ファーウェイ副会長、「獄中博士」目指す軟禁生活。釈放巡る裁判で敗訴、親友が近況明かす

5月27日(カナダ時間)、バンクーバーの裁判所に向かうファーウェイの孟晩舟副会長

REUTERS/Jennifer Gauthier

中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)のアメリカへの身柄送還をめぐる審理で、カナダ・バンクーバーの裁判所は5月28日未明(日本時間)、孟氏の主張を退ける判決を下した。

2018年12月、孟氏はイラン制裁問題に絡む詐欺容疑で逮捕された。孟氏側は「逮捕当時、カナダはイランに制裁を発動しておらず、引き渡しの根拠となる行為が両国ともに犯罪と定められていることを表す『双罰性』を満たしていない」と主張していたが、裁判所は「双罰性要件を満たしている」と認定した。

孟氏側は、拘束時のカナダ当局の手続きが適切でなかったとも訴えており、今後は拘束手続きの適法性を巡る審理に移行する。

ファーウェイは判決を受け、「裁判所の判決に失望した。孟副会長の潔白を信じており、公正な判決と釈放に向けて引き続き努力する。カナダの司法も最終的には彼女の潔白を認めてくれることを望む」とコメントを発表した。

トランプ政権は5月15日、新型コロナウイルスの発生源を巡って中国を攻撃、ファーウェイに対する輸出規制を強化。米中関係は緊迫を強めている。孟氏の身柄送還を巡る今回の判決は、米中のみならず、カナダと中国の関係にも少なからず影響を与えそうだ。

保釈金8億円、24時間GPS監視の軟禁生活

孟自宅

裁判所の判決を前に、孟氏の自宅前には多数のメディアが詰めかけた。

REUTERS/Jennifer Gauthier

ファーウェイ創業者、任正非CEO(75)の長女で、有力な後継者候補である孟氏は2018年12月1日、出張中のトランジットで降りたバンクーバーで、アメリカの要請を受けたカナダ当局に逮捕された。その後、1000万カナダドル(約7億8000万円)の保釈金を払い、GPS(衛星利用測位システム)で24時間、孟氏の居場所を監視することや、パスポートを当局に預けることなどを条件に保釈され、バンクーバーで事実上の軟禁生活を送っている。

孟氏は逮捕から1年後の2019年12月、社内掲示板「心声社区」で、バンクーバーでは本を読み、油絵に取り組んでいると近況を報告。「多忙は時間を短くし、苦難は歳月を長くする」と、多忙な業務に追われた生活から一転し、慣れない生活への戸惑いをにじませた。

オンライン講義で毎日勉強の日々

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陳黎芳上級副社長は、「私たちは長い友人でもあり、孟氏の不在に心を痛めている」と語った。

1993年にファーウェイに入社した孟氏は、2011年まで任CEOとの親子関係を社内でも伏せ、一般社員として働いており、2018年に副会長に就任するまでほとんど注目されていなかった。

入社時期が近いファーウェイの陳黎芳取締役兼上級副社長は3月末、筆者の取材に対し、「私たちは同僚であり、親友でもある。仕事については今も連絡を取り合っており、生活のことは家族と連絡をしているようだ」と孟氏の近況を明かした。

孟氏は保釈された際、「博士課程で勉強したい」とも語っており、任CEOは2019年5月、中国国営テレビの取材に「5、6科目の講義を受けている。彼女は“獄中の博士”にだろう」と述べた。

陳副社長も、「孟氏はオンラインで講義を受けるのが日課になっている。どこの大学院で何を学んでいるかは聞いていないけど、毎日勉強する時間を決めているので、私はその時間を避けて電話している」と話した。

任CEOは中国でもメディアの取材を一切受けず、謎の経営者のイメージが強かったが、娘の孟氏の逮捕をきっかけに、記者会見に応じるようになり、2019年1月には海外メディアに対し「娘に会えず寂しい」と語った。

(文・写真、浦上早苗)

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