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オンライン講義で高い授業料に納得できる?…大学というビジネスモデルの危機

ハーバードの学生

キャンパスを歩くハーバード大学の学生。

Brian Snyder/Reuters

  • 多くの大学がキャンパスを閉鎖し、秋からはオンライン授業を予定しているため、多くの学生は大学に戻ってこないことを決めている。
  • 有名な大学であっても、オンラインのみのカレッジが数分の1の費用で同様のコースを提供しているので、リモートだけのクラスに3万ドル以上の学費を支払うように学生を説得することは難しい。
  • 大学と学生がバーチャル学習の現実に向き合う中で、COVID-19はアメリカ人の高等教育への見方や価値観に永続的な影響を与えているかもしれない。

アメリカ中の大学がCOVID-19のパンデミックに対する安全対策として、秋からの学期にオンラインで行うことを決め、多くの学生がZoomで授業を受けるために多額の授業料を払いたくないと思っている。大学側は授業にそれだけの価値があることを納得させるのがこれまで以上に困難だと知っている。

平たく言えば、アメリカの大学のビジネスモデルは先行きが明るくない。

理由は以下の通りだ。

学生はオンライン授業にお金を払いたくない

サンフランシスコ大学(USF)の学生であるチン・ミンプク(Minh Phuc Tran)はBusiness Insiderに、もし秋以降もオンラインで授業が行われるのであれば、USFの授業を続ける可能性は低いと語っている

「ここ数カ月の授業体験はあまりよいものではなかった」と彼は言った。

「大学はそこに存在しなくてはいけない。今の状態はそうではない」

サンフランシスコ大学の2020-21年度の学費は5万1930ドルと見られている。しかし、大学における活動(寮生活やスポーツ、その他の活動に参加すること)をすべて失いながら、オンライン授業のためだけにこの金額を支払うことは、キャンパスでの生活をよく知る学生にとっては公平ではないように思えるだろう。

大学が最善の努力をしていたとしても、多くの学生はオンライン学習への転換に不満を持っている。図書館、研究室、パフォーマンス・スペース、クリエイティブ・スタジオといったキャンパスのリソースへアクセスできないことを考えると、バーチャルクラスだけに同じ料金を支払うことを要求するのは難しい。

フィラデルフィアにあるドレクセル大学の1年生で、学校に対して授業料の払い戻しを求める集団訴訟を起こしたグレインジャー・リッケンベーカー(Grainger Rickenbaker)は、授業の多くが録画済みのビデオに置き換えられているとAP通信に語った

コロンビア大学からパデュー大学ミシガン州立大学など、全米の学生が返金を求めて訴訟を起こしている。

大学はそれだけの価値があることを証明するか、価格を調整する必要がある

一部の大学では、パンデミックが流行する前から、オンラインオプションの影響を受けていた。オレゴン州にあるコンコルディア大学は、オンライン授業の登録者数を増やそうとした結果、皮肉にもキャンパスにやってくる学生が減ってしまい、2月に閉校になった(授業料の返金もなかった)。

これは多くの大学が直面している課題だ。オンラインの授業料を値下げしてしまえば、大学キャンパスでの体験がその定価に見合うものであることを、多くの新入生に納得させるのは今後難しくなるだろう。

大学は「三重苦」に陥っている

オハイオ大学のリチャード・ベダー(Richard Vedder )名誉教授は、長くアメリカの高等教育制度の経済について研究している。彼によると、大学は、州立大学への予算削減、入学者数の減少、COVID-19による春学期の授業料の払い戻し圧力という「三重苦」に陥っている。

一部の大学は寄付金で生き延びようとしているかもしれないが、たとえ多額の寄付金があっても、学生から徴収している授業料に取って代わることはできないだろう。授業料の高騰と世帯収入の伸び悩みは、すでに大学にとって大きな脅威となっており、コンコルディア大学が証明してしまったようなオンラインスクール人気の高まりは、コロナウイルス以前から、大学という形式がすでに形骸化していたことを証明している。

[原文:The college business model is in crisis as more and more students decide they don't want to return in the fall]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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