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新型コロナウイルスの大流行がイタリアのファッションブランドに与えた打撃とは? 3人の専門家に聞いた

ルイ・ヴィトン

2020年5月18日、ローマ。

Mondadori Portfolio via Getty

  • イタリアの小売業界は、ヨーロッパの新型コロナウイルスの感染拡大で最も深刻な打撃を受けた分野だ。
  • 5月18日に営業を再開したものの、イタリアのラグジュアリーファッションや小売りブランドは時機を逸した在庫の山や観光業への不安、経営難に直面している。
  • Business Insiderでは、ロックダウン(都市封鎖)で最も打撃を受けたイタリアのブランドはどこか、ロックダウンはイタリアの小売業にどのような影響を及ぼしたか、イタリアの小売業は今後どうなっていくのか、専門家に話を聞いた。

67日間に及ぶロックダウンの後、イタリアは5月18日に経済を再開させ、6月3日からは国内外の移動制限を解除する方針だ。

観光業が盛んなイタリアでは、夏に向けて生活がある程度もとに戻る見込みだが、小売業については大きなクエスチョンマークが待っている。

Business Insiderでは、イタリアのラグジュアリーファッションや小売業がどのような影響を受けたか、今後の見通しと合わせて複数の専門家に話を聞いた。

イタリアの小売業者を取り巻く現実

小売業者は今、時機を逸した在庫の山や観光業の回復への不安、経営難といった憂鬱を抱えている。だが、自らのビジネスモデルを改革し、復活を果たそうとする業者もいる。

5月18日にイタリア経済が再開した時、小売業者の3分の1は店の営業を再開することができなかった。これは長袖やハイネックの上着、ウール製品といった秋冬ものの在庫が山積みになっていたからだと、ローマに拠点を置くラグジュアリーファッションのコンサルティング会社「Elevate」の創業者フランチェスカ・ベントゥーリ(Francesca Venturi)氏は話している。

ベントゥーリ氏は、中国や韓国、日本といった主要市場で「メード・イン・イタリア」製品の消費が減ったと言い、それがプラダ(Prada)やドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)、ヴェルサーチェ(Versace)、アルマーニ(Armani)といった多くのラグジュアリーブランドに影響を及ぼしたと指摘した。

ドルチェ&ガッバーナ

Andrea Ronchini/NurPhoto via Getty

パンデミックの最中でも利益率の高い、eコマースを導入しているラグジュアリーブランドはなんとか回っていたが、ファッション業界の中でも比較的規模の小さな、家族経営の職人による会社は苦しんでいると、ベントゥーリ氏は言う。

中でも、最も打撃を受けたのは、スイスやフランスと国境を接するイタリア北西部ピエモント州の職人(レザー、テキスタイル、衣料品)による1600を超える企業だと、同氏は話している。

ピエモント州は、ベネト州やロンバルディア州と並んで、イタリアで最も新型コロナウイルスが流行した場所だ。

オフライン小売業者への影響

3月9日にロックダウンが始まった後、イタリア政府は一時帰休となった労働者200万人を給与面で支援すると約束した。

この雇用定着スキームは10月まで延長されていて、これは営業を再開するオフライン小売業者が今後、売り上げが伸びず、既存の雇用を維持できなくなるのではないかと恐れていることを示している可能性があると、調査会社バーンスタイン(Bernstein)のヨーロッパのリテール・アナリスト、アニーシャ・シャーマン(Aneesha Sherman)氏は語った。

営業再開当初は、大半の小売業者が従業員を一時帰休から戻す前にそもそも需要がどの程度あるか様子見になるだろうとシャーマン氏は指摘した。

同時に、観光客に依存しているイタリアの小売業者は、観光客の流入が売り上げアップにつながるだろうと期待しつつも、海外旅行の再開に不安を感じている。

一方、オンラインのアパレル小売りは4月にアクセス数が伸び、市場シェアの80~90%を占めた。5月はさらに伸びるだろうと、シャーマン氏は言う。

アルマーニ

2020年5月13日、ローマ。

Antonio Masiello/Getty

政府の対応は……

不要不急の消費は、イタリア(やヨーロッパ南部)では大きなプレッシャーにさらされるだろうと、バーンスタインのグローバル・ラグジュアリーグッズのアナリスト、ルカ・ソルカ(Luca Solca)氏は言う。

イタリアのコンテ首相は、苦境に立たされた企業に対し、4000億ユーロ(約46兆9200億円)の経済支援策を打ち出したが、このうちわずか3%しか実行されていない。

「イタリアはユーロ圏の中でも最も弱いエリアの1つで、過去20年間でマクロ経済はほとんど成長していない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で、イタリア政府は言葉では非常に大きな約束をしたが、実際はほとんど何もしていない」とソルカ氏は語った。

消費者との関係に変化

政府が引き続きソーシャル・ディスタンシング(人と人との接触を極力減らすこと、社会距離戦略ともいう)を呼びかける中、ベントゥーリ氏は、小売業者と最終消費者とのやりとりは「ギリギリまで減らされる」だろうと見ている。

入場制限、手の消毒、レジ係を守るプレキシガラスの壁は、小売業者にとって"ニューノーマル"になっているし、マスクや使い捨て手袋の着用は試着を希望する客の義務になるだろう。

ベントゥーリ氏は、長期的にはより「思いやりのある、正直かつ親身な」やりとりに注力したブランドが最終的に信頼を築き、コミュニティー感を生むだろうとしている。ただ、短期的にはイタリア小売業の活気や創造力が失われるだろうという。

[原文:Italy's devastated retail landscape: Here's how one of the worst-hit sectors has been impacted by the pandemic and what it will look like.

(翻訳、編集:山口佳美)

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