何があっても「仕事が減らない」フリーランスに共通するたった2つのこと

フリーランス

フリーランスの大半がコロナ禍の影響を答えたものの、中には影響を受けなかったと答えた人もいた。影響を受けなかった人に共通したのは何だったのだろうか(写真はイメージです)。

Getty Images/Jae Young Ju

新型コロナウイルス感染拡大によりフリーランスで働く人たちにはどんな影響が起きているのか?

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(以下フリーランス協会)がこのたび緊急のアンケート調査を行ったところ、新型コロナウイルス感染拡大により業務になんらかの「影響があった」フリーランスは全体の約9割に達した。

回答者数1611人で、協会がこれまで実施してきた調査の中では最多となった。

具体的には「取引先の業務自粛による取引停止(53%)」「自身の業務自粛(35%)」「客数の減少(32.4%)」。結果として「働く時間が減った」人が63%、「収入が減った」人が74%にのぼる。(小数点以下切り捨て)。

一方で回答したフリーランスの中には、コロナ禍でも「あまり影響はなかった」「まったく影響はなかった」人たちもいた。今回はそうした人たちの一部にインタビューし、コロナ禍の影響を最小限に押さえられた背景を探った。

ご協力いただいた5人のフリーランスの職種はライターが2人のほかは、エンジニア、英語講師、新規事業開発が各1人ずつだった。

仕事が減らないフリーランス2つの特徴

5人に共通していたポイントは大きく2つある。仕事の「複線化」と「オンライン化」だ。まず複線化について見ていこう。

1.仕事の複線化

オンラインミーティング

共通点の1つは仕事の複線化。クライアントを複数持つことや複数の業界にまたいで仕事することで、リスクを分散できる(写真はイメージです)。

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複線化にはいくつかの要素があるが、1つは「複数クライアントを持つ」ということだ。

全員に共通していたのは、常に複数クライアント案件を掛け持ちするということ、1つのクライアントに依存しすぎないことだ。多い人だと10数社の案件を掛け持ちしているケースもあった。

「独立したてのころ、1社専属のような形で仕事をしていたらクライアントからの報酬の支払が滞ってしまい、非常に困った。それ以来、3〜4社の案件は常に同時並行で受けるようにしている」(30代・エンジニア)


「並行して10社程度の案件は受けるようにしている。案件が少なくなってきたな、と思ったら複数入っているライター・編集者が集まるFacebookコミュニティで仕事を探すようにしている」(30代・ライター)

といった声があった。

複線化には「複数の業界にまたがって仕事をする」要素もある。

例えば、あるライターは

「IT関係のライティングが7割を占めるが、クルマやバイク、音楽も好きなので、そういった関係の仕事も受けている。景気に左右されて案件が減ることがあるので。なるべく複数ジャンルの仕事を並行してやるようにしている」

と語る。

新規事業開発を仕事とするフリーランスは、「自治体の案件と事業会社の案件、日系企業の案件と外資系企業の案件、大手企業案件とスタートアップの案件など、お金の出元の種類を意識的に分けている」という。

複数の異なる仕事を並行して実行している人もいる。40代の英語講師の女性はオンラインで学生向けの英語コーチングの仕事をしつつ、通訳・翻訳の仕事もしている。

契約期間や仕事獲得ルートを複線化するのも手だ。数週間の短期プロジェクトと期間に定めのないミッション型案件を組み合わせる、案件獲得についてクラウドソーシングとそれ以外のルートを組み合わせるといった方法も見られた。

2.仕事の「オンライン化」

テレワーク

もう1つの共通点は仕事の「オンライン化」。「テレワーク活用済」か「未活用」かで「収入が減った」と回答する割合は2割も開きがある(写真はイメージです)。

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もう1つの特徴が仕事の「オンライン化」だ。実際、今回インタビューした5人中4人はコロナ禍以前からリモート中心の働き方だった。

フリーランス協会の緊急アンケート調査でも、テレワーク活用状況がコロナ前後の収入・働く時間に影響しており、「テレワーク活用済」か「未活用」かで「収入が減った」と回答する割合は2割も開きがある(「テレワーク活用済」の場合「(コロナ前後で)収入が減った」人は69.7%、「テレワーク未活用」の場合「収入が減った」人は89.8%)。

リモート中心の働き方を選んだ理由は人それぞれだ。

例えば、前述の地方在住の英語講師の女性は「地元に自分がやりたい案件がなかった」からだという。もともと高校の教員をしていたが、「英語そのものを教える」というよりも、「英語の学び方を子どもたちに伝える」ことがしたかった。

そんななか、仕事を探すなかで出会ったのが首都圏の企業が展開するオンラインでの学生向け英語コーチングの仕事だった。

通勤

「コミュニケーションが円滑に取れればリモートが許容されることに気づいた」とフリーランスの1人は言う。政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、出勤者の数を減らすよう要請している。

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関西に住むエンジニアは独立したころは常駐の仕事も頼まれたが、「自分でデスクやイスなど働く環境をつくりたい」という想いから、ここ数年はフルリモートで仕事をしてきた。

「フリーランスでやっていくうちにコミュニケーションが円滑に取れれば、リモートが許容されることに気づいた」

それ以来、「リモートでも問題なく業務遂行が可能」だとクライアントに説明し、理解してもらえるクライアントとだけ仕事をしてきたという。

決して全員に共通していたわけではないが、

「自分の場合はクライアントと一緒に資金調達や事業予算の獲得をしている。何をもって事業の成果とするかを握るところから一緒にやる。こういう関係性を築けたクライアントとは、コロナのような大きな出来事があったとしても、そう簡単には切られない」(30代・新規事業開発)

という言葉も印象的だった。

リスクヘッジの究極の手段を押さえておこう

フリーランスは自由な働き方なだけに不安定さも常につきまとう。

今回の新型コロナウイルスの影響は甚大で、業界・職種によっては壊滅的な影響を受けている人々もいる。

一方で、今回取材した人たちに共通して見られた仕事の「複線化」「オンライン化」はリスクヘッジの手段の1つになりうる。

withコロナで不確実性の高い時代。環境に大きく左右されずに仕事を続けていくポイントは、フリーランスのみならず、多くの働く人たちの参考になると言えそうだ。

(取材・文、フリーランス協会、田中美和)

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