学校や社会活動から離れていることでうつの症状をみせる子どももいる。
Chris Hondros/Getty Images
- 最近の中国での研究が、湖北省で隔離されていた子ども5人に1人がうつ病や不安の症状が見られたことを報告している。
- 心理療法士であり、臨床ソーシャルワーカーの資格を持つエイミー・モリンは、検疫下に置かれた経験が子どもに与える長期的な影響を判断するのは早すぎるかもしれないと述べている。
- モリンによると、困難な時期に自分の子どもがうまくやっていけるようにするには、力づける言葉を使い、不安や感情を認め、楽しい活動を計画し、友人や家族とバーチャルででもつながっているように手助けすることだという。
パンデミックは、子どもの精神衛生に深刻な影響を与えているように見える。少なくとも中国から出てくる初期の研究によると。
中国の子どもたちは、検疫が終了した後、うつ病の兆候を示している。これについての学ぶことは、アメリカの親が、彼らの子どもに精神衛生上の問題が発生するのを防ぐのに役立つ可能性がある。そうでなくとも、発症の兆候を発見し、早期に治療を受けることができるかもしれない。
中国の子どもにうつ病の兆候
研究者たちは、中国湖北省の学校の2年生から6年生までの子どもたち1784人を対象に、パンデミックによる休校後の心の健康状態についての調査を行った。
2020年4月に発表されたこの研究では、5人に1人の子どもたちが、1カ月間学校を休んだ後にうつ病の症状を経験していることが判明した。不安の割合はほぼ同じくらい高かった。
子どもたちへの長期的なメンタルヘルスへの影響を語るには時期尚早だ。社会が「ニューノーマル」に落ち着けば、うつ病や不安症の発症率は下がるのか。将来的にも隔離の影響と戦い続けるのか。彼らの経験はトラウマになるのか。
幸いなことに、この困難な時期に子どもたちのメンタルヘルス改善に積極的に取り組むことで、メンタルヘルスの問題が悪化する前に対処し、予防することができるかもしれない。
いま親ができること
少なくない割合の中国の子どもたちが隔離後に精神疾患を経験したのは驚くに値しない。彼らの生活は完全に崩壊し、放課後の活動は失われ、友達と過ごすこともできなくなっていたのだから。
さらに、彼らの多くはパンデミックそのものに対する苦悩を経験していた可能性が高い。病気になるのが怖かったのかもしれないし、家族が経済的に困窮していることを認識していたのかもしれない。もしかしたら、彼らの愛する人の健康について心配していたかもしれない。
幸いなことに、アメリカでは親が子どものメンタルヘルスを改善するために今すぐできることがいくつかある。時には小さな変化が、子どもの幸福感に大きな違いをもたらすこともある。
ここでは、今すぐに子どものメンタルヘルスを改善するための戦略をいくつか紹介しよう。
前向きになれる言葉を使おう
ポジティブになれるように。
MoMo Productions/Getty Images
「家に閉じこもっている」とか「孤立してしまっている」とかではなく、力を与える言葉を使おう。「みんなが安全に過ごせるように家にいることを選んでいる」と言おう。家にいることで、他の人を助けるために自分の役割を果たしていることを子どもたちに伝えよう(ときにはそれが困難でイライラすることもあるかもしれないが)。
感じたことを言葉にしよう
子どもたちに、悲しんだり怖がったりしてもいいと伝えよう。
Getty Images
子どもの気持ちを確認してみよう。どのように感じていてもいいのだということを伝えよう。また、「怖がらないで」とか「動揺する理由はない」などと言って感情を抑えようとせず、自分の感情を認めて、その感情に対処する健全な方法を話し合うようにしよう。
習慣を作ろう
1日のスケジュールを守る方法を教える。
Ute Grabowsky/Getty Images
子どもは(大人と同じように)、1日にある程度の計画や予定があると、よりうまく行動できる。学習、遊び、仕事、家族のための時間を確保しよう。簡単なルーチンは、子どもたちが毎日何を期待すればいいのかを知るのに役立ち、不確実で不安な気分を改善することができる。
楽しいアクティビティを計画しよう
夜、家族でゲームをするのもいい。
Rick Scuteri/AP
子どもたちは、何か楽しいことが待っていると気分がいい。コミュニティ内の活動には参加できないかもしれないが、社会的な距離を取って楽しいことを計画することはできる。
子どもたちに、金曜日の夜にピザを注文して映画を見ようと伝えよう。あるいは、次の日曜日に家族でハイキングに行くことにした、でもいい。楽しみにしていることがあると、家族全員の気分が盛り上がる。その楽しいことをすると元気が出て、幸せな気持ちはアクティビティが終わっても続く。
関係性の維持をサポートしよう
会いたいと思っている人に手紙を書くように言ってみよう。
REUTERS/Desmond Boylan
子どもが友達との関係性を維持することを助けよう。ビデオ通話をさせて、毎日ランチデートをするように促すのもいい。また、週に数回、グループチャットをするのを手伝ってあげよう。そうすることで、子どもたちは、一緒にいられないときでも友達とつながっていると感じることができる。
専門家の助けを借りよう
専門家に助けを求めることは恥ずかしいことではない。
fizkes/Shutterstock
子どもの気分や行動に変化が見られ、それが2週間以上続くようであれば、専門家の助けを求めよう。今では多くのセラピストがオンラインでセラピーを提供しているので、誰かと話すことで精神的な健康状態を改善できるかもしれない。早期に対処することで、不安や抑うつなどのメンタルヘルスの問題を軽減することができる。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)