5月20日。アメリカ航空宇宙局(NASA)はWFIRSTの正式名称を「ローマン宇宙望遠鏡」とすることを発表した。
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アメリカ航空宇宙局(NASA)は5月20日、2020年代半ばの打ち上げを目指し開発中の望遠鏡「Wide Field Infrared Survey Telescope(WFIRST)」の正式名称を「Nancy Grace Romana Space Telescope(ローマン宇宙望遠鏡)」と命名したことを発表した。
この名称は、2018年に亡くなったNASA最初の主任天文学者であるナンシー・グレース・ローマン博士(1925〜2018)にちなんだものだ。
WFIRSTあらためローマン宇宙望遠鏡は、1990年の打ち上げから30年以上活動を続けている「ハッブル宇宙望遠鏡」の後継機として開発されている。
ローマン博士は、ハッブル宇宙望遠鏡の開発計画に深く関わり「ハッブルの母」とも呼ばれる天文学者だ。
NASA退職後には、科学の道に進む女性や若者を支援する活動に多くの労力と時間を投じた功労者としても知られる。
NASA長官のジム・ブリデンスティン氏は、今回の命名について次のように語る。
「NASAが天体物理学におけるパイオニアとしての立ち位置を確保し、さらに世界で最もパワフルかつ独創的な宇宙望遠鏡であるハッブル宇宙望遠鏡を打ち上げることができたのは、ナンシー・グレース・ローマン博士のリーダーシップとビジョンのおかげです」
「NASAのハッブル宇宙望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(2021年に打ち上げ予定)の後継となるWFIRSTには、これ以上の名前はありません」
ローマン宇宙望遠鏡は、ハッブル望遠鏡の100倍の視野を持ち、短時間の観測でより広い領域の宇宙を調査することができる。
この性能を活かし、宇宙最大の謎の一つである「ダークエネルギー」の解明や、太陽系の外にある惑星の調査などを行なうことを目的としている。
(文・三ツ村崇志)