6月1日から東京都ステップ2でも残る、なし崩し的緩和のリスク

小池百合子都知事

5月29日の会見で「ウィズコロナ宣言」を出す小池都知事。

出典:東京都YouTubeチャンネル

5月29日、東京都の小池百合子都知事は、定例の記者会見で、6月1日午前0時から、新型コロナウイルスを乗り越えるためのロードマップのステップ2に移行することを発表した。

ロードマップの概要を初めて示したのは、5月15日。

この2週間における7つのモニタリング指標の動向を確認した上で、28日に専門家からなる審議会を開催。「次のステップへと移行可能」との判断を受けて、ステップ2へと移行することを決めたという。

ステップ2で緩和される業種

東京都が示したロードマップ。東京都の現状は、感染拡大の山の下り坂付近だといえる。

東京都

6月1日の午前零時、ステップ2への移行によって休業要請が解除される業種は以下の通り。

学習塾等

自動車教習所 、学習塾、英会話教室、音楽教室,囲碁・将棋教室、生け花・茶道・書道・絵画教室、そろばん教室、バレエ教室、体操教室


劇場等

劇場、観覧場、プラネタリウム、映画館、演芸場、集会・展示施設 集会場、公会堂 、展示場、貸会議室、文化会館、多目的ホール


集会・展示施設

ホテル(集会の用に供する部分に限る)、旅館(集会の用に供する部分に限る。)、商業施設 ペットショップ(ペットフード売り場を除く)、ペット美容室(トリミング)、宝石類や金銀の販売店、住宅展示場(集客活動を行い、来場を促すもの)、古物商(質屋を除く。)、金券ショップ、古本屋、おもちゃ屋、鉄道模型屋、囲碁・将棋盤店、DVD/ビデオショップ、DVD/ビデオレンタル、アウトドア用品、スポーツグッズ店、ゴルフショップ、土産物屋、旅行代理店(店舗)、アイドルグッズ専門店、ネイルサロン、まつ毛エクステンション、スーパー銭湯、岩盤浴


商業施設

サウナ、整体院、エステサロン、日焼けサロン、脱毛サロン、写真屋、フォトスタジオ、美術品販売、展望室、百貨店(生活必需品売場以外)、ホームセンター(生活必需品売場以外)、ショッピングモール(生活必需品売場以外


運動施設(屋内)

スポーツジム


※その他の緩和ステップについてはこちら

また、ステップ1で使用が可能となった屋内の運動施設での観客席部分の使用も、屋内施設では100人以下(あるいは収容定員の半分以下)と人数制限はあるものの緩和される見通しだ(屋外施設では、200人以下)。

営業を再開する際には、業界ごとに策定したガイドラインの遵守を求めるとともに、今後、感染症対策について都が独自にまとめたガイドブックやチェックシートを配布。感染症対策のアドバイザー派遣などのサポートも行っていく方針も示した。

休業要請が続く事業者の再開目処は見えず

都庁

東京都庁。

撮影:竹井俊晴

経済活動の再開は、社会にとって大きなプラスとなる。

一方で、カラオケやネットカフェ、パチンコ業者など、いまだに休業要請の解けない事業者も多い。

記者会見では、ステップ3への移行時期について明言されることはなく、これまで匂わせてきたさらなる補償についても、国への対応を求めているとしながらも、都としての具体策についての言及はなかった。

小池都知事は、ステップ3に含まれる事業者や、感染のリスクが高いとされる『過去にクラスタを発生させた業種』の再開時期について問われると、

「6月18日ぐらいには国のガイドラインが整ってくると聞いております」

と、これまでと同様、あくまでも国の方針次第であるとしている。

都のロードマップが公開されたことで、多くの人に一定の「出口」が認識された一方で、特定の事業者にとっては、依然として出口が見えない状態が継続しているのが現状だ。

神奈川県では既に全業種で営業が緩和されるなど、「1都3県で連動して緩和を行っていく」とした小池都知事の当初の発言との食い違いも目立ってきている。

高まる不平等感にどう向き合うのか

こういった状況が続けば、異業種や他県との差から不平等感が高まることは想像に難くない。

今後の見通しが立たず、さらに休業要請を遵守する義務もそれに伴う補償もない現状で周囲の店舗が次々に営業を再開していくようなら、なし崩し的に(ステップ3以降で緩和される業種でも)営業再開が進んでしまいかねない。

第2波の対策を行なう上で、感染者が出た店舗からの情報提供は欠かせない。

なし崩し的な緩和が進んでしまうと、感染者が出た際に事業者からの報告がされにくくなるといった悪影響が懸念される。それは結果的に、今後の感染対策の穴になりうるだろう。

小池都知事自身、29日の記者会見では、治療薬などが無い現状で感染対策として有効なのは「私達自身の強い意思と行動のみ」とあらためて強調。

「今後、否応なく新型コロナウイルスと共存していかなければならない、『ウィズ・コロナ』という考え方は避けられない現実です」

と話し、ウイルスとの共存戦略を探っていく方針を示している。

それならば、新型コロナウイルスが広がり始めた初期段階から、感染拡大の温床のように指摘されてきた業種に対しても、共存の道を早急に示すべきではないだろうか。

ステップ1への緩和の影響見ぬまま次へ

感染対策

都は、国の指針を受けて感染対策に関するガイドラインを示している。国が指針を示していない業種に対するケアは十分とはいい難い。

東京都

感染対策との兼ね合いを考えても、疑問は残る。

当初ロードマップのステップ移行は2週間を目処に検討するとしていたが、結果的に、1段階目の緩和からわずか3日で次のステップへの移行を決めたことになる。

小池都知事は、ロードマップの概要を示した5月15日から約2週間経過したことを判断のタイミングの根拠としているが、ステップ1への緩和の影響を見ずに拙速にステップを進めている印象は否めない

もちろん経済回復は重要だ。

仮に、医療体制やクラスタ対策などの体制が整ってきたため、経済回復を重視する方針に転換したのであれば、それでも良い。ただし、それならばなおさら、ステップ3やクラスタ発生歴のある業態の営業再開目処や補償のあり方についても、十分な説明が求められる。

残念ながら、29日の会見ではこういった疑問に対する回答は得られなかった。

(文・三ツ村崇志)

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