テスラの販売好調が電気自動車(EV)向け車載電池の業界地図を塗り替えつつある。
Grisha Bruev / Shutterstock.com
電気自動車(EV)世界最大手テスラの販売好調を受け、2020年第1四半期(1〜3月)のEV向けバッテリー供給量で、韓国LG化学が初めて世界トップシェアを獲得したことが明らかになった。韓国の経済メディア・インベスターが5月13日に伝えた。
先立つ7日、韓国の調査会社SNEリサーチは、LG化学が四半期トップシェアを獲得したとの調査結果を明らかにしていたが、続く13日にスウェーデンの調査会社EVボリュームズが、その主因をテスラ向け供給の増加とする詳細なデータを発表した。
データによると、テスラが1〜3月に販売したEV(8万8461台)の14%について、LG化学がバッテリーを提供。その結果、同社のバッテリー総供給量は6.3GWh(ギガワット時)に達し、それまで世界首位だったパナソニック(5.8GWh)を抜いてトップに躍り出た。LG化学はほかにも、独アウディや仏ルノーにもEV向けバッテリーを供給している。
テスラはバッテリー供給についてパナソニックと独占契約を結んでいたが、2019年8月に解消。翌9月から、LG化学がテスラへの供給を開始した。2020年7月からは、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)も供給することが決まっている。
LG化学が奪取した14%以外のテスラ車には、現時点ではパナソニックが引き続きバッテリー供給を続けている。また、中国で販売されたテスラ車のバッテリーについては、LG化学がパナソニックの5倍近いシェアを獲得しているとの指摘も出ている。
なお、バッテリー供給量の世界シェアについては、首位がLG化学、2位パナソニックという変動に伴い、他の順位にも動きがあった。3位は中国CATL(3.0GWh)、4位には韓国のサムスンSDI(1.3GWh)が浮上し、中国の比亜迪(BYD、1.2GWh)を僅差で抜いた。日本勢では、GSユアサ(0.2GWh)が8位にランクインしたが、供給量で上位に大きな差をつけられている。
※新型コロナウイルスの影響について……テスラはウイルス流行の影響で稼働停止していたアメリカの工場を5月中に再稼働させる方向で調整を進めている。また、ブルームバーグによると、中国・上海の工場もメンテナンスによる稼働停止が長引いている。4月の中国でのテスラ販売台数は前月比6割以上の落ち込みを記録している。
(文:川村力)