ロックダウンで二酸化炭素排出量が前年比マイナス17%に…「各国政府は環境に配慮した経済再建計画を」

ロックダウンで温暖化ガス排出量が減少。

イギリス、ロンドンの公園でベンチに座る女性。

Kirsty O'Connor/PA Images via Getty Images)

  • パンデミックによるロックダウンは、環境に対して前例のない影響をもたらした。
  • 最新の調査によると、4月の1日あたりの世界の二酸化炭素排出量は、前年よりも17%少なくなった。
  • そのうちの43%を、車、バス、トラックからの排出量の減少が占めている。
  • 6月中旬までにすべての国が経済活動を再開しても、2020年の総炭素排出量は昨年より4%少なくなる。
  • 経済を再構築する際に政府が二酸化炭素排出量削減を考慮しない場合、これらの環境への恩恵はすぐになくなってしまうと専門家は警告している。

コロナウイルスのパンデミックは、環境改善に光明をもたらした。多くの人が飛行機や車に乗るのをやめたため、二酸化炭素排出量が大幅に減少したのだ。

学術誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」で5月19日に発表された論文で、2020年4月の1日あたりの世界の二酸化炭素排出量が、2019年の1日あたりの排出量よりも17%減少していることが明らかになった。1日の平均排出量は昨年と比較して1870万トン減少したことになる。これは2006年の排出量と同水準だ。

「世界の炭素排出量が少なくとも4%、おそらく7%か8%減少するだろう」と、この研究の共著者であり、グローバル・カーボン・プロジェクトの代表であるロバート・ジャクソン(Robert Jackson)は、2020年全体について予測している。

「いずれにしても、第二次世界大戦以降最大、そしておそらく過去最大の減少になるはずだ」

最大の要因は地上輸送の減少

ビルの窓際に立つマスク姿の男性。東京、2020年5月14日。

ビルの窓際に立つマスク姿の男性。東京、2020年5月14日。

Eugene Hoshiko/AP

研究論文の著者は、炭素排出量の減少を定量化するために、アメリカを含む69カ国以上と中国の30の省の排出データを調査した。このサンプルは、世界人口の85%、世界の二酸化炭素排出量の97%に相当する。

4月初旬、世界の排出量の89%を占める地域が何らかのロックダウン規制を受けていることがわかった。そこで研究者らは、ロックダウンを深刻度のレベルに基づいて3つのカテゴリーに分け、住民の通常の日常生活への影響(およびそれに伴う二酸化炭素排出量への影響)を推定した。

彼らが「必要不可欠な労働者を除く、すべての労働者が自宅にいることを義務づける全国的なロックダウン」と定義した最も厳しい自宅待機命令下の国では、地上輸送(車での通勤など)が50%減少し、航空輸送が75%減少したことがわかった。この2つ部門の排出量はそれぞれ36%と60%減少した。

地上輸送の排出量減少は、2019年と比較した排出量の減少全体の43%を占めている。これは、炭素排出量に飛行機による移動が占める割合が3%未満であるのに対し、地上輸送はその10倍近くあるためだ。

研究者らは、1月から4月中旬までの排出量を合計すると、昨年の12カ月間の平均と比較して10億4800万トンも減少したと推定している。そのうち約23%が中国、20%がアメリカ、9%がインドだった。

排出量は、ロックダウンがピークに達した国では平均26%減少した。

今年の排出量は少なくとも4%減少する

研究者らは、毎日の二酸化炭素排出量が17%減少することは「非常に大きい量で、おそらく以前には見られなかっただろう」と述べている。

それでも、2006年と同じレベルになるだけであり、過去14年間にどれだけ排出量が急増したかを示している。

中国の上海にある発電所の煙突から煙が出ている。

中国の上海にある発電所の煙突から煙が出ている。

Reuters/Aly Song

この研究によると、パンデミックが発生する前、世界の二酸化炭素排出量は過去10年間、年率約1%の上昇を続けていた。

2020年は、世界がいつロックダウンを解除するかにかかわらず、その傾向に逆行することになるだろう。

6月中旬までにパンデミック前の状態が回復した場合、つまり、必要不可欠ではない事業も再開し、航空券や自動車による移動が通常のレベルになった場合でも、世界の年間二酸化炭素排出量は4%減少すると見られている。年末までロックダウンや旅行制限が続く場合は、その影響はさらに大きくなり、7%に近づく可能性がある。

ジャクソンによれば、この減少量は、地球温暖化を摂氏1.5度に抑えることを目指すパリ協定の目標を達成するために、全世界が毎年必要とする排出量の削減レベルだ。

しかし、ジャクソンはBusiness Insiderに「人々を家に閉じ込めることは、温室効果ガスを削減するための持続可能な方法ではない」と語った。

2020年3月17日、ニューヨークからサンフランシスコへ向かうデルタ航空の機内。

2020年3月17日、ニューヨークからサンフランシスコへ向かうデルタ航空の機内。

REUTERS/Shannon Stapleton

政府が経済の再開計画で二酸化炭素削減を考慮しないのなら、排出量減少は一時的なものに終わる

論文の主著者であるコリンヌ・ル・ケレ(Corinne Le Quéré)はプレスリリースで、「経済、輸送、エネルギーシステムの構造的変化によるものではないため、これらの極端な減少は一時的なものである可能性が高い」と警告している。

彼女と同僚は、世界の指導者たちは、経済再建のための努力に気候変動の目標を組み込む必要があると述べている。例えば、クリーンエネルギーへ投資するといったことだ。

2020年5月13日、バイザーを着用して自転車でパリの街をゆく女性。

2020年5月13日、バイザーを着用して自転車でパリの街をゆく女性。

Samuel Boivin/NurPhoto/Getty Images

「2008年の経済危機に対する資金供給は、風力発電と太陽光発電の拡大させるのに役立った。今日のCOVID-19対策資金は、個人の移動手段と電気自動車を再生可能な電力に結びつけることができるだろう」とジャクソンは述べている。

また、ロックダウンは人々の移動手段についての考え方を変える可能性があるとも付け加えている。

「人々は内燃機関のない交通手段について考えている。歩いたり、自転車に乗ったり、クリーンな電気自動車を運転したりすることで、家にとどまっていなくても毎日青空が見えるようになるかもしれない」

[原文:Lockdowns cut daily carbon emissions in April to 17% below last year's average — but that only gets us back to 2006 levels

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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