ博士は5月9日(現地時間)、このウイルスが根絶される「可能性はほぼない」と語った。
5月13日現在、アメリカでは8万2000人以上が新型コロナウイルスで命を落としていて、死亡者数は今も増え続けている。
(翻訳、編集:山口佳美)