コロナ禍のオンライン就活。学生を集められる企業とできない企業を分けるモノは?

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ソニーの採用担当者らが参加したワンキャリアライブ。学生からは「どんな性格の人が多いのでしょうか」などの質問が投稿された。

YouTubeの画面を編集部でキャプチャ。画面の一部を加工しています。

新型コロナウイルスの影響で、面接のオンライン化などネット活用が進む就職活動。企業説明会をYouTubeでライブ配信したり、中小企業でも就活生向けの動画配信に乗り出したりと、新しい動きが進んでいる。

学生を会場に集める従来の企業説明会や面接が大きく制限されているものの、コロナ禍でも優秀な学生を確保しようと、企業側はオンライン就活への対応に迫られている。

3月から連日の生配信

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ウェブ上での面接や企業説明会が主流になり、就活は様変わりしている。

撮影:今村拓馬

マイナビやリクナビなど、毎年数万人の就活生を動員してきた合同説明会が軒並み中止に追い込まれる中、就職情報サイトを運営するワンキャリアが実施したのはYouTubeでの会社説明の中継だ。

ワンキャリアは3月から、平日の午後6時に、企業の採用担当者を呼んだ「ワンキャリアLIVE」を連日放送した。

国内で新型コロナウイルスの感染者が増え始めたのが2月末。3月1日からの放送開始は、オンライン対応の先駆けとなり注目された。

参加企業は三井物産や三菱商事、日本航空(JAL)、ソニーなど人気就職先上位の企業を含む21社が名を連ねた。

「知名度が高い企業は、視聴回数も視聴時間も長かった。例えばJALはこれまでに視聴数3万2000回を超え、生放送時の平均視聴時間は約30分となりました。

学生からの質問はTwitterやYouTubeライブに投稿してもらいました。100件以上の質問が集まったこともあり、正直驚きました」

ワンキャリアのPRディレクター寺口浩大さんはそう振り返る。

「ただ配信するだけでは、届かない」

机 座る男性

ワンキャリアの寺口さんは、「リアルの説明会をただ録画した動画では、学生には届かない」と指摘する。

shutterstock

学生の救済策として急いだ企画だったが、ワンキャリアのYouTubeチャンネルの登録者はアカウント開設から2ヶ月で1万人を超えた。説明会ライブに参加を希望する企業も、想定以上に集まったという。

「一方的な説明をしても学生は見てくれない。司会はワンキャリアのメンバーが務め、番組ではできるだけ、学生が知りたいことを質問しました。



動画配信で学生を引き付けるためには、内容だけが重要ではない。例えば『風通しがいい』と言葉で説明するよりも、動画に登場する上司と部下が仲良く話していた方がよく伝わります。その点を理解せずに、ただ説明会を録画して配信するだけだと、学生には届かないと思います」(寺口さん)

一気に注目されたオンライン就活だが、「ただ録画を流す」のと「ライブに対応できる」の差はあまりに大きい。この変化に対応できるかどうかで、企業の採用力に大きく差がつくと、寺口さんは指摘する。

「新型コロナの影響で合同説明会がなくなり、特に知名度が低い企業では、ネットを活用しないと企業を知ってもらう機会がなくなった。



ただし、オンラインでの発信は、見るも去るも学生側に主導権があります。『ウェブ説明会はおもしろくない』という声も学生から聞きます。企業側は学生がどの程度、動画から離脱しているのか、また視聴時間やユーザー数を把握するなど、戦略的に発信していく必要があります」

東京海上日動「ウェブ発信は武器」

ワンキャリア

3月23日、東京海上日動の河嶋さん(右)らが参加したワンキャリアライブ。

写真:YouTubeの画面を筆者が撮影

ワンキャリアライブにも参加した東京海上日動・採用チームの河嶋大さんは言う。

「もともと採用活動では、学生との『対面』にこだわり、説明会ではできるだけ社員と接点を持ってもらいたいと思っていました。

固い会社だと思われがちなので、直に話してもらって、志望度を上げてもらうのが例年の就活。それがコロナウイルスの影響で、一気にウェブの活用が進みました」

東京海上日動では、2月や3月に参加を予定していた集客型の就活イベントを中止。

一方で、オンライン配信で実施予定だった3月6日のイベントには、7500人以上から予約があり、「想定以上の反響だった」(河嶋さん)という。

その後も、就活生向けのHPに説明会の動画を掲載したほか、全国で実施したセミナーもウェブで配信。就活生が動画をいつでも見返せる点や、地方の学生がアクセスしやすいというメリットを実感しているいう。

「ウェブでの発信は広く訴求できる武器になる。今後は、社員のリアルな姿を定期的に発信する動画コンテンツなども企画していきたいと思っています。他社と差別化できるよう、新しい形の発信に挑戦していきたい」(河嶋さん)

中小企業でも進むオンライン就活

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大企業だけでなく、中小企業もオンライン就活への対応を急いでいる。

撮影:今村拓馬

中小企業でもウェブでの動画発信の需要が増えている。

就職・転職支援サイト「アールエイチナビ」を運営し、中小企業の採用を支援するプレシャスパートナーズでは、3月から企業説明動画を制作するサービスを開始。4月7日に緊急事態宣言が出されて以降、従業員300人以下の企業などからの問い合わせが一気に増えたという。

「最終面接までオンラインで行う企業が出ている一方、選考を停止している企業もある。そんな中でも、24時間いつでも見られる動画に注目が集まった。



知名度で就活生を集められる大企業だけでなく、中小企業こそ志望者を確保する必要に迫られている」(プレシャスパートナーズ広報・北野由佳理さん)

新型コロナで就活は激変している。そして二度と元には戻らないかもしれない。これまでの慣習だけにとらわれず、変化に柔軟に対応できるか、本当に学生に届く情報発信を行うことができるのか。

緊急事態でこそ、企業の採用力の真価が問われそうだ。

文・横山耕太郎

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