神奈川県横浜市の日産グローバル本社。
撮影:伊藤有
日産自動車は5月28日、2020年3月期の決算を発表した。
2019年度は日産にとって激動の1年だった。
経営幹部の不祥事に揺れ、2019年12月1日にスタートしたばかりのトップ3新経営陣のうちの1人・副最高執行責任者の関潤氏がその月のうちに日本電産次期社長候補として離脱(4月に日本電産の新社長に就任)、そして混乱さめやらぬ間にコロナ禍へと突入していくことになった。
日産自動車2020年3月期オンライン決算会見に登壇した経営陣。
出典:日産自動車
惨憺(さんたん)たる状況で迎えた決算は、売上高9兆8789億円(前年比14.6%減)、最終損益は6712億円の赤字(前年マイナス9903億円)。
赤字の内訳には、ゴーン元会長体制下で膨らんだ過剰生産能力の削減のため、事業用資産の減損などを含む「構造改革費用及び減損損失」6030億円が収益を圧迫。
新型コロナ流行が追い討ちをかけて、ビジネス環境が非常に厳しい状況にあることは間違いない。
出典:日産自動車
2021年3月期の業績見通しについては、現時点では非公表とした。日産は、2020年度の自動車全体の需要が全世界で15〜20%減少すると見込んでおり、これが実業にどういった形で反映されるのか、注目される。
構造改革にあたっては、
- 生産量を通常シフトで20%削減し、年間生産540万台体制へ
- インドネシア、バルセロナ工場の閉鎖
- 2023年度までに、車種を20%削減(69車種から55車種へ)
などを主軸に改革をはかっていく。
内田誠社長は決算会見のなかで、「失敗から目をそらし、辻褄を合わせて取り繕うのではなく、失敗を認めて、正すべきことを正す。まず経営層が意識を変え、社内の内向きな文化を変えていく」と、厳しさを増す次年度に向けての決意を語った。
(文・伊藤有)