アフリカ大陸南部とその周辺の海域をとらえた合成画像。NASAとアメリカ海洋大気庁(NOAA)の地球観測衛星スオミNPPが、2015年4月9日に地球の軌道を6周する間に撮影した画像が用いられた。
NASA/GSFC
- 地球の表面が何でできているのか、そしてその量はどれくらいなのかを示すアニメーションが、惑星科学者と地球物理学者によって作成された。
- 地殻は、最大50キロメートルの厚みがあるが、地球の質量のわずか0.49パーセントを占めるに過ぎない。
- 地殻のすぐ下のマントルは、赤く輝くほどの熱さはなく、緑色をしている。
あなたは足元から地中深くへと延々と続く地殻がどうなってるのか、不思議に思ったことはないだろうか。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の惑星科学者、ジェームズ・オドノヒュー(James O'Donoghue)がその疑問を持ったのは2019年のことだった。そこで彼は東京工業大学地球生命研究所の地球物理学者で、地震学者でもあるクリスティン・ハウザー(Christine Houser)博士にメッセージを送った。オドノヒューは、我々の惑星の地殻がどのような物質で構成されているのかを示し、居住可能な地表がいかに薄いかということを伝えたかった。
「地球に占める水の比率を表すために、それに対応したサイズのボールを示すアニメーションはよく見かけるが、地殻をそのように描いたものはない」とオドノヒューはBusiness Insiderへのメールに記した。
オドノヒューがハウザーとのコラボレーションで作成したアニメーションがこちら。
オドノヒューは惑星科学者だが、ハウザー博士に教えてもらったある情報に驚かされた。「マントルが緑色だったなんて、思いもしなかった」とオドノヒューは言う。
「マントルはとても熱いが、赤く輝くほどの熱さではない」
地殻はマントルの外側にあり、場所によっては50キロメートルもの厚みがある。だが海の一番深いところでは、5キロメートルしかない。地殻の成分はほとんどが二酸化ケイ素で、これはシリカとも呼ばれ、世界中の砂もほぼこの成分でできている。次に多いのが酸化アルミニウムだ。
地殻の全成分と水を合わせても、地球の質量のわずか0.49パーセントにしかならない。
「地表のこの層の上で、これまですべての(知られている)生き物が暮らしてきたことを忘れてはいけない」とオドノヒューはツイートした。
この岩石と水でできた薄い層は、地震が発生したり、鉱物を採掘したりする場所でもある。オドノヒューにとってその成分を分解するのは、違った観点から物事を見るための訓練でもある。
「今回学んだのは、(もともと、ある程度知っていた)地殻の成分の構成よりも、地殻が地球の質量のほんのわずかな部分を占めるだけのなのに、これほどまでに広大に見えるということだった」とオドノヒューは述べた。
「ナトリウムや炭素など、日常的に身近な成分が見当たらないことに驚く人もいるだろう」
これらの成分は地表、水、生物、大気を循環しているが、地殻のごく一部を占めるに過ぎない。したがって、我々が知っているすべての生物や鉱物は、地球という惑星のほんのかけらでしかないのだ。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)