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出入国できない! ウクライナでは代理出産で生まれた約100人の新生児が足止めを食っている

Venice Hotel

BioTexComが所有する、ウクライナの首都キエフにあるVenice Hotel(2020年5月14日)。

REUTERS/Gleb Garanich

  • 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受け、ウクライナでは"代理出産"が影響を受けている。
  • 国境が封鎖され、国外に住む親が入国できなくなったため、ウクライナ全体で約100人の新生児が足止めを食っている。
  • このうち51人の新生児が首都キエフにあるVenice Hotelにいて、ウクライナ最大の代理出産を手掛けるクリニック「BioTexCom」がその面倒を見ている。新生児用のベッドがずらっと並んだ写真は、この問題が注目されるきっかけとなった。
  • ウクライナ議会の人権オンブズマンを務めるリュドミラ・デニソワ(Lyudmyla Denisova)氏は、隔離の延長(現時点では5月22日までとされている)が数千人の新生児に影響を及ぼすだろうと懸念を示している。

ウクライナでは、100人前後の代理母から生まれた新生児が足止めを食っている。新型コロナウイルスによって国境が閉鎖され、国外に住む親が引き取りに来られないからだ。

外国人に対してこうしたサービスを提供している数少ない国のうちの1つであるウクライナでは、"代理出産"は安定した産業だ。経済的苦境から、代理母になることはウクライナ女性にとって魅力ある選択肢になっていると、AP通信は報じている。イギリスのスカイニュースによると、代理母になると約1万4000ポンド(約182万円)稼げるという。

ウクライナでは、約50のクリニックが代理出産を手掛けている。だが、それも新型コロナウイルスのパンデミックで困難に帳面している —— ロックダウン(封鎖)の延長がクリニックを圧迫し、アメリカやイギリス、中国、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ、メキシコなど12の国々からやって来る親にとっても難しくなるとの懸念が高まっていると、AP通信は報じた。

こうした状況を受け、ウクライナ議会の人権オンブズマンを務めるリュドミラ・デニソワ氏は当局からの支援を求めている。

AP通信によると、「約100人の子どもたちがすでにさまざまな生殖医療機関で親を待っている。隔離が延長されれば、その数は数百ではなく数千になるだろう」とデニソワ氏は語った。

ジョンズホプキンズ大学のデータによると、5月18日現在、ウクライナの新型コロナウイルスの感染者数は1万8000人を超え、514人が死亡している。

ウクライナは3月、外国人に対して国境を封鎖していて、これは5月22日まで継続される見込みだ。

Venice Hotel

2020年5月14日、Venice Hotel。

REUTERS/Gleb Garanich

この問題が注目を集めたのは、ウクライナ最大の代理出産を手掛けるクリニック「BioTexCom」が、普段クライアントが滞在する首都キエフにある「Venice Hotel」に新生児用のベッドがずらっと並んだ映像をシェアしたのがきっかけだったと、AP通信は報じている。デニソワ氏は、BioTexComでは51人の新生児の面倒を見ていると語り、このうち15人は国境が封鎖される前に入国できた親と一緒にいると付け加えた。

「全ての子どもたちに食料が提供され、十分な数のスタッフがその面倒を見ている。だが、親による世話の代わりにはならない」とBioTexComの弁護士デニス・ハーマン(Denis Herman)氏はスカイニュースに語った。「子どもの写真を親に送ったり、電話でやりとりをしようと試みているが、それも直接のコミュニケーションの代わりにはならない」と、ハーマン氏は言う。

ウクライナ政府は、代理出産を依頼した親から大使館に要請があれば入国は許可されると、スカイニュースに語っている。

「問題はまだ解決していないが、この状況から抜け出すための仕組みを作ろうとしている」とデニソワ氏はAP通信に語った。

スペイン在住のラファ・アイレスさんは、代理出産で授かった娘のマルタちゃんを引き取るために国境が封鎖される前にウクライナに入国できた数少ない人のうちの1人だ。だが、アイレスさんは今、帰国できずにいると、スカイニュースは報じた。

アイレスさんの妻は仕事で来られず、スペインの自宅にいるという。

「毎日、妻にこの子を見せるために1時間から1時間半くらいビデオ通話をしています」とアイレスさんは語った。

「本当に難しいです」

アイレスさんは、BioTexComの「素晴らしい」看護師や医療スタッフが大きな助けになっているとも語っている。

だが、デニソワ氏によると、BioTexComのイメージは赤ちゃんを「高品質なプロダクト」をうたう「大規模かつシステマチックな」代理出産産業にスポットライトを浴びせていると、スカイニュースは報じている。デニソワ氏は、国民のために代理出産を確保しておくためにウクライナの法律が修正されることを願っている。

BioTexComの創業者アルベルト・トチロフスキー(Albert Tochilovsky)氏は、「こうしたネガティブな反応は覚悟していた」と語っている。

[原文:51 Ukrainian babies born to surrogate mothers are stranded at a hotel in Kiev because their adoptive parents can't cross the border

(翻訳、編集:山口佳美)

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