「ありがとうTシャツ」の配布で終わり?…米アマゾン、倉庫スタッフへの支援制度を順次廃止

2020年3月17日、ニューヨークのロングアイランドにあるアマゾン施設で働くフェイスマスク姿の労働者。

2020年3月17日、ニューヨークのロングアイランドにあるアマゾンの施設で働くフェイスマスク姿の労働者。

REUTERS/Andrew Kelly/File Photo

  • アマゾンは、コロナウイルスのパンデミック時に倉庫スタッフを支援するために導入した制度を段階的に廃止し始めた。
  • 無制限の無給休暇取得が可能という方針を打ち切り、時給の2ドル上乗せを終了すると発表した。
  • 2人の倉庫従業員が、会社はありがとうと書かれたTシャツをスタッフに配ったとBusiness Insiderに語った。

米アマゾン(Amazon)は、コロナウイルスが大流行している間の支援を目的とした制度を段階的に廃止しているが、倉庫スタッフに感謝の意を表すために、自社ブランド商品を配った。

2人のアマゾン従業員がBusiness Insiderに語ったところによると、同社は「ありがとうTシャツ」を倉庫スタッフ(別名フルフィルメント・アソシエイツ)に配布したという。

インディアナ州に住むあるスタッフが、受け取ったシャツの写真を共有した。前面に「Thanks to you」、背中側に「Together, we'll deliver」と書かれている。

アマゾンが配布したTシャツ。

アマゾンが配布したTシャツ。

Business Insider

彼らはTシャツが置かれた部屋に入り、希望するサイズのシャツを受け取った。同時にアマゾンは、パンデミック時の危険手当として3月中旬から実施している1時間あたり2ドルの賃上げを廃止すると発表した。

Business Insiderの取材に答えた従業員たちは、このトレードオフにあまり満足していなかった。ある従業員は「我々の倉庫ではこれまでに21件以上の感染例があり、インディアナポリスの倉庫で少なくとも1人が死亡している」と述べた。

テキサス州の従業員は、倉庫で同様のTシャツが配られていたが、倉庫フロアにいなかったために受け取らなかったという。

「私が言えるのは、ニュースで報道されている否定的な印象を変えようとしているように感じたということだ。何かに感謝していないように聞こえるのは嫌だが、シャツに大きく『ありがとう』と書くことは、彼らが我々の考えを変えたいと思っていることを明確に示している。誠実さが感じられない」と彼は言った。

アマゾンは4月末、無期限の無給休暇の付与も終了した。これは、パンデミック中に倉庫の従業員が増加する仕事のプレッシャーに対処できるようにするために最初に導入された制度だ。

5月1日、カリフォルニア州ホーソーンで、コロナウイルス大流行に対するアマゾンの方針に抗議するアマゾンの従業員。

5月1日、カリフォルニア州ホーソーンで、コロナウイルス大流行に対するアマゾンの方針に抗議するアマゾンの従業員。

Tommaso Boddi/Getty Images

アマゾンは、自宅待機している顧客からの需要の急増に対応しなければならず、現場の従業員を保護し、支援するための制度をいくつか導入した。また同時に、17万5000人もの従業員を雇い入れ、消毒を増やし、社会距離を広げることにも成功した。ただし実際には、複数の作業員がBusiness Insiderに語っているが、倉庫内で社会的に距離を置くことは不可能であり、衛生用品が欠品していることも多かったという。

ここにきてアマゾンは配送システムを安定させることに成功したようで、給与の引き上げや無制限の無給休暇などのコロナウイルス対策を廃止していっている。従業員はBusiness Insiderに、コロナウイルスのリスクが完全になくなるには程遠いため、この方針を撤回するのは時期尚早だと語った。

ある従業員はBusiness Insiderに対し、メリーランド州の施設で感染者が増えていることを考えると、今回の決定は問題があると語った。

「アマゾンは世界で最も裕福なCEOが指揮する巨大企業であり、そのような企業には、わずか2ドルの追加賃金を従業員に支払う余裕があることは間違いない」

Bloomberg Billionaires Indexによると、最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏の純資産は2020年に入ってから290億ドル(約3兆1000億円)増加したという。

少なくとも7人の米アマゾン倉庫従業員がコロナウイルスに感染して死亡したことがわかっている。労働者からの抗議が多数発生し、同社は社内コミュニケーションを厳重に取り締まったようだ。

アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾスは世界一の金持ちだ。

アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾスは世界一の金持ちだ。

zz/Dennis Van Tine/STAR MAX/IPx

また同社は、抗議活動に関与した一部の従業員を解雇した。

その中には、倉庫で働くクリスチャン・スモールズ(Christian Smalls)氏も含まれている。同氏のケースは、流出したメモでベゾスCEOが出席していた幹部会議の席上、解雇によるメディアの影響に対処する最善の方法について議論されたことが明らかになったため、大きな問題となった。

アマゾンは、従業員の抗議を理由に解雇したことはなく、スモールズ氏らは会社の方針に違反したことで解雇されたと主張している。

[原文:'It's a slap in the face': Amazon is handing out 'Thank you' t-shirts to warehouse workers as it cuts their hazard pay

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み