地球の磁気は年々弱まっている…特に南大西洋の「異常帯」で、衛星やISSなどに悪影響

地球の磁場のイメージ。

地球の磁場のイメージ。

Shutterstock

  • 地球の磁場は、有害な太陽放射などから地球を守っているが、その強さは一定ではない。
  • 磁場の強さは過去200年間で9%低下している。
  • 衛星による観測で、南大西洋上の1つのウイークポイントが過去50年にわたって継続的に成長していることがわかった。
  • この磁場の弱体化は、衛星や宇宙船に誤動作を引き起こす可能性がある。

過去50年の間に、地球の磁場の弱点が大きくなっています。

地磁気による地球の鎧の裂け目は、南大西洋の上に位置しているので、科学者たちはそれをシンプルに「南大西洋異常帯(South Atlantic Anomaly)」と呼んでいる。それは心配するほどのものではない。今も致命的で破壊的な太陽放射から地球を守っているのだから。しかし、この地磁気が弱い領域は、より多くの荷電粒子がやってきて、機器の故障を引き起こす可能性があるため、この地域を通過する宇宙船や低軌道衛星に影響を与えるかもしれない。

さらに、欧州宇宙機関(ESA)の科学者たちは最近、過去5年間で異常が分裂した可能性があると報告している。磁力の弱い領域の一つはアフリカの南西の海の上に発達しており、もう一つは南米の東に位置している。

「この新しい南大西洋異常帯の東の領域は、過去10年間に出現し、近年は活発に発達している」とドイツ地球科学研究センターのユルゲン・マツカ(Jürgen Matzka)が5月20日のプレスリリースで語った

「地磁気の穴」は拡大している

南大西洋異常帯では、1970年以降、地磁気が8%弱まった。これは、地球全体に起きていることを反映している。ESAによると、地球の磁場は過去200年間でその強度の約9%を失った。

ESAの研究者は、スワームと呼ばれる3基の衛星で、地球の磁場の変化を観測している。

以下のアニメーションは、2014年4月から2019年8月までの異常帯の変化を示している。地図上の白い点は、衛星が放射線を検出したことを示していて、時間の経過とともに、それが増加していることが確認できる。

マツカのグループには、なぜ異常帯が2つになったのか、その原因がはっきりとはわかっていない。

「今の課題は、このような変化を引き起こしている地球のコアの動きを理解することだ」とマツカは述べた。

地球のコアによって磁場がどうなるかが決まる

地球の磁場は、地表から約2890km下にある地球の外核で液体の鉄が渦を巻いていることで存在している。北と南の磁極(100万年前後で逆転したりすることがある)に支えられた磁場は、コアの内部の動きによってうねるように、強さを増したり衰えたりする。

その液体金属の分布の、周期的、時にはランダムな変化は、磁場に異常を引き起こす可能性がある。磁場を、磁極と地球のコアを通る輪ゴムに例えると、コアの変化は輪ゴムを引っ張ることになるのだ。

コンピューターのシミュレーションによって視覚化された地球のコアの動き。

コンピューターのシミュレーションによって視覚化された地球のコアの動き。

Aubert et al./IPGP/CNRS Photo library

そうした地磁気の動きは、磁場の特定の部分を強めたり弱めたり、磁極を動かしたりする

過去50年間で、南大西洋異常帯は、年間約12マイルの割合で西に移動しているとESAは報告した。そして同時に成長しているとも。

スポットの拡大は宇宙船や人工衛星に悪影響を与える

磁場が弱い場所では、より多くの荷電粒子がこの保護シールドを通過することになる。地球低軌道(高度2000km以下)にある宇宙船や衛星はこれらの粒子が衝突すると故障することもある。

この粒子は、搭載されている電子システムに問題を引き起こしたり、データ収集を中断させたり、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されているような高価なコンピュータ部品の寿命を縮めたりすることがある。ESAによると、この地域を通過する衛星は、通信を混乱させたりする「技術的な不具合を経験する可能性が高く」なるという。

ハッブル望遠鏡は、1日に地球を15周しているが、そのうち10回で異常帯を通過する。NASAによると、軌道上の天文台は15%近くの時間で、この「危険な地域」にいるという。

ハッブル宇宙望遠鏡。

ハッブル宇宙望遠鏡。

NASA Goddard Photo and Video at http://www.flickr.com/photos/gsfc/4399423028/

国際宇宙ステーション(ISS)も南大西洋異常帯の影響を受ける可能性がありる。2018年の調査によると、宇宙船が異常帯を通過するとき、宇宙船と彼らが運ぶ人間は「毎回数分の強力な放射線」に曝されるという。

「そこはよく知られたエリアで、人がいる宇宙ステーションだけでなく、通信衛星など、あらゆる種類の衛星が問題にしている」と元NASAの宇宙飛行士のテリー・バーツ(Terry Virts)はBBCに語った

「月に向かう途中、あるいはどこに行くときでも、できるだけ早く通過したい」

[原文:A chunk of the Earth's magnetic field is weakening, which could wreak havoc on some satellites

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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