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ワクチンの誕生は1796年…意外なほど長い歴史を持つ13のテクノロジー

ラジオ

20世紀初頭、初期のカーラジオの受信試験の様子。

Wikimedia Commons

%!(EXTRA string=現在使われている技術は、現代になってから生まれたものだと思われがちだ。)

%!(EXTRA string=だが実際には、そのような技術の多くは、数十年、あるいは数百年以上前から開発されていたものだ。)

%!(EXTRA string=この記事では、そうした今では欠かせないものとなった技術の中から、我々の大半が生まれる前に、すでに誕生していたものを紹介しよう。)


ワクチン:1796年

天然痘は根絶が宣言され、現在はワクチン接種は実施されていない。

天然痘は根絶が宣言され、現在はワクチン接種は実施されていない。

U.S. Navy photo by Photographer's Mate 2nd Class Felix Garza Jr.

イギリスの医師、エドワード・ジェンナー(Edward Jenner)が世界で初めてワクチン接種を行ったのは、19世紀に入る直前のことだった。初期のワクチンは、牛痘のウイルスを人に接種して天然痘の発症を防ぐというもの。

サラ・ネルメスという名の乳搾りの女性が、手に牛痘による発疹が出たとして、ジェンナーのところにやってきた。ジェンナーはこの発疹から膿を取り、最初の被験者となった8歳の少年の腕に傷をつけて、この膿を接種した。

この少年は接種後、発熱を訴えたものの、具合はすぐに良くなった。その後、ジェンナーは少年に天然痘ウイルスを接種したが、免疫ができていたため発症しなかった。

電池:1800年

電池

Wikimedia Commons

2020年3月20日で、ボルタ電池は世に知られてから220周年を迎えた。これはイタリアの物理学者、アレッサンドロ・ボルタ(Alessandro Volta)が発明したものだ。

ボルタは当初、この装置を「人工電気組織(artificial electric organ)」と呼んでいた。これは、当時主流だった、電気を伝導させるためには動物の細胞が不可欠であるとの説を踏まえた呼び名だった。

ボルタは、動物の組織の代わりに、金属の円盤と、塩水に浸したぼろ布を用いた。この2つを積み重ねると電流が流れ、世界初の電池が誕生した。

マイクロフォン:1876年

マイク

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スコットランドからアメリカに移住したアレクサンダー・グラハム・ベル(Alexander Graham Bell)が1876年、発明したばかりの電話を世に送ってからまもなく、ドイツ出身の技師、エミール・ベルリナー(Emile Berliner)が、ベルによる電話のトランスミッタ(送話器)の機能が貧弱なことに気がついた。

そこでベルリナーは、電気について初歩的な知識しかなかったものの、トランスミッタの改良に乗り出した。これは、ベルが発明した既存の電話機から発する音を増幅するものだった。

ベルが経営していたベル電話会社は、ベルリナーの発明を高く評価し、同社の研究室に助手として雇い入れた。

食器洗い機:1886年

食器洗い機

US Patent Office

1886年のクリスマスから数日後、ジョセフィン・ガリス・コクラン(Josephine Garis Cochran)は、アメリカ特許庁からある特許を取得した

コクランの発明品は、皿やコップのサイズで細かく仕切られたワイヤー製のかごが歯車に取り付けられた、食器洗い機の機構だった。モーターでこの歯車を回すと洗剤を含んだお湯が、かごに入った食器に吹き付けられるという仕組みだ。

コクランはその後、自らが発明した食器洗い機を製造する会社を設立した。この企業はのちに、調理器具メーカーのキッチンエイド(Kitchenaid)となった。

コンタクトレンズ:1887年

コンタクトレンズ

Pinterest

眼鏡の奇妙な進化形として生まれた19世紀後半のコンタクトレンズは、完全にガラスでできていて、眼球の外から見える部分を全て覆う形状だった。

義眼製作者のF・A・ミューラー(F.A. Mueller)が発明した当初、コンタクトレンズは「スクリアラル・レンズ(scleral lenses)」と呼ばれていた。これは、眼球の白目の部分を構成する強膜(scleral)にちなんだ名称だ。

確かに、コンタクトレンズにしてはずいぶんかさばるが、これなら落としても簡単に見つけられるはずだ。

エスカレーター:1891年

エスカレーター

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機械仕掛けで動く階段の歴史は、20世紀に入る直前に始まった。最初に製作に着手したのは、ニューヨーク在住の発明家、ジェシー・レノ(Jesse Reno)だった。

レノが製作した第1号モデルは、ニューヨーク市の観光地コニーアイランドの「オールド・アイアン・ピア(Old Iron Pier)」にアトラクションとして設置された。その後、この新発明は、仕事場に行くために長い距離を歩く労力が省けるとして、産業革命期の炭鉱や工場で働く労働者に歓迎される設備となった。

カーラジオ:1919年

ラジオ

20世紀初頭、初期のカーラジオの受信試験の様子。

Wikimedia Commons

上の写真で、張り巡らされている糸のようなものは、ラジオ受信用のアンテナ線だ。

これは、ニューヨーク出身のラジオ製造業者、A・H・グリービー(A. H. Grebe)が、初期のカーラジオを試験している様子だ。その後、1920年代に入ると、カーラジオは、生まれて間もない自動車文化を象徴する技術となった。

グリービーはこの試験で、車の後部座席に置かれた真空管のほか、真空管を駆動させる小さなモーター、さらにそれとは別にラジオの受信機自体に電源を供給するバッテリーを用いた。

人工心臓:1961年

人工心臓

US Patent Office

1961年、著名な医師のヘンリー・ハイムリック(Henry Heimlich)の助力を得て、世界初の人工心臓の特許を申請したのは、コメディアンで腹話術師のポール・ウィンチェル(Paul Winchell)だった。

この装置には、体の外に装着する小さなバッテリーパックが付属。これが、体内に取り付けられたポンプを制御して血液を循環させるという仕組みだった。

ウィンチェルの特許は、申請から2年後に認められたが、人体への埋め込み手術が成功したのは1982年になってからだ。この時使われたのは、ロバート・ジャーヴィック(Robert Jarvik)医師が発明した別のタイプの人工心臓だった。

ドローン:1964年

ドローン

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世界初の無人航空機は、「ロッキードD-21B」だった。上の写真で、大きな航空機の上に乗っている小さな機体がそれだ。

D-21Bは、1969年から1971年にかけて中国上空を飛行し、敵国空域の偵察任務に従事した。しかし、事故率が高かったうえ、ニクソン大統領の時代に高性能の偵察衛星が導入され、こちらが上空からの写真撮影を担ったため、D-21Bの生産は中止された。

インターネット:1969年

インターネット

YouTube

1969年10月29日午後10時半、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の技術者が、スタンフォード研究所に向けて、「LOG」という文字列を1文字ずつ区切って送信した。この際使われたのが、構築されたばかりの「ARPANET」という名のネットワークだった。

当時はごく初歩的なシステムだったが、この仕組みは、現在のインターネットを生み出す基礎的な要素となった。

携帯電話:1973年

携帯電話

Wikimedia Commons

携帯電話の第1号機は、モトローラ所属の研究者、マーティン・クーパー(Martin Cooper、上の写真の人物)が考案した。当時の試作機は、わずか30秒通話するのに10時間の充電を必要とした

言うまでもないが、重さも2.5ポンド(1.1キロ)近くある重量級だった。

GPS:1978年

Global Positioning System

IEEE Xplore

GPS(Global Positioning System)用の人工衛星「ナブスター1(Navstar 1)」が最初に地球を周回する軌道に達したのは、1978年2月29日だった。この衛星はすでに役目を終え、周回軌道を離れているが、全世界が通信ネットワークでカバーされた新たな時代の到来を後押しする存在だった。

カーナビ・アプリの道案内が押し付けがましいとスマートフォンに文句が言えるのも、1978年に打ち上げられたこの人工衛星のおかげだ。

MP3プレーヤー:1979年

MP3プレーヤー

Kane Kramer

アップルが初代「iPod」を発表する20年以上前、ケイン・クレイマー(Kane Kramer)というイギリス人発明家が、「IXI」という名のデジタルオーディオプレーヤーの特許を申請した。

このデバイスはタバコの箱ほどの大きさで、4つのボタンで操作し、3分半ほどの音楽を保存できた。この時の申請書類には以下のような記述がある。

「ほんの一瞬の操作で、カーニギーホール(Carnigie Hall:原文ママ)での生演奏が録音され、世界中の店で手に入るようになるだろう」

[原文:13 things that were invented much earlier than you probably thought

(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)

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