3万円の格安スマホ「moto g8 power」実機レビュー。4眼カメラ搭載&「楽天対応」の実力は?

moto g8 power 背面

モトローラの新型スマホ「moto g8 power」。写真のカプリブルーは光の当たり方で表情の変わるユニークなカラバリだ。

撮影:小林優多郎

携帯電話の老舗メーカー・モトローラ。現在はレノボ傘下で、日本では比較的安価なSIMフリースマートフォンを主力に展開している。同社は5月4日に新型端末「moto g8 power」を発表。直販価格3万2800円(税込)の、いわゆるミドルレンジ端末だ。その実力を試した。

高価格端末にも引けを取らないディスプレイ性能

moto g8 power 正面

正面のディスプレイは6.4インチと大きめ。本体幅は75.9ミリ。

撮影:小林優多郎

moto g8 powerをざっと触った第一印象は、「価格の割にディスプレイの美しさと動作の軽さが際立っている」端末ということだ。

g8 powerのディスプレイは、6.4インチの2300×1080ドットの液晶。正面カメラがディスプレイ内に配置されているいわゆる“パンチホール”タイプで、縦持ち時に画面左上に黒い丸が見える(上の写真でも確認できる)。3万円前後のスマートフォンは高級機と比べるとディスプレイの性能が低くなりがちだが、本体の大きさの割には大きなディスプレイは圧巻だ。

moto g8 powerで動画鑑賞

YouTubeで16対9の比率の動画を再生したところ。縦長の画面のため、“カメラ穴”は黒帯で見えなくなった。

撮影:小林優多郎

処理の要となるCPUは、ミドルレンジ機では一般的なクアルコム製「Snapdragon 665」を搭載、メモリーは4GB、ストレージは64GB、バッテリー容量は5000mAhとなっている。OSは最新のAndroid 10を採用している。

モトローラのスマートフォンは大抵の場合、オリジナルに近いAndroidを搭載している。その影響もあるのか確証はないが、手元にあるほぼ同じCPU・メモリー・ストレージ構成の「OPPO A5 2020」と比べてもタッチ操作が俊敏に感じた。

Geekbench 5の結果

左からmoto g8 power(青枠)、OPPO A5 2020(緑枠)のベンチマーク結果。スペック値が似通っているだけに、スコアもあまり変わらない。

念のため、g8 powerとOPPO A5 2020でベンチマークアプリ「Geekbench 5」を数回実行してみたが、ほとんど同じ結果となった。ただ、表示しているアプリからホーム画面に戻る際の速度やアプリを切り替える速度は明らかな違いを感じた。素のAndroidのシンプルさから生まれた「サクサク感」なのかもしれない。

こだわりの構図が撮れる4種類のカメラ

moto g8 powerのカメラ

moto g8 powerの背面には4つのレンズがある。ちなみに、モトローラのロゴマークの部分は指紋センサーになっている。

撮影:小林優多郎

g8 powerのもう1つの特徴はカメラ機能だ。背面には上部から800万画素の超広角カメラ、1600万画素のメインカメラ、200万画素のマクロカメラ、800万画素の光学2倍ズーム対応の望遠カメラの4眼構成になっている。

標準レンズ作例

標準レンズ利用時の作例(クリックすると実際の大きな画像で表示します)。

撮影:小林優多郎

超広角レンズ作例

超広角レンズ利用時の作例(クリックすると実際の大きな画像で表示します)。

撮影:小林優多郎

望遠レンズ作例

望遠レンズ(光学2倍)利用時の作例(クリックすると実際の大きな画像で表示します)。

撮影:小林優多郎

デジタルズーム作例

8倍デジタルズーム利用時の作例(クリックすると実際の大きな画像で表示します)。

撮影:小林優多郎

画質に関しては、例えばグーグルのPixelやアップルのiPhoneシリーズのようなハイエンド端末にはかなわない。とは言うものの、この価格で超広角・望遠・マクロがそろっているのはかなり魅力的だ。モードや倍率を切り替えることで、全く異なる構図の写真が撮影できるので、工夫次第で何気ないものでも“SNS映え”が狙える写真が撮影できる。

マクロレンズ作例

マクロレンズ利用時のの作例(クリックすると実際の大きな画像で表示します)。

撮影:小林優多郎

スポットカラー機能作例

スポットカラー機能利用時のの作例(クリックすると実際の大きな画像で表示します)。

撮影:小林優多郎

g8 powerの弱点ところを挙げるとすれば、光量が足りないところはノイズがかなりのったり、そもそも真っ暗な絵しかとれなかったりする。それも加味した印象的な写真を撮るか、フィルターをかけるなどして対処する必要がある。

“楽天UN-LIMIT”に対応、通話し放題アプリも動作

楽天SIM

moto g8 powerはデュアルSIMで利用可能。ただし、microSDカード利用時は1枚のSIMしか使えない。

撮影:小林優多郎

最後に、公式サイトには載っていない隠れた特徴を紹介しておきたい。

それは、楽天モバイルの新しい通信サービス「Rakuten UN-LIMIT」にも対応している点だ。モトローラはmoto g8 powerの発表会(ウェブ)でg8 powerと同時に発表された「moto g8」に関しては「出荷時から対応している」と語っている。

実際に、筆者が個人契約している楽天のSIMを挿したところ、自動的にAPN(通信のために必要な設定など)が読み込まれ、4Gでの通信が可能になった。

地下鉄で楽天モバイル

地下鉄の駅構内ではパートナー回線エリア(KDDIローミング)につながった。

撮影:小林優多郎

運が良いことに筆者の家は、通信制限がほぼない「楽天回線エリア」だ。試しに最寄りの地下鉄の駅に向かったところパートナー回線エリア(KDDIのローミング)に切り替わった。どちらでもmoto g8 powerは問題なく動作した。

さらに、通話・SMSし放題に必要なアプリ「Rakuten Link」をGoogle Playからダウンロードしログインして利用してみたところ、これもまた問題なく動作した。

Rakuten Link

楽天UN-LIMITの通話し放題を適用するためには「Rakuten Link」アプリから通話する必要があるが、moto g8 powerでも問題なく利用できた。

撮影:小林優多郎

今のご時世で混雑しがちで意外に通話料がかかる役所やヘルプセンターへの電話や電話での取材に使ってみたが、途中で途切れることなく音質も良好だった。

3万円以下で買える場合も。最新スマホの楽しさがわかる一品

motoアクション

素のAndroidとはいえモトローラ独自のカスタマイズもいくつかは施されている。

撮影:小林優多郎

もちろんmoto g8 powerは楽天モバイルのNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの回線にぞれぞれ対応している。いずれかの回線を借りている格安SIMであっても基本的には問題なく動作する。

唯一、触っていて惜しいと感じたのは5GHz帯のWi-Fiに対応していない点だ。2.4GHz帯には対応しているのでつながらない・つながりにくいということはないだろうが、例えばスピード面でフルに性能を発揮できなかったり、電子レンジ利用時に干渉が発生するなどの可能性がある。

Wi-Fi設定画面

IEEE802.11 b/g/n(2.4GHz)に対応しているmoto g8 power。

撮影:小林優多郎

当然これは価格を抑えるための取捨選択になるわけだが、個人的には前述のような速度面・環境面に大きな問題を抱えている人でなければ十分にオススメできる。

価格は直販サイトの場合、3万2800円だが、記事執筆時(5月21日)はAmazon.co.jpでの正規品価格は2万9818円と、3万円を切っており、格安SIMとのセット販売であれば各事業者のサイトでより低価格で販売している例がある。

これからスマートフォンを持つという人や、OSや機能に強いこだわりはないがソツない性能の端末が欲しい、という人にオススメできるスマートフォンと言える。

(文、撮影・小林優多郎)

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